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食・知・感が人となりを作っていく
3万冊もの本を読むと、人はどういう考え方をするようになるのか知りたくて読み始めました。ヒトが好きなんだろうなぁ〜と感じずにはいられません。本を読み、本を書いていく中で、様々な人と対話をし繋がっていく過程は羨ましい限りです。
読書好きの方であれば、深く感銘を受けるところや、読んで見たくなる本が、必ずや見つかると思います。
特に第6章の人間の感性は、その人のハートが過去に食べた感性の食物によって構成されている、という箇所が印象的です。
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立花隆が自身の人生を振り返った自伝。私の人生にも大きな影響を与えてくれた著者が、どのような人生を歩んできたのかは非常に興味があった。
最初に著者の作品と出会ったのは高校時代に病気で入院して落ち込んでいた時に、仲の良かった先生から借りた「宇宙からの帰還」であった。天文学を志望していたこともあり、本書によってさらにその気持ちが高まり、病気に負けずに受験に立ち向かうことができ、このタイミングで入院となってしまった自分の人生を恨んでいたが、人生観をも考え直すきっかけを与えてくれた。
その後も著者の作品をいくつか手に取ってきたが、正直なぜ多岐に渡るジャンルの本を書いているのか疑問に思ったこともあった。
しかし、本書を読むことで著者の中では大きな流れの中で、それらの作品は繋がっており、さらに一つの作品を作り上げるのに膨大な情報を収集していることに今更ながらに驚かされた。
まさに「知の巨人」の名にふさわしい人物であり、未だに新たな作品への取り組みを構想していることに驚かされた。
以下は本書で特に気になった個所の抜粋である。
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・「ドストエフスキーの世界観」は、ベルジャーエフがドストエフスキーを、小説家というよりも「偉大な思想家、偉大な予言者、ロシア最大の形而上学者」ととらえ、「その精神の底を極める」ことを目指して書いた本で、それ自体が一つの哲学書でした。(中略)ベルジャーエフを知ったことで、物事を考えるスケールが全く変わりました。
・人間の知的な営みについてひとこといっておくと、人間は全て実体験というものが先なんです。これは何だろうという驚きがまずあって、それを理解したいから、本を読んだり、考えたりするんです。ひとつの文化体系を本で読むことだけで勉強しようとしても、基本的には無理なんです。それはとても勉強しきれるものではない。ある文化体系を理解しようと思ったら、そこに飛び込んでその中に身を置いてしまうしかないんです。
・読まないと文章は書けない。まず消費者にならないと、ちゃんとした生産者にはなれない。それから、文が鵜を経ないで精神形成をした人は、どうしても物の見方が浅い。物事の理解が図式的になりがちなんじゃないかな。文学というのは、最初に表に見えたものが、裏返すと違うように見えてきて、もう一回裏返すとまた違って見えてくるという世界でしょう。表面だけでは見えないものを見ていくのが文学ですから。
・小説ばかりでなくノンフィクションも読む必要がある。「世界ノンフィクション全集(全50巻)」はノンフィクションの歴史に残る傑作中の傑作が多い。
・人間の肉体は、結局、その人が過去に食べたもので構成されているように、人間の知性は、その人の脳が過去に食べた知的食物によって構成されているのだし、人間の感性は、その人のハートが過去に食べた感性の食べ物によって構成されているのです。全ての人の現在は、結局、その人が過去に経験したことの集大成としてある。
・人間存在をこのようなものとしてとらえるとき、その人の全ての形成要因と���て旅の持つ意味の大きさが分かってきます。
・旅は日常性からの脱却そのものだから、その過程で得られた全ての刺激がノヴェルティ(新奇さ)の要素を持ち、記憶されると同時に、その人の個性と知情意のシステムにユニークな刻印を刻んでいきます。旅で経験する全てのことがその人を変えていく。その人を作り直していく。旅の前と旅の後では、その人は同じ人ではありえないのです。
・いい言論にも悪い言論にもおなじような存在価値があります。だから言論の自由は無差別に守られる必要がある。これが言論の自由を守る意義の根幹にある真理なのです。
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https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166612475
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自伝でした。
しばらく経つと著書者の本を読みたくなるのですが、今回は自伝だったので、過去に自分が読んで面白かった(基本的にサイエンス系)のエピソードが読めて、そうそう確かにねーとか、逆に、ほーそうなのかとか思ったりできた。
徹底した取材と勉強で一つの作品に仕上げるところは、著者の主張に納得してもしなくても評価できる点だと思います。
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今読んでる途中。
腰巻きの写真やカバーの裏表紙側の折り返しの写真を見ると、立花さんも老けたなと言う感じはする。
少しお腹も出てるし、大丈夫かな。
養老孟司さんの方が、最近の映像を見ても、若く感じる。
まるロスを克服するのは大変だろうと思うけど・・・。
閑話休題
本書は、立花隆版の私の履歴書だと思う。
多分、日本経済新聞の看板記事の一つである
「私の履歴書」
にはまだ書かれていなかっと思う。
よって本書は、そのスタンスで読むべきで、
一気に読むのもいいが、一章単位で読んでいっても良いだろう。
立花さんといえば、猫ビルを連想する。
色々な媒体でと紹介された。
臨死体験などはNHKなどでも、特集番組を組んでいた。
あの頃が一番油の乗り切った時期だったかも知れない。
本書では、立花さんの生い立ち、自慢話?も一緒に楽しみましょう。
まゆっくり読みます。
第2章までは読みましたよ。
第12章まであるので、おいおいと。
本書は、2020年1月に発売されているので、コロナ禍の洗礼は受けていない。
【追記】
6月23日、立花隆さんが4月30日に亡くなっていたことが、報道された。
本書は何となく立花隆さんの遺書のような趣がある。
さういう気持ちで本書の続きを読むのを始めよう。
合掌
本書を読んで立花隆は、身の回りの女性差別・軽視というか、女性に対してクール、冷たいという様な印象を得た。
色んな女性と同棲してきたし、何回か離婚再婚した様な記述もある。
別の媒体で、我々世代は女性差別が当たり前とも言っているので、実際そうなんだろう。
本書を読んで残念だったのは、そこら辺だ。
Wikipediaにはそこら辺記述がない。
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口述筆記なんだろうな。その分読みやすい。
小学校の時に「現代科学物語」を読んで、物質が原始からできていることを知って強烈な印象を受けた。また、1949年に湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞したことの影響が大きく、理系に進んで素粒子物理学をやりたかったが、高校の進路指導の先生に「色弱だから理科には行けない」と言われたため、文科II類(文学)を選んだ。
学生時代の後半にアルバイトで技術文献の翻訳をやったことで、その後の取材の下準備として英語の学術論文や文献を山のように読む下地ができた。
大学までは小説ばかり読んでいて、大江健三郎に憧れて物書きになろうとしていたが、文芸春秋に入社し、筑摩書房の世界ノンフィクション全集を読み始めてから、ノンフィクションの世界にのめり込んでいった。
文芸春秋は2年半で退職し、東大の哲学科に学士入学したが、1969年の東大闘争が激化して授業がなくなったため退学。その頃、文芸春秋が「諸君!」を創刊したため、いろいろな頼まれ仕事をするようになった。この時に、資料を山のように並べて、あちこち取材した上、たくさんの図表も制作して記事の中にはさみ込む手法を身に付けた。事前の準備をどれだけするかによって、一流の学者に話を聞きに行った時に引き出せる話の質も量も全然違うことを学んだ。
1972年、イスラエル政府から招待ジャーナリストに選ばれた講談社の編集長が行けなくなり、代わりに行くことになった。キリスト教は、生まれた土地から周辺の文化圏に広がり伝播していく過程で、その土地に古くからある別の宗教思想と影響しあい、変わっていった。日本の真言宗も、仏教と日本土着の宗教がつながって成立した点でキリスト教と似ている。特に、密教部分の核を形成している護摩木を焚いたり、真言を唱えたりする儀式的要素は土着宗教の要素。
80年代、90年代は、角栄スクールが実質的に日本の政治を牽引した。角栄が幹事長として采配を振るった昭和44年の選挙の当選組には、羽田孜、小沢一郎などがいる。橋本龍太郎、小渕恵三はずっと田中派で、竹下登は角栄スクールの番頭格だった。
2010年発行の「がん 生と死の謎に挑む」の第1章は、NHKスペシャルのメイキング・オブになっている。この頃から、がんゲノムプロジェクトで得られた知見に基づいて、患者特有の遺伝子変異を踏まえた個別化医療の方向に向かっている。がんの理解の仕方として、主流ではなかったがん幹細胞説が正しいと認められ、各種のがんで幹細胞が次々に発見され、幹細胞説に基づく新しい治療法の導入が進んでいる。
人の寿命に一番関係を持つファクターは、両親の生きた年齢。
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その知性もさることながら、行動力と物事への追求がすごい。発言にはデータによる裏付けがきちんとある。
自信を持った言い切りの文章なので、逆に反論も生まれるのかもしれない。
自伝的に語っている内容なので読みやすい。
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先日亡くなられた知の巨人、立花隆さん。彼が、自らの人生を振り返った1冊。哲学、ロッキード事件、脳死、宇宙、生命、歴史、音楽など、その幅広さと深さは超絶。すごすぎると改めて感じます。若いころ、平和運動で欧州を周られたときに、ご一緒されたのが、駒井洋さんなんですね。すごいなぁ。
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テレビで追悼番組を見て読んでみたいと思って、読んでみた。自伝のような本で、子供の頃からの読書量にとてもびっくりした。名作はだいたい読んでて、自分ももっと読まないとと思った。文学を読んで人の心を察する力をつけたり、世界観を広げるのにやっぱり本は大事と書いてあった。ヨーロッパの人のデモの背景にある文化や歴史も、今の環境デモにつながるように感じて面白かった。世界に飛び込むことは、本を読むよりも大事で、行かないとやっぱり感じられないことはあるとも書いていて、留学がいまは行けないけど、いつか行ける時に行きたいと思った。そのためにも本読んだり英語を勉強しよう。
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著者2冊目
小学校のIQテストで校内一番、読書力の最も盛んだった時代、多読濫読時代、大学模試で全国一番、安保闘争、はじめてのヨーロッパ等・・・・内容がぎっしり!
心に残るのは、死ぬことについて。
NHKと作った番組で、臨死体験は死後の世界体験ではなく、死の直後に衰弱した脳が見る「夢」に近い現象であることを科学的に明らかにしたものだったと。
著者の考えるように、いい夢を見ようという気持ちで死んでいくことができるんじゃないかと、私もそういう気持ちになれるのでしょうか。
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立花隆の自伝的エッセイ。 生い立ちから作家としての活動著作まで人生を振り返る。 生まれは長崎だがすぐに中国に渡り、帰国後は茨城、学生時代からは東京を活動拠点としていた。 東大生の10代の頃に行った欧州旅行、作家になってからの中近東旅行は、彼にとって大きな出来事だったらしい。 田中角栄研究で金脈の政治を暴いてから、一流ジャーナリストとして世間に認知され、その後も文化、歴史、科学、習俗など多くのノンフィクションを書いて一流の作家となる。晩年は、生化学や医学を書くようになるが、これは自分自身が生活習慣病の塊というぐらい無茶な生活を認識しての事だったようだ。 最後は癌、生死の話に尽きるが、どんな作家でも寿命を感じ始めるとこの話題に行き着くのだろう。昨年の夏に亡くなったが、この本を書いている時には、すでに自分の人生の最後を意識していたのかもしれない。 2冊を執筆中とのことだったけれど、出版されるのか気になる。
自分は、学生の頃に読んだ「宇宙からの帰還」が立花隆との出会いだった。アポロ宇宙飛行士の「その後」を追ったノンフィクションでとても面白かった。政治には興味がなかったので、主に科学や歴史ものを読んだ。 興味深いテーマがたくさん紹介されていて興味深かったけれど、最新研究の論文に飛びついて、時々外すこともあった。でもこれは仕方がない。彼は専門家ではないし、文献で知るしかないのだから。
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立花隆氏の本って初めて読んだけど何て言うかすごい読みやすいな。お茶漬けでサラサラご飯をかき込むような感覚。いくらでも読める。超難解で取っ付き難いイメージがあっただけにかなり意外。
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2カ月ぶりの読書。この勉強期間に立花さんのムックなどが発売になり、どうしても立花隆を復習したくなった。この本はそういう意味では最適。立花さんが生涯どういうテーマを追いかけて、何を書いてきたのかがある程度復習できる一冊。臨死体験や脳死、サル学、分子生物学など立花さんの本で学んだことは多かったけど、田中角栄研究や日本共産党のところは呼んだことが無くて、ますます興味を魅かれました。
あと、日本の近代を解き明かした「天皇と東大」にはとてつもなく魅力を感じました。
ということで、「天皇と東大」全4冊と「宇宙からの帰還」を買ってしまいました。
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4月30日にNHKスペシャル「立花隆 最後の旅~知の巨人は何を遺したのか~」を見た。それは立花隆が死んで1年経ったドキュメントだった。最後の終い方には、立花隆らしいと思った。「本は全て古本屋へ。遺体はゴミとして捨ててくれ」ということだった。その中で、立花隆が「見当識」(自分たちは何者か。どこからきて、今どこにいて、どこへいくのか?)を持っていたという。知には限界がない。勉強が大好きで、自分のことは勉強屋さんだと思うという。宇宙と地球、人間とサル、精神と物質、生と死。常にその境界を追及していた。
人間はなんのために生きているのか?死ぬためだ。
死を迎えたときに。ありがとうと感謝が言えること。
がんの探求の中で、筑紫哲也が死んだときを回想する時に、立花隆が涙する。
死すべき運命を自覚する。いくつもの生命に支えられ、生命連環体であり、生命連続体という。
猫ビルの本棚の空っぽになったシーンに、何か無常なるものを感じた。いい番組だった。
立花隆の本は、『アポロ奇跡の生還』『宇宙からの帰還』『精神と物質』が好きだった。
最近立花隆の本を読んでいないなぁと思って、本書『知の旅は終わらない』を読んだ。
立花隆の自分史だった。その時々の中心的な出会いと自分の変化が客観的に見られていて興味がそそられ、一気に読むことができた。うーん。立花隆って、こんな奴だったのか。
立花隆は、猫ビルのうずたかく積まれた本の中に生息する人物というイメージが強い。
この本を読みながら、まさに知的好奇心が旺盛なこと、人が読まない本を読んでいる。語学も習得する努力をして、原文で読む。なるほど、思想があった本に接しているのだ。
長崎生まれ、小学1年生の時にはIQテストで1番となる。模擬試験では全国1位だったという。よくできた子だったんだ。それに実によく本を読んでいる。東大生の時に、原水爆反対の運動に参加し、ロンドンの「国際学生青年核軍縮会議」に、カンパを集めて参加して、ヨーロッパを半年めぐる。
学生の頃から、行動力があった。そして、お金がないので、美術館、博物館を見て回ったという。
共産党系の人が、ソ連の核兵器は平和のためにあると主張すると、反共産党系の人が、持つべきではないと激論になったという。「核抑止力」という問題は、その当時から論議していた。ある意味では、今回のロシアのウクライナ侵攻によって、核抑止力はいかにもインチキくさい。抜け駆けありの世界だった。やはり、核兵器廃絶が基本だと思う。
立花隆は、キリスト教が非常に複雑な背景があり、土着宗教であるという。そんなものかもしれない。日本の真言密教の護摩のような儀式もする。青春期に、世界を見て回理、話し合いをしたことが、思想的な重層性を作ったのだ。卒論は、メーヌ・ド・ビラン(1766〜1824)デカルトの「我思うゆえに我あり」を否定して、「我意欲すゆえに我あり」をとなえた人の研究。さすが!
それで、週刊文春の編集部に就職する。物書きの訓練を受けて、再び東大に学士入学をする。
『記号論理学』のヴィトケンシュタインに衝撃を受ける。
フリーの���イターとして、記事を書く生活の中で、「田中角栄研究」が始まる。
その後の活躍は、大体見えていた。それにしても、香月泰男と武満徹に入れ込んでいたとはね。
この本を読みながら、その時代の中で表象した事件を追いながら、その底流を見つめようとする姿勢は、学ぶべきものがある。
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したり顔は若者の特権
肌に触れること
我々を鍛えるのは試練である。悪徳の試練を受けない美徳は空虚である。あらゆる書物には上記により相対的に存在の価値がある
言論の自由には嘘をつく自由も含まれる
武満徹
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宇宙からの帰還
エーゲ海永遠回帰の海
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