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タイトルに惹かれて購入。美が人に恵を齎す一方で、美には危険性があるという。本書は高村光太郎の「必死の時」、アニメ「風立ちぬ」を例にひきながら美が齎す眩惑作用を明らかにし、トーマス・マンの「魔の山」、軍歌「同期の桜」を例に、感性が悪を美化するプロセスを考察する。とても興味深く読みました。特に「魔の山」で描かれる結核について、この病が作品が書かれた当時の、ひとつの「美学」であったことに驚きました。結核という当時不治の病であった忌まわしい疫病が患者を魅力的に、美しく見せる作用があることを見事に解説しています。当時の知識人や芸術家達がこぞって結核になりたいと望むのも今となっては奇異に思えますが。第四章の軍歌「同期の桜」では「散華」という言葉を糸口に桜の持つイメージと死にゆくことの美化、特に戦時下の特攻の美化について考察しています。読みながら今の時代も物事を美化して誤魔化していることの多さに危機感を覚えます。美はいいこと、快である故にそこに悪い面があっても見落とされがちです。寧ろ権力者はそこを利用して悪い面を美の眩惑作用で見せないようにします。「美しい」ことに惑わされてはいけないなと考えさせられる1冊。
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①美とは私、つまり主体に快と感じられるもの、対象の良さである。
②美を味わうとは感性を働かせ続け、対象の形や響きをもっとよく捉える、捉えようとすること。
③美が人に強く訴えるがために、その後ろや脇に偽や悪があることに人の注意がおよびにくくなる。
真善美、知情意
散華
メコネサンス
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美に潜む危険性。
NOTE記録
https://note.com/nabechoo/n/n2393869c89af
「美」っていうと、もう単純に絶対的にええもんだと思ってたけど、浅はかだった笑 真善美の言葉からしてイメージ良いし。
「美の追求は人を惑わせ、時には結果として人を死に至らしめる」
「美の幻惑作用」「感性の統合反転作用」
このようなことを、高村光太郎や堀越二郎、戦争、散華、病的なことなどを例にして語られる。美しい戦争賛美の詩、美しい戦闘機、桜の様に散る特攻隊、病による魅力。美に潜む危険性。言われてみるとすごい納得いく。とはいえ、美しいものには弱いよな~。
本書を読まなかったら、ずっと幻惑させられ続けていたかな。自分は感覚的人間なので、美しいものは、真で、善で、素晴らしい!と鵜呑みで、浸っちゃうから。やはり、美しいものには棘が、毒が、あるんだろうか。気を付けよう。とか思いながらも、ここで言う危険性は死だったりするけど、個人的には死を否定的には捉えてないので、盲目的に自己の美の中での死も悪くないんじゃないかと。美には、人間の価値観を超越するものがあったりするんじゃなかろうか、とか思ったり、思わなかったり。よくわからんくなってきた。。。
勉強になりました!(^^)/
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音楽やアニメなど生活に深く浸透している作品。それらを通して我々が感じる「美」が時として、あらぬ方向へと導くことを指摘する一冊。 建築学科4年
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美学が戦争サポートに使われてきた、ということを言いたいらしい。
しかし、戦争を賛美する「芸術」、戦争絵画や戦意高揚音楽は美しくない。
危険なのは美を装うことで美学とも美そのものとも関係ない。
美学って美に関する哲学だから危険という認定は成立しない。美と美学は別物だし、「男の美学」は学問的な美学とは字面が同じだけ。