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中国で生活する中で私自身が接する中国人は、みな明るく友好的でマナーを守ります。
価値観が近い人もいるし、仮に考えが違っても日本人同士より余計な気を遣わずにストレートに意見交換ができます。
なので私は中国人に対して、基本的に好感を持っています。
一方で、国としてはどうなのだろうかと思い、本書を手に取りました。
今年初めに出版されたものなので、内容に古さを感じることもなく、また文体が分かりやすいこともあってサクサクと読み進めることができました。
駐在員の家族としてのほほんと暮らす分には、ほとんど日本と変わらない生活ができていますが、本書を読むと改めて中国人には基本的人権が与えられておらず、政府はそれを与える気もないのだと思い知らされます。
自分の考えで人生を選択できない、人権活動に参加することもできない、そんな時代遅れとも言えるような国が経済大国となり、世界に影響を与えるのかと思うと空恐ろしくなります。
治安を脅かす、社会の秩序を乱す、こんな理由で行動が制限され、逮捕される。
その基準は曖昧で、警察がそうと見なせば罪になる。
戦時中の日本のようです。
一市民である私にできることは、関心を持ち続けること。
中国国内で懸命に闘っている人がいることを忘れないこと。
そして、自国の政治や外交をしっかりと見続けることなのかなぁと思いました。
歴史を知ることも大切だけど、今を知ることも大切。
こういうジャンルの本は新しいに越したことはないですね。タイムリーに良書に出会えてよかったです。
2020年48冊目。