投稿元:
レビューを見る
【家族という迷宮を描く直木賞受賞作。ドラマ化&映画化!】父親殺害の容疑で逮捕された女子大生・環菜。臨床心理士の由紀が彼女や周辺の人と会ううちに浮かび上がってきた環菜の過去とは……。
投稿元:
レビューを見る
タイトルからして恋愛ものかと思ったが、全く違った。むしろミステリーテイストの心理劇といったところか。いずれにせよ登場人物が丁寧に描いてあり、好感が持てた。
投稿元:
レビューを見る
事件について調べていく内に知る環菜の過去。
タイトルのファーストラヴの意味。
由紀と迦葉の関係。
何より我聞さんの器が大きい…
映画化も楽しみ。
投稿元:
レビューを見る
最後の方になってファーストラブというタイトルの意味に納得した。
途中までの何か裏があるのを窺わせる所や、モヤモヤする所なども面白いと思う。
中心のストーリーに絡めている過去の話や手紙の部分などが良いアクセントになっていたと思う。
投稿元:
レビューを見る
恋愛ものではないので少し疑いつつ読み始めた自分を大反省。直木賞納得の作品で一気読みだった。
事件はなぜ起こったのか、環菜はほんとのことを話しているのか、環菜はどのような闇を抱えているのかを追いつつも、由紀や迦葉の抱えてきたものや、二人の関係、迦葉の恋愛?、親との確執など、普段なら話が多すぎるよと思いそうなのに、まったく無理なくそれより続きが気になって読み続けてしまうといった感じだった。
環菜がどうしてこのような言動を取ってしまうのかについて、やはり男性よりは女性のほうが受け入れやすいかもしれない。
最後には母親についても回収してしまうところが秀逸。
そしてやはり、由紀と迦葉の人間的な結び付きと、それを理解している我聞さんに、何とも言えず救われたようなほっとしたような、とても良い余韻を残した終わりかただったかと思う。
投稿元:
レビューを見る
シシドカフカ氏を連想させる表紙が以前から気になっていた一冊
作者の島本理生氏はこの作品を映像化することを前提に執筆したのだろうか?
心情を描いていても頭の中にそのシーンが浮かんでくるのが筆の力なのだろう
言葉の使い方が絶妙で、情景を語っていたかと思うと唐突に言葉を切って次のシーンに移る…気になってしまう事で記憶に残すというテクニックを使う
読ませる技術は舌を巻くものがある
とはいえ文章力だけでなくストーリーも疎かにはしていない
本流は義父を包丁で刺して殺してしまった環奈を中心にして、心療内科医の由紀の伏線が交錯する
一気読みは必至だ
投稿元:
レビューを見る
タイトルから恋愛小説かと思いきや...
認めて欲しい、愛されたい、ただそれだけの欲求が満たされない
認めてもらうには?愛されるには?どうしたらいいのか
認めてもらえず愛されてこなかった人間は、それを与える術を知らない
負の連鎖なような気がする
投稿元:
レビューを見る
臨床心理士の真壁由紀は、ある事件の加害者のノンフィクション執筆を依頼される。事件の加害者はアナウンサー志望の女子大学生・聖山環菜。彼女はアナウンサー面接試験を体調不良で早退した直後、父であり画家の聖山那雄人の職場を訪れ、道中で購入した包丁で父を殺害する。殺害動機を知ろうと拘置所の環菜と面会する由紀だが、そこで環菜から衝撃的な言葉を聞く。
「動機は自分でも分からないからみつけてほしい」
由紀の義弟であり環菜の弁護士である庵野迦葉と協力して環菜の動機を探っていくが、周囲の人々へと取材の範囲を広げていく内に、環菜の歪な過去が明らかになっていく…。
ドラマ化・映画化が同時進行した第159回直木賞受賞作。
読みやすく、人間心理の描出が緻密で、物語の展開も巧み。登場人物たちそれぞれに隠された謎が気になって読むことを止められなかった。
本作には秘密(心の傷)を抱えた人物が3人登場する。
一人目は父親殺害の容疑者・聖山環菜。初めは自分の心の傷にすら無自覚だった彼女だが、由紀との話し合いの中で、自分が親から性的虐待と呼べるようなことをされていたこと、両親からの抑圧で自分の心を押し殺し自傷行為だけが自分を辛い場所から逃がしてくれる手段であったことなどを思い出す。
二人目は主人公の真壁由紀。幼い頃、父が海外で幼女買春を行っていたことを知り、父からの視線に別のものを感じるようになる。師事したクリニックの院長による催眠療法で、彼女は父からの目が未だに自分の心を絡めて苦しめていることを知る。
三人目は由紀の大学の同級生であり義弟の庵野迦葉。幼少期に母親からのひどい虐待を受けていた過去を持ち、その「愛されなかった過去」が由紀と共鳴する。
これら3人の秘密、心の傷を明らかにしながら物語は進んでいくのだが、私はここに「呪縛」というテーマを感じた。3人は親から何かしらの「呪縛」を受け、それにより苦しみ、歪み、それから目を背けるように、または逃げるように人生の道を歩まなくてはならない。環菜は自分が「呪縛されている」ことにすら気づかず、由紀は過去を掘り下げることでまずそのことを自覚させる。由紀自身が催眠療法で自分を絡め取る存在の正体が父の目であったとようやく自覚したように。
解説で朝井リョウ氏も取り上げている一文がある。
「『今』は、今の中だけじゃなく、過去の中にもあるものだから」
まさにこれは今の心の在り様は、過去からの「呪縛」が強く作用していることを示す一文だろう。
根深さは違えど、心に何かしらの呪縛を抱える人は少なくない。呪縛として心を抉る出来事が、例えば見ず知らずの人間からの性的虐待であるならば、それがトラウマの原因であると本人も強く自覚する。しかしそのトラウマ、呪縛が、生育環境の中でゆっくり、じっくり、そして「日常そのもの」として親から焼き付けられてきたならば、本人は知らず知らずの内に歪められた自分の心を「欠陥品」として捉えるであろう。
生まれて初めての愛を注いでくれるべき「親」という存在から与えられる「呪縛」。その根深さと人生に与える影響は推し量るに余りある。私���タイトルである「ファーストラヴ」の意味を「初恋」ではなく「生まれて初めての愛」として理解し、本書を閉じた。
投稿元:
レビューを見る
3月の雨のような、その奥に広がる世界を忘れちゃいけないなと改めて。
解説も素晴らしいと思った。誰かと話したいなと思うような読了後の感想のポイントを、優しく賢く共有してくれてる感覚。
投稿元:
レビューを見る
自分の気持ちを自分で表現できない容疑者を臨床心理士が分析していくというスタイルが新鮮で面白かった。後半で大幅に事件の全容が覆されたり、主人公やその周囲の人と容疑者や容疑者の家族が抱えている根本的には共通の問題が徐々に浮き彫りになっていく様子や、最後には今までに出てきた全ての問題が納得のいく形で解決されていった過程がとても鮮やかで読み応えがあった。
投稿元:
レビューを見る
賞をとったことは知っていて、でも内容に関しての予備知識はほとんどなく読み始めた。
ただ、最近立て続けに「モラハラ」「虐待サバイバー」に関する話を読んできて、ここでこの本とめぐり会ったことに、何か因縁めいたものを感じた。
小説なんだけど、リアルというか、ドキュメンタリーと錯覚しそうで、不思議な感覚で読み終わった。
「毒親」という言葉もとっくに市民権を得た今、「家族の問題」に関わらないでいられる人は、ほとんどいないのではないかと思う。
生まれた時からの記憶と体験の積み重ねで、今の自分はできている。
次の世代を育てる者として、一層肝に銘じていきたい。
投稿元:
レビューを見る
自分の足元がぐらつく感覚
自分の見ているもの、自分が聞いたこと、想像できることですら、なんて独りよがりなものなのだろうか
私の過去が今にあり、私の今が過去にある
1人の人間が、自分の主観的な経験を、客観的に説明するための勇気を獲得する過程も描かれる
ファーストラブは初恋ではないのかも
初めて他人に愛情を抱く経験のこと?
環菜がずっと求めていたもの
愛するということの難しさ
愛されることの難しさ
互いの認識の不一致
投稿元:
レビューを見る
普段、映画化やドラマ化などの宣伝文句と平積み状態の作品はどこか気が引けてしまって流行りものをなかなか手に取らずじまいになりがちなのですが、今回ふと気になって手に取りました。
思い返せば、島本理生さんのタイトルはしょっちゅう目にしていたものの、読んでこなかったなぁと振り返りつつ、こちらが初めましての作品。
すごく読み進めやすい。
ストーリーの内容は分かりやすいが構成が巧み。
登場人物達の個性の描き方も好感が持てるし、うん、上手だなぁ。
主人公 臨床心理士の真壁由紀は、父親殺しの罪を犯してしまった少女 聖山環奈の心理背景を探りながら事件の真相を解いていく。
環奈の弁護士 庵野迦葉。迦葉の兄 真壁我聞は由紀の夫。
迦葉と由紀の過去の関係性とは。。
環奈の事件背景を紐解いていくと同時に、由紀の過去も重なって巧みに語られていく。
その同時進行具合が一気に引き込まれます。
角度が違えば感じ方も違う、複雑な人の心理と生きてきた環境で蓄積される無意識の暗の部分。
現代に潜む薄暗い背景をテーマに、複数の人物達の心理描写を見事に描いていて良かった。
ちなみに映画化の主役は北川景子、ぴったりなキャスティングかと。
投稿元:
レビューを見る
感情の描写が鋭くてハッとさせられる。
登場人物のような経験はしていないのに、感情が重なる不思議な感覚。
物事の受け取り方は人によって異なるということを改めて感じた。
親しい人が悩んでいた時、そんなことで?と思うことでも親身に聞いてあげたいと思った。
自分がこの感情を抑えられれば上手くいくんだって思っても、感情が消えた訳ではないんだなと思う。
自分の感情に耳を傾けられるのは自分だけ。
感情の湖ができる前に見つめ直したい。
投稿元:
レビューを見る
島本理生氏の作品は過去に一度だけ…確か『あられもない祈り』を読んで「暗い!つまらない!南イライラする!!(byいとうあさこ)ww」って感じで敬遠していた。
久しぶりに本屋をウロウロしていて、文庫帯に美しい北川景子の写真と映画化の文字を見つけた。「あ、これのためにショートカットにしたんか」って思い出し、手に取ってみたら何と解説が大好きな作家のひとり・朝井リョウ。彼のおかげでこの本を読むことができた。
父親殺しの「動機はそちらで見つけてください」と言った聖山環奈。アナウンサー志望の美人女子大生が犯人、という触れ込みもあってこの事件は大きく報じられた。環奈についてノンフィクション作品の執筆を依頼された臨床心理士の真壁由紀は、彼女と向き合ううちに自分の過去にも目を向けることになる。
環奈の弁護を担当する庵野迦葉は義弟であるが、由紀とは何か確執があるようで…。
環奈の動機や今までの人生に何があったのか
由紀と迦葉の関係
由紀の夫がなぜ迦葉の兄なのか
様々な秘密の全容を早く知りたくて、3日程で読了。とても面白かった。なるほど、直木賞受賞作か。
環奈の置かれていた状況も性的虐待の1つ。
朝井リョウも語っていたが、人によっては「え、そんなことで?」「これもいけないの?」と思うようなことも、深く傷を付けて人格形成や対人スキルを身につける時に障害になりうる。
親や周囲の人間の言動1つで人を傷付ける恐れがあること。常に肝に銘じておかなければと思う。
それにしても環奈の両親は…直接的な暴力や暴言がなかったにしてもひどい。親友の存在が唯一の救いだった。
由紀については我聞さんの菩薩っぷりがなんとも眩しい。救いを求めたときに応じてくれる理解者がいて、幸せになってくれてよかった。
これは女性作家にしか書けない内容・テーマのように感じた。男性作家が書くとまた違うニュアンスになりそう。と偏って考えてしまうのは私が女だから?
映画を早く見たい。読んでいる間、由紀はずっと北川景子が動いていた。環奈は永野芽郁ちゃんあたりか?
我聞と迦葉もキャスティング重要だぞ。どっちか柄本佑やりそうだなぁ。