紙の本
国内外で名声の高い中村文則氏のSF傑作小説です!
2020/07/17 10:28
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『銃』(新潮新人賞)、『遮光』(野間文芸新人賞)、『土の中の子供』(芥川賞)、『掏摸 スリ』(大江健三郎賞)、『私の消滅』(ドゥマゴ文学賞)など次々に傑作を発表しておられる中村文則氏の作品です。内容は、近未来の島国・R帝国がテーマとなっている物語で、人々は人工知能搭載型携帯電話・HP(ヒューマン・フォン)の画面を常に見ながら生活しています。ある日、矢崎はR帝国が隣国と戦争を始めたことを知ります。しかし、何かがおかしいのです。国家を支配する絶対的な存在「党」と、謎の組織「L」が絡んでいることが次第に明らかになってきます。この国の運命の先にあるのは幸福なのでしょうか?それとも絶望なのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
紙の本
新しい戦前から何が始まるのか
2023/01/22 11:13
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投稿者:ノホホン - この投稿者のレビュー一覧を見る
近未来の架空の国の物語「R帝国」は2017年に執筆された。
あらためて2022年を振り返ると,この物語の構成要素「カルト・侵略・陰謀説
・原発問題・感染症」は全て現実に起こっている。
物語の中では,「日本の戦争」が小説の形で引用され,
R帝国の政党政治や国際緊張関係と対比される。
本のあとがきで,作者が『R』の意味を暗示しているが,
現実の世界では『R』されないことを祈るばかり。
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途中まで読んで、
しばらく放置してしまった作品
すらすらっと読めるタイプではなく、
ドッシリと腰を据える必要があるため、
いつの間にか埋もれてしまいました。
読書好きな人向けなので、
あまり簡単には薦められませんが、
ハマる人には堪らないと思います。
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政治と歴史に疎い自分には難読な内容だったが、将来本当にこんなるのでは?と連想させられた。
国家の情報操作、自己主張するAI、そのとき個人はどうなるのか、全てをそれらに任せて自分では決めれない人間になっていくのでは、そんな世界が訪れる可能性もゼロではないことを感じさせる。
にしても読み終わった後がなんとも言えない感じになる作品。
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フィクションなはずなのに…異様に怖くなる。
コレはきっと現実に近いんだと思う。
それにしても…中村文則さん全開です。
好き嫌いは分かれるとは思いますが…私は大好き。
ただ、今回のは内容が難しかったぁ〜。
通常、ここの感想には自分用に内容も書き込むんですが
果たしてどれだけ自分が理解できているのか???
そんなんで、内容は省略。
ま、かなり濃い内容なので、忘れることはないでしょう(笑)
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エロがやたらと多かった。内容的にもあまり面白いと思えず、読後、エロが多いという感想だけが残りました。
なんというか、暗い話を書きたくて暗い話を書いているという印象を受けました。
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中村さんらしい始まり方。
RとかLとか、中々に言葉を上手く使われてますなぁ。
現政権を思わせる無能な政府。
スマホならぬ、HPというアイデアは秀逸。
淡々と、この過激な物語を静かに描くのは才ですね。
ただ、もう一度頭の中を整理して読み返したいのも事実。
やはり中村文則は侮れない。
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R帝国 未来のある国
情報操作を基本に国を支配する政権は、操作されていると気づかれないように国民を操作する。多数を操作するために少数の犠牲を厭わない。
うう 気持ち悪い。コロナの感染者数の発表の数字、東京都の数の少なさに???あれだけの人口を抱えてて、区部の密度を想像すると何で? と思ってた。やっぱり何らかの操作があったの? 気持ちが悪い……
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ディストピア小説。この世界が向かう先。陰謀論のような要素が盛り込まれていて、ウイルス、監視社会のように現代を加速させた世界観だった。この世界はもう変えることができない。一人一人が変わることなんてない。多数に流され、強者の言うことに従う。胸糞な描写もあったけれど、それが人間の真実で、希望がない終わり方だった。
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本屋さんで見かけて購入。前作『教団X』が積本になっていたので、まとめて読んだ。
前作の延長線上の話かと思いきや、R帝国は近未来の話。ただ前作の考え方?がところどころに出てくるので読んでたらもっと楽しめると思う。
冒頭の「朝、目が覚めると戦争が始まっていた。」から始まる通り架空の戦争中のお話。ただ今の生活にもある内容(偏向報道とか、snsの情報の使い方)に触れていたり、こちらで起こった出来事が小説の中でフィクションとして出てきたり、現実とリンクするような内容だった。
作中のR帝国を始め、B国、Y宗国など具体的にどこかのモデルがありそうで、僕にはどこか見当もつかないので真面目に勉強していなかったことが悔やまれる。
決して読んで感動したり暖かい気持ちになるような本ではないと思うが、物事について考えるきっかけにはなりそうだと思う。少なくとも私は近代史を勉強したくなった。
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悪とそれに虐げられる弱者を描いている。。
いつもの中村文則の作品、ややディストピア要素多目って感じ
悪と衆愚性、閉塞による幸福など、これまで同様の作品で扱ってきたテーマを詰め込んだ繰り返しになる
それも含めてリピートですね
初めて中村文則さんの本を読む人にはお勧めです、読みやすいし
今まで著者の他の作品を読んできた人にはやや単調なsf小説かもしれません
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中村文則作品は好んで読んでいる。
今作も面白かった。初期の作風と違う。
エンタメ要素が強化され、わかりやすくなったし、
伏線も回収するし、結末も肚落ちする。
芥川賞作家の大作で良作だ。
ただ本作では純文学系の新人賞は受賞できないだろう。
審査コメントには、出来すぎている、結末を意識しすぎなどが並ぶと思う。
この辺が、今のブンガクを難しくし、超オタクのニッチ市場にしている要因。
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中村文則さんが2017年に発表した作品の文庫版。近未来の島国・R帝国が舞台で、一人の男が目覚めると隣国との戦争が始まっているところからスタートし、そこから謎の組織やR帝国の与党の陰謀に巻き込まれていく。現在の日本が抱える政治・マスメディア・戦争・移民問題を未来の国家に置き換えた感じで、強烈に風刺の効いた作品になっている。作中、高性能の人工知能搭載型携帯電話・HP(ヒューマン・フォン)が出てくるが、シンギュラリティ寸前まで進化しているので、人間とHPとで複雑な会話が成立しているのも面白い。
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ヤバい内容だと思うが、現代の少し未来を書いている場面を読むと、救われた思いがした。
今、この社会はなんとなく生きづらい、と思っているのかもしれない。
信じられるものを信じ、裏切られても起き上がり、理念に生きている人は、現実にもいるのではないか。安全なところから見ている自分が、この小説を読むことは、彼らの助けになるのか、妨げになるのか、全く想像できない。
知性が、普通の幸福を遠ざけることもあると思う。そんな人も受け入れられるように、とにかく、多様な喜びが自然に存在する世の中になってほしい。
愛。
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この作者の作品で久々に面白いと思った。
近未来の時代の話でありながら、今でも、ほんの少し先でも実際に起こりうる事柄を書いていると思う。
現在のコロナ禍の時に、全米を中心に黒人差別反対から変な方向に変わってしまった暴動が起こっている時に、読むと何とも言えない感じになる。
現在の人々の不安な気持ちをザワつかせる作品だ。