今の時期だからこそ納得。
2020/06/19 22:25
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投稿者:なまねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKの番組で著者に興味を持ち、読んでみた。
2月の終わりに購入したと思うが、その頃よりも(新型コロナウイルス蔓延後の)現在の方が内容に深く納得できた気がする。
本書では「価値の危機」「民主主義の危機」「資本主義の危機」「テクノロジーの危機」、この四つの危機の根底にある「表象の危機」の五つの危機を扱っている。
同じ著者の『なぜ世界は存在しないのか』は哲学素人の私にとっては難解であったが、本書はインタビューの書き起こしだからなのか、非常にわかりやすく読みやすかった。
トランプ大統領の言動の捉え方、GAFAに対する考えなど、そういう見方もあるのかという発見があってよかった。
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投稿者:いのぜい - この投稿者のレビュー一覧を見る
これからの時代を代表する哲学者である。
解り易い文章で書かれた内容の濃い一冊
2020/07/23 22:49
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投稿者:里 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近NHKにも登場し注目を集める新進気鋭哲学者の著書、といってもどうやらインタビューの内容を日本側でまとめたもののようで本当の深い所に行ってないのではないか、という危惧はあるものの、わかり易い文章で本物の哲学書のような「何十頁も読み進めたが何もわかっていなかった」というような悲しい思いをせずに済んだ。(とは言え、わからない所はわからなかったのだが)
まず、世界史の針が巻き戻るとはどういう事なのだろう?本当にそうだとすればおっかない話だが、著者は冒頭でEUの崩壊だけでなく、どの国の文化も古い型のモデルに戻ろうとしている、と説く。確かに。
なんでそんな事に?というと、国家的な擬態やインターネットによる非民主主義的な意思決定、コントロールの無いグローバル経済によってイメージが優先し、「損実が見えなくなっている/真実を誰も求めなくなっている」と著者は見ている。個人的に特にショックだったのは「科学の進歩が人類を救うという迷信と闘わねばならない」という一節で、そうかぁ、科学特捜隊とイデ隊員をまだ信じていたかったんだけどなぁ。
現在の多くの新進気鋭学者の意見と異なり、著者はインターネット、SNS、人工知能に懐疑的である事も印象に残った。なにしろ「インターネットでは愚者が愚者にモノを薦める」そうなのでこのレビューも読み手が賢明である事を希望するしかないが、同時に人工知能が人間の脳にとって代わる未来は永久に来ないと断言していて、少し安心した。そうであって欲しい。
日本と日本人についても各所で言及され、持ち上げられているときと警告されている所がある。心に留めておこう。
おそらく著者の全思考はこんなもんじゃないとは思うが、それでも付箋など付けていると1ページ毎に貼る事になる程内容は濃い。考えるヒントにはなるし、その割にはサクッと読めてお得ではないかと思う。
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学的で、理屈が並べられていて、ある意味具体性に欠けるかなーと思いました。。もう少し分かりやすく書いて欲しかったですね……。なんだか、自分の理想論ばかりみたいで
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結局、何が「新しい実在論」なのかわからなかったなあ。まあ、「古い実在論」が何かわかっていないのだから仕方ないなあ。いろいろ危機がありそうだけれど、それも結局何が危機かわからなかった。まあ確かにいろんなことが便利になったからって、空いた時間で瞑想したり読書をしたりできているわけではない。というか、ツイッターとそこから入っていくユーチューブなどのために、読書時間は圧倒的に減ってしまっている。とは言え、それで、いろんな情報は得ているわけだし、まあいいと言えばいい。会社に法律専門ではなく、倫理が専門の人を入れて、意見を聞いて、最終決定を下すというのはいいかも。もっとも、それは専門家でなくとも、皆が倫理的であればいいのか。そのために、大学もあるのかもしれない。そういう意味では、大学には大いに意味がある。著者が出ているテレビも見たりしているけれど、自信過剰で断定的な物言いがどうも受け入れにくい。また、本書の始めの方に、ヨーロッパが一番で、アメリカとか日本は後追いのような記述があった。もう、ちょっとその辺から引いてしまって、なかなか著者の言いたいことに寄り添うことができなかった。でも、どうして日本でこうももてはやされるのか。日本にもいい思想家はいくらでもいるのになあ。
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全貌がわかるわけではなかったけれど(そもそも人文的なものに「わかった」が存在するか怪しい)たしかにいい感触というのがあった新書だった。これをきっかけにして色々と読んでいきたい。一番新しめの哲学。
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価値、民主主義、資本主義、テクノロジー、そして表象。
それぞれの危機によって、世界史の針が巻き戻っていると警鐘を慣らしている。
GAFAやAIに対してかなり強い批判的な意見を投げかけているが、そこには彼の未来に対する大きな懸念があるからだ。
世界は何処に向かっていくのだろうかと、深く考えさせられる。
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日本の読者向けに行われたマルクス・ガブリエルのインタビュー。
たいして期待せずに読んでみたが、これは結構面白かった。
なにが「真実」なのかわからないポスト・トゥルースの社会において、マルクス・ガブリエルの「新しい実在論」は、たしかな実在を認めて、なんらかの共通性に基づいて混乱した世界を理解していこうということで、多くの人が求めているものだと思う。
というわけで、「新しい実在論」が求められる理由はよくわかるのだが、では、具体的にそのどこが「新しい」のかということについては、正直、よくわからない。(本人は、ポストモダーン思想以降、初めて現れた新しい思想と主張しているのだが)
ガブリエルはたしかに「現実」や「真実」の「実在」をみとめる。しかしながら、一つの「現実」、「世界」の存在は認めないので、結果として、複数の「現実」が林立して、彼が批判するポスト・モダーン思想、構成主義とある意味、似たような話になってしまう感じがしている。
この本では、ガブリエルの哲学それ自体というより、そこから見えてくる現代社会についての議論が紹介されていて、ある意味とてもわかりやすい。
なるほど、新しい実在論では、こういうふうに「現実」を捉えて、「問題」にたいしてこういう処方箋を提案するわけね、ということが、よくわかる。
で、最後にもう一度、ガブリエルの哲学の主要点について、確認していく構成もわかりやすい。社会への適用から、彼の哲学が逆に浮かび上がる構成になっている。
とはいえ、ガブリエルの現実の見方については、面白いところもたくさんあるが(トランプ大統領の評価とか)、全体としては、あまり賛成できないかな?
なんだか、いろいろ言いながらも、やっぱ西欧中心的な議論かな〜と思う。
一番印象的だったのは、ガブリエルが最大の論的としているのはポストモダーン思想ではなく、自然主義、科学主義、唯物論なんだな〜というとこ。(「私は脳ではない」での議論と基本同じ)
あ〜、やっぱそうか〜。
ガブリエルは、「実在論」という名前ではあるが、形を変えたポストモダーン思想ではないかと思っているのだが、反自然主義ということでも、この2つは実は共鳴しあっているな〜と思った。
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Memo:
インターネットはジャンクというガブリエルさんのお話なのだが、手軽に超すぐ読めて面白く、インターネットのコンテンツのようだった。
(P69) 深い文化的異質があるとするストーリーは、戦争をあおり、他者を攻撃する口実になる。こうやって「他者」の存在を作り上げる。
(P72) 人間性というのはきわめて普遍的。文化相対主義の機能は非民主的なインターネットを正当化するためのもの。
(P82) 人から人間性を奪うには。1:相手を悪だと思うこと 2:相手を善だと思うこと 本来、善悪などないただの人間。
(P104) 民主主義の本質:戦うことは合理的じゃない。もっと前向きなことに集中しよう。
裁判で完全勝利は無いし、複雑で緩慢なプロセスがあって、とにかく面倒。完全勝利があるのは独裁。
どんな戯言でも口にできることは、民主主義でなくFacebook。
(P120) 「人間はこうあるべきだ」というモデルを、社会システムにいるすべての人間に押し付けるべきではない。
(P123) 他人の尊厳を減らす人は、自分自身の尊厳も減らしている
(P129) 法律上の制限がないグローバル経済は明らかに問題
(P152) 資本主義そのものは必ずしも悪ではないが、資本主義には「悪」の潜在性がある
(P135) 倫理資本主義
社会のゴールは、企業のゴールを含めて「人間性の向上」になるべき 利益の増加ではなく、モラルの進歩を目指す
---ある意味中国的では。P120での主張に沿う押しつけにならないか。数値による統計処理でスコアリングとかしない、モラル進歩なあ…。点数付けのほうが公平で善良、とならないか。
(P153) グランドセオリーの構築が必要だ。すべての学問分野は同じ一つの目標を持つべき。人間、幸福(well being)の条件を理解すること。
---中国やカルトとの違いも書いといて。
(P164) ビッグデータ解析でアルゴリズムやAIで生活向上は夢物語。カリフォルニア西海岸文化、起業家たちの精神はLSD三昧、正気じゃない。散漫な思考(バカ)はクリエイティビティには大切だが、実知識においては、厳しい集中力と散漫な思考の組み合わせが重要。インターネットが我々にもたらすのは、散漫な思考、ドラッグ中毒の子供たちの精神だけ。それが人工知能。
(P375) インターネットではバカがバカに物を薦めあっている。それを群知能SIなどともっともらしい名前で呼んでいる。実際は群れの知能でなく、群れの凡庸性。
(P175)自動化でできた時間はさらなるネット消費に振り分けられるだけ。
creative people が余暇で何をするかというとNetflix鑑賞。
あまった時間はシステムにデータをfeedbackするためにつかわれ、そうしてさらなるrecommendationの悪循環。毎日仕事を終えて人が何をするか、今日もネットに助けてもらった、さてネットするか、が現実。
→ネットが人類をよりcreativeにするとは思えない。
ー--ネットが現れるまえ、TVに対して言われてたことだね。
(P182) 行きつくところは…
残るのは今まで労働を機械任せにしていたせいで、働き方を忘れてしまった愚かな人間たち(末人)
彼らはやがて争いをはじめ、世界は崩壊。
(P186)各国政府は国民がGAFAに雇われているという事実を認識したほうがいい。GAFAはすべて変えるか、我々にお金を払うかどっちか。ネット検索するだけでお金持ちに。(これが末人のためのベーシックインカム。ただただ世界崩壊させないためだけの。)
(P188)我々は一年のうち四か月もネットをして過ごしている。びた一文くれない人のために働いて過ごしている。無料とされるサービスで得られるより多くの代償を支払っている。でなければ、企業は存続できないから。
(P190) テクノロジーとは壊滅の力。
(P191) 完璧になめらかな機能性には、ダークサイドがある。
(P219) 我々が自らを正す唯一の方法は、自分とは別の視点を持つこと。それが人間社会。構成員同士のやりとりが増え、社会が複雑になるほど、より多くのロジックが生まれる。複数の信念が広がる網全体が社会になる。
---ビッグデータのフィードバックやリコメンドと似てるじゃないか。
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これは政治の話ではなく、個に迫ってくる未来の
選択を、逆流して考えていく哲学だ。
人間の素の感情はその国々の風習文化で異なると思いきやそうでもなく本能的な部分で人は沸き起こるイメージを自覚できる
そしてそれがこれから必要になってくるのだと思った。
個々のフィールドを小さい範囲にしたとしても
得られる情報やよろこびは広がるし満足する。そこから民主主義を選ぶ側の民主主義の選択をできるように私たちは常に問うて疑い、
哲学をしていく一つの指針となる一冊だと思う。
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様々な危機(価値、民主主義、資本主義、テクノロジー、表象)が起きている現在、英国のEU離脱、トランプの独裁主義への動き等に見られるように世界史は昔に遡っている気がする。新しい実在論として真実を求めている、フェイクニュースは避けるということの大切さを唱えている哲学者だと思う。ヨーロッパが行っているのは見せかけの擬態、民主主義の基本的価値観はコモンセンス、グランドセオリーの構築が必要、それを基に我々はどう考えていくのか新しい哲学を突きつけられた気がする。
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NHKの番組で関心をもったので手にとってみた。結論としては、氏の主張の方向性はわかったものの、その論拠みたいなところがほとんど触れられていないため、新興企業の妙な経営者の持論でも聞かされているようだった。
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独断的で非論理的。
言説が独断的で、また各言説間の関係性も非論理的であったので、彼の論理を追うことが非常に難しかった。日本の読者へのインタビューと言う形式だからかもしれないが、自分の言っている事は明らかであるから、説明しなくても良いと言うような態度が見えて読みながらイライラした。また哲学についても、世界情勢についても、月並みの見解を羅列するだけで、新しい知見や見解は見当たらず、自分で勝手に新しいと言っているだけのように思えた。
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グローバル経済において、労働環境が異なる中国のような主要プレーヤーと製品のやり取りをするのは、ルールなしで巨漢と殴り合いをするようなものだ。
そこにはルールが必要であり、トランプはこのルールを確立しようとしている。
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世界は存在しない。現実は多数あるから。そして、その現実はそのまま知ることができる。
世界はなくて、意味の場があるのみ。
認知が全て、ということなのかな。キーは真実。正しいことはあるはず。