別新書から同著者の同様の書籍が出ていますが
2020/03/12 07:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
当書とほぼ同時期に刊行された同著者による社会的ひきこもりを著した書物が、PHP新書から出ています。
類似点は多いのですが、読み比べる価値はあると思います。
「一般的なひきこもりの人のイメージ」に対し、Q&A形式で著者が答えています。ひきこもりのイメージがはっきりしない方には、勉強になる1冊です。
中高年だけではない「ひきこもり」に関する本
2023/03/29 02:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぶんてつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章では40歳以上でひきこもりになった人の割合が増えていることに触れられており、ひきこもりが思春期の問題ではなくなったとされている。
しかし、内容としては40歳から64歳までの、いわゆる中高年のひきこもりに関するものではなく、全てのひきこもりを対象としている本だった。
そのことを批判するつもりはないし、むしろいつひきこもりになったかということ以上に重要なことがあるとわかって良かった。
厚生労働省のガイドラインでは、ひきこもりを「メンタルヘルスの問題であり、個々の精神障害の特性を把握することを評価の中心に据えるべき」としているのに対し、著者はひきこもりは病気ではなく、たまたま「困難な状況にあるまともな人」としている。
そういう著者が、ひきこもりのイメージに対し、Q&A形式でわかりやすく答えてくれている。
特に目を引いたのは、次の点。
・ひきこもりは非社会的なので犯罪率が低い集団
・ひきこもりが原因の二次的な精神症状はある
・ひきこもりだった偉人を持ち出しても意味がない
・抜け出すには家族以外の第三者の関与が欠かせないが悪徳業者に注意
・説得やアドバイスよりも「マイルドなお節介」がよい
・暴力はいけないと「禁止」するのではなく、暴力は嫌だと「拒否」する
ひきこもりは病気ではないという優しい視点からの意見がとても参考になった。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大人の引きこもりは若い世代よりも、ずっと多いということに驚きました。しかも、若い世代よりも、社会復帰が難しい。
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同じ著者の「社会的ひきこもり」を読んでいた。その後、8050問題などと騒がれているので、ひきこもりの高年齢化についても知っておきたかった。果たして現状は何となくわかった。問題点も浮かび上がってきた。さて、親の対処の仕方である。そこが最も興味がある。何しろ、我が家でも同じ状況が起こらないでもないからである。長男は中学で不登校気味に。内部進学ができず、他の高校を受験。入学して1ヶ月も経たずに家出。そして退学。通信制の高校へ編入。一浪して、現在は私立大理系1人暮らし。まあ、1人暮らしをしているので、もう我が家にもどってのひきこもりはないかも知れない。下の娘は順調に地元公立大へ。さてさて、バイトを始めて1ヶ月もしないうちにもう辞めると言い出している。どうなることやら。さあ、この親の対処の仕方だが、私には到底できそうにない。家庭内暴力はこれで必ず収まると言われても、実際にそういう場面に置かれたとき、あわてふためいて、そんな、「暴力は嫌だからしばらく家から離れる」とか「警察に連絡する」とかできる自信がない。社会問題としてとらえたとき、まあ、2割くらい働かない人がいてもいいのかなあ、と考えることはできそうだ。18歳で選挙権を持たせたわりに、若者というのが40歳くらいまで引き上げられているようだ。まあそれもそうだろう。私も50歳を過ぎて、両親の死に直面したことで、やっと大人になれたのかなあ、と最近思っているところだから。ふだんは手を出さない版元だけれど、本書は別格なので購入した。そうか、近いところでは、井上章一さんの本も買ったなあ。
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安心して引きこもれる環境を作ると、人は「そろそろ外に出ようかな」という気になる、ということでしょうか。確かに余裕がないと現状維持を望みがち。しかし、語り起こしで作ったんですね、この本。
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「ひきこり」問題をクローズアップした著者の新刊。最初の著書の20年ぶりの新装版らしいが、最初の著書と社会の状況も筆者の立ち位置も変わり、20年前、いや10年前でも、には想像すらしない状況になった。以前は「ひきこもり」は若者の問題であったが、今は8050問題にも指摘されているように中高年の問題であり、また、それは若い時から続いているだけでなく、一旦社会に出てから引きこもっている例も増えている状況が明らかになった。著者はラカンへの言及など少しわかりにくい部分もあったが、ODへの関りなど対話を重視する流れとなり、本書も一般向けとはいえ、誰でもわかりやすい内容となり、著者の内容も一般向けになった印象。具体的な対処法も記載され実践的な好著である。この分野に関わる入門書としても使えると思われた。
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「語り起こし」というだけあって読みやすい文章でしたね。本人が書いているわけではなく、喋っている言葉をライターさんが編集して?本にしているわけだから…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、川崎の事件でまた注目されつつある「ひきこもり」という現象ですが…中高年のひきこもりは大量に居るそうですよ! なんかテレビでもひきこもり特集とか言って、元ひきこもりの人にインタビューとかしているのを観たことがあるような…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
あとがきでの著者の言葉が一番良かったですね! ひきこもりを予防する、まずはそういった考え方から脱却するべきだと…時と場合によっては引きこもってもいいんだよ、そういう社会の方が著者は引きこもりは激減する、とおっしゃっていましたな。確かにそうかもしれません! 引きこもりを異常者扱いするからこそ、ますます当人は委縮して社会に出てこれなくなるみたいな…そういった悪しきサイクルにハマる側面はあるかもしれないですね!
ヽ(・ω・)/ズコー
というわけで…社会が成熟化したからこそ、モラトリアムの期間が長くなって引きこもりが増える…そんな著者の分析には頷ける僕なのでした…。
実際に社会に出ている人だって「本当に大人か?」と言えるような人物いらっしゃいますからね。だから、引きこもりの方もそうビビらなくてもいいかと…思いますよね。そんな人でさえ働いているんだ、という感じで軽く流しておけばいいかと存じます。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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自殺既遂きすい 彼等の自己愛は「プライドは高いが自信がない」という歪さを持っています。この時彼等のプライドは、理想とはかけ離れてしまった自分自身を批判することによって、辛うじて担保されます。このような、自己批判の形を取った自己愛を、私は「自傷的自己愛」と呼んでいます。 「仲の良いお友達のお子さんを預かっているような感じ」で我が子に接しているそうです。理想的な距離感を上手く言い表した言葉だと感心しました。 「欲望は他者の欲望」 「割れ窓」理論 抑圧も受容もしない「拒否」という選択肢があるのです かこん禍根 かなり先駆的な内容だったと言えるでしょう スティグマ(烙印) その概念を換骨奪胎し 時として凡百の治療を凌駕する成果を齎し得るということ 一つの新しい潮流が生まれつつあります 恰もオマケや副産物のようにして ダイアローグ(対話) モノローグ(独白) 動かし難い結論が先にあることから生じる無力感が原因だった 紋切り型のフェイクニュース 「社会の成熟度と個人の成熟度は反比例する」 謂わば「若者の高齢化」という語義矛盾のようなことが起きているわけです ネオテニー(幼形成熟)的な人物が人気を博す社会 せんえん遷延化 未成熟化の帰結としての非社会性 生産性の有無で人の価値を判断するという発想は 社会は常に「無為で怠惰(に見える)二割」を必要としている 白眼視 8050問題 緻密な校閲で迅速な仕上げ
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とてもよかった。ひきこもりの状態は、本人も苦しんでいる。ひきこもりの捉え方、家族の関り方、家族への支援の仕方が丁寧に書かれている。支援を必要とする状況の人に対して、理解と支援の和が広がることで、支援される人にもする人にもよい循環が広がることと思う。ひきこもりに限らず、様々な立場の人が暮らしやすくなることを願う。
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内容と不釣り合いかもしれないけれど、読んでいてホッとした。引きこもる自由が完全に認められれば、長期間ひきこもる人は激減する。脅されて働くことはしないけれど、働かなくてよいと言われたときに始めて、人は自分なりの働く意味を自覚する。その通りやと思う。
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斎藤さんは、ひきこもり問題で検索するとよく出てこられる方で、YouTubeの動画もみていましたので、本書も読んでみたくなり読みました。
ひきこもりの問題は表には出てこないが、秋田県、山梨県、佐賀県での調査から、政府調査の115万人どころか、全体では200万人と考えるのが妥当。
確かに「ひきこもり」の定義によっては、家事手伝いの女性や、中高年・高齢者等を含めますと、相当数の様々な境遇・状況下の「ひきこもり」達が存在していそうです。
アメリカ・イギリスなどでは、日本でひきこもりになるような人たちはホームレスになることが多いことから、社会参加できないひきこもり達を無理矢理外へ出せば、大量のホームレスたちが発生する。
なので、社会参加が容易になるような支援をしていくべき。
抜け出すには(自力ではなく)家族以外の支援が欠かせない
まったくその通りで、当事者や家族達は視野が狭くなる悪循環に陥ってしまっているので、色々な意味で、Webでも電話でも相談するのでも、抜け出していくために何がしかの「ヒント」的なものを第三者から得ることは、必ず必要なことです。
悪徳業者は問題外・論外
長田百合子・杉浦昌子等の思い上がった手法で、実際に死亡事件まで起きた。
長田隆宏も評判が悪い。
第四章家族のための対応のヒント
この章でのお話の内容は、すべてのひきこもりのご家族の方々にぜひとも読んでほしいお話です。
・安心してひきこもり、社会参加の意欲が生まれるように、何がしかに取り組んでいくためにも無制限ではなく小遣いなどのお金を与え、対話は欠かせないし、議論・説得ではなくて、親切に、どうでもいいような会話をしていくべき。
まずは、公的支援機関のひきこもり支援窓口に相談することが第一
医療以外の支援、親亡き後のライフプラン=「お金」の問題を考えることは、必要不可欠。
「急にこの生活が終わる」と強い不安に感じてしまうことが起こりえる。
「あなたを扶養できるのは後××年が限界だ」と宣言する。
あと何年は経済的に心配しなくてもいい、と安心して働けるようになること等がある。
年金・生活保護等、将来必要になる手続きを申請する権利があることを早い段階で認識してもらうこと。
第六章ひきこもり問題の歴史・現状・未来
「すでにひきこもりから抜け出しつつあるような人たち」にとっては、就労によって元気になるケアとしての就労移行支援事業は高い可能性がある。
しかし、抜け出しつつある状態までの段階ではない当事者の場合には、就労支援は「苦痛」でしかない。
第七章成熟化した社会と未成熟な大人たち
当事者は社会に出ても、どんどん社会で「成熟していく上位グループ」としてではなく、社会性のない、「非社会的な」ひきこもり的な現状を宿命的に受け入れ、「現状は変えようがない」と絶望し、「下位グループ」の地位でありつつづけることを宿命のように自ら進んで受け入れてしまう点。
しかしそれでは、社会で人々間の断絶化を深めていき、当事者たちは非社会性の一途をたどるほかない。
とても読んで良かった本でした。
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今の三大関心ごとのひとつのひきこもり。これは当事者というよりも、その周りの人、自分には関係ないと思っている人向けの本かも。
何故ひきこもりとなるのかや、しんどさの原因を明らかにして対策を伝える。
中高年に特化した内容というより全般的なものでした。
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2022年11月29日
宮台真司を、殺意を持って襲った、とされている
41歳の倉光実容疑者
一度も、就職したことなく
ずっと引きこもっていた、らしい
神奈川県相模原市の一軒家で、
水道工事業を営む父と母の3人で暮らしていた。
姉が2人おり、倉光容疑者は末っ子だった、らしい
仲の良い普通の家庭だった
と近所では見られていた
お母さんがエホバの証人の信者で
数年前にお父さんとタバコを吸って立ち話をしていた時、『女房が宗教にハマって困る』とぼやいていた、そうだ
倉光実容疑者が自殺した場所は、彼がひきこもっていた離れの家でもあり、彼の母親が「エホバの証人」の集会所にした建物でもあった。
倉光実容疑者はスポーツが得意で
野球の強豪校で有名な私立高校にスポーツ推薦で進学したけど
その頃からひきこもりがちになったみたい
本書は、2020年1月30日が 第一刷発行(だいいちずりはっこう)だから
この事件には触れられてないけど
本書の最後に述べられている
「ひきこもりもいる明るい社会」のイメージは
とても現実的なものだと思う。
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もしかしたら自分もその可能性があったかもしれない。現在、40~64歳の中高年でひきこもり状態にある人は61万人いると内閣府調査では言われている。高齢化やひきこもりが長期化することによって中高年ひきこもりは増加し、また専業主婦や家事手伝いといった形での潜在的ひきこもりを含めると100万人を突破している可能性もある。
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01gaiyou/s0_2.html
ひきこもりは不登校や退職といったきっかけで起こることが多く、復学や再就職の難しさが社会復帰への障害となる。うつ病や統合失調症といった精神疾患との併発も指摘されている。また家族にひきこもりがいるといった状況は恥ずべきものとして隠される傾向にあるため、外部に知られずに数年経っているといったケースも多い。
個人的な経験では、地域に行くと意外と若者が残っている状況が散見される。よくよく話を聞くと、何年間もひきこもっていて地域活動にも参加していないという、地域の中でもアンタッチャブルな存在になっている。秋田県藤里町では若年人口の10%がひきこもりだった調査結果もあり、活性化だ移住だという前にこれら潜在的な課題を解決する必要がある。
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/10/12/109919/
中高年ひきこもりはその状態が問題なのではなく、それを支える家族とくに親が高齢で年金に支えられており、介護や死去によって途端にその生活の継続性が詰んでしまう、いわゆる「50-80問題」だ。それまでに対策しようにも、家族ともコミュニケーションが取れていないケースも多いため時間を経るにしたがって深刻化するリスクもある。潜在的な時限爆弾を抱えていると言えるだろう。
そのため、地域において月3万円とか5万円とか、低収入でも社会参画が実感できるような仕事をつくることは社会福祉上も意味がある。実際に上記の藤里町では、これらひきこもり対策プロジェクトを推進した結果、社会復帰を果たした人々が出てきている。