0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦争論」の背景にこんな事があったんじゃないの?っていう小説ですね。
ただ、「クラウゼヴィッツ夫妻の『戦争論』を世に出すための戦いが今始まる――」
っていう商品説明はどうだろうか。
婦人が頑張ったのって最後だけだよ。
投稿元:
レビューを見る
主人公はクラウゼヴィッツの妻か
クラウゼヴィッツの戦争についての論述を戦争論として出版した人。
ナポレオンの戦争について
投稿元:
レビューを見る
浜松オンライン読書会さん(https://twitter.com/hamamatsuod?s=21&t=Am3Pjkel8H6wBctSFU_29w)の企画「著者を招いての読書会」に出席するために読みました。
第一印象は異色の歴史小説。しかし、面白く読めました。
主人公はプロイセンの陸軍少将クラウゼヴィッツ。実質的には左遷である士官学校校長に任命されたクラウゼウィッツは「戦争の正体」を明らかにするために論文の構想を練っていました。彼が取り上げたのは自らが経験したナポレオン戦争の6つの戦場。この戦いを通して彼は有名な「戦争論」を書き上げて行きます。
「フラウの戦争論」という題名の通り、本書はクラウゼヴィッツ夫人(フラウ)が「戦争論」の完成にどう絡んでいったのかを描きます。
本書の読みどころは
1)ナポレオン戦争の6つの戦いの顛末を地図付きで、ナポレオン側、プロイセンを中心とした同盟軍、両方の側から描いていること。両軍の動きが必ずしも合理性に基づいたものではなかったというのが理解できます。特に面白いと思ったのはフランス側の参謀長であるベルティエとスールトの能力の差。グルーシエの伝言がうまく行っていたのなら勝敗は変わっていたかもしれません。
2)主人公クラウゼヴィッツと夫人とのやりとり。2人の会話はウィットに富んで楽しいものです。夫人がクラウゼヴィッツにゲーテを勧める場面、誕生日当日のウンテー・デン・リンデンの散歩の場面は微笑ましいと思いました。
面白い小説ではありますが、不満もあります。「戦争論」はクラウゼヴィッツの病死により、未完に終わり、夫人が遺稿集を編集して出版されています。「フラウの戦争論」という題名から、夫の死後の夫人の努力が焦点になるのかと思いましたが、その記述はほとんどありませんでした。続編を期待したいと思います。