紙の本
今までにない切り口
2020/04/29 21:52
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投稿者:つあらん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビールの原料、ビアスタイル、人に及ぼす作用などに科学的な面からアプローチした作品。これまで読んできたビールの本ではなかなかお目にかからなかった内容で、ページをめくる手が速くなった。特にゲノム解析を利用した大麦の品種分析や、系統樹の手法を用いたビアスタイルの分類などが興味深く、内容的に一読では完全な理解は出来なかったが、時間がある時にペラペラめくり返す楽しみが出来た。
紙の本
斬新な話だが飲み話にしては難しい
2022/06/29 18:01
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投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
今までいろいろなビール本を読んできたが、このような切り口は初めてではないか。
ブルーバックスよりも難しく厚い。座右にするかと問われれば結構悩むので、おまけして★★★
I 穀物と酵母──太古以来の名コンビ
1 ビール、自然、そして人間
2 古代のビール
3 醸造の歴史
4 ビール呑みの文化
◎元祖?ビールの再現を試みる。 ← 興味深くおもしろかった。しかし飲みたくても手に入らないのでは。
II (ほぼ)当てはまるビール原論 ← 科学的な掘り下げ
5 ビールも分子でできている
6 水
7 大麦
8 酵母
9 ホップ
III 快楽の科学
10 発酵
11 ビールと五感
12 ビール腹
13 ビールと脳 ← アルコールが原因では?
IV ビール造りのフロンティア今昔
14 ビールの系統樹 ← Tシャツやポスターが手に入るらしい。
15 ビール復活請負人たち
16 ビール造りの未来
酒飲み話にするにはちょっと、いや、かなり難しい。
系統分類辺りは図と文章との関連もわかりにくく
ビールの銘柄も世界規模で細かい文字で書かれているから、ほとんど理解できない。
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アメリカの分子統計学者と古生物学者の2名による共著。ビールが辿った歴史とビール産業の動向、そしてビールの原料や製法、五感に与える影響の科学的考察、といった内容。
歴史の章はとても興味深かったが、科学的考察の章は自分にとっては内容がむずかし過ぎて、ほとんどの部分を読み飛ばしてしまった。ビールの系統樹を作るという視点は面白いが、もう少しわかりやすい図解を加えてほしかった。
本作でも紹介されている通り、クラフトビールは世界的にブームを迎えており、手軽に様々な種類のビールが飲めるようになった。小規模ブルワリーに大手の資本が入り、価格が下がるのは良い事ではあるが、味の個性だけは失わないでほしいと思う。
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☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB29643976
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生物進化学の方が書いてあることもあり詳しく深い。ビールの歴史や、素材ごとの原論検討、酔いの検討なと多角的にビールについて研究している。内容濃いめの本厚め。腰を据えて読みたい一冊。
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系統進化生物学の研究者である著者ふたりが、独自の視点でビールの歴史に迫った一冊。生物学と化学と学術的な系統分類によってビールとビールにまつわる人体のリアクションなどが解説されており、いわゆるふつうのビール本とはひと味違う感じ。
それだけに咀嚼するのになかなか骨が折れるが、必要なところを抜き出して現場ですり合わせればとても役に立ちそう。ホップについてもまるまる一節20頁ほどさかれており、ためになる。
一杯のビールをながめながら、そこに秘められた歴史に思いをはせ、化学的、生物学的な視座に立った分析的な視点を持てば、ビールという醸造酒は無限の可能性がある。
日本にも少なくとも500社、アメリカにも5000社を超える醸造所があるというが、それぞれがどの視座に立ってものづくりをしているかはなんとなくわかってきたような気がする。
個人的にはファッション、カルチャーとしてのビールではなく、化学、生物学の視点から農産加工品としての多様性、原材料の長を引き出そうとチャレンジしているブリュワリーにシンパシーを感じるし、そういうモノづくりに憧れるが、マーケティングやブランディんが不要かといえば、もちろんそうではない。
アメリカでクラフトビール文化が花開いた理由には、もちろんインディペンデントな国民性があるのだが、歴史的な文脈でいえば、禁酒法によってたくさんの醸造所が駆逐され、大手資本による寡占が進んだ市場に対するカウンターカルチャーとして勃興した背景がある。そもそも禁酒法がなければ、今の百花繚乱、高品質なクラフト文化が生まれなかったと思えば、禁酒法もあながち悪ではなった(禁酒してもムダ、ということがわかったので)。
一方、コロナ渦によって世界は社交としての飲酒文化を忘れつつあり、酒造業界も大きな影響を受けている。かつての禁酒法時代とその後に続く大量生産ビールの寡占時代のように、一度失われた文化をもう一度やり直すには長い時間がかかる。
税法と感染症に振り回されるのは、いつの時代も酒業界の常。次はどちらへ行こうかと、身軽な方がしたたかに生き残っていくのだろう。
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p.219
アメリカのクラフトビール運動の出発点は、工業的なビール造りの拒絶だった。そして永遠の原点回帰までは望まずとも、いにしえの手仕事を探求したいという思いは工業化の反発と相通じるものがある。だれか太古のビールの再現を試みるのも時間の問題であった。
p.236
大東亜の反対側では、一九七〇年代の状況はまったくちがったものだった。合衆国には復活させるべき伝統が最初からないのだし、禁酒法とその後遺症が破壊したのは地元の醸造所にとどまらなった。かつてはビアホールや居酒屋で行われていた社交の一環としてビールを飲む習慣までが消えてしまった。取って代わったのは自宅の冷蔵庫から出してすぐ飲む極端に冷やした大量生産ビールだった。
p.238
大手のラガーと真っ向からぶつかっても勝ち目はない。それなら風味の豊かなエールとポーターでニッチな市場をつくりだそう。そう考えたマコーリフは、料理と合わせて行儀よく楽しめるビールを売りこ��だ。
p.249
ビール造りはというのは単なる醸造ではなく、原材料の加工から副原料の利用に至るまで料理を作るような自由度があり、これがビールの多様化を許容してきた重要な要素になっている
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ビールの過去から未来まで,味から音まで,ありとあらゆる事象を網羅する.系統分析などデータマイニングの面白さもさることながら,温故知新の観点から今後のビールのあり方を予想し,文化としての嗜好品が生き物に他ならないことをまざまざと明文化していることに共感すると共に,これまで整理されていなかったビールの楽しみ方を会得した感がある.