紙の本
時計と黒い靴下。
2020/09/21 14:03
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投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作はただの連続誘拐犯を追う警察小説、ではない。
物語は行方不明となっている少女が目撃されたという通報を受けた警察が現場に駆け付ける場面から始まる。
その現場で発見された不可解な事実や、何故か主人公だけが知る情報、そして随所に挿話される二人の少年の物語。
それらの謎が明かされないまま物語は驚愕の第二部へと向かう。
この第二部が本作のターニングポイントでもあり、物語の本当の幕開けとなっている。
その幕開けに至るまでの描き方や構成の巧さが本当に素晴らしい。
第二部ではとある人物の尋問シーンが描かれているのだが、そこで物語の本当の顔が明らかとなり、
そこでの緊迫感や二転三転する真相に読む手を止めることができなかった。
続く第三部・第四部でも二転三転する展開や、五里霧中かつ四面楚歌の状況下の中で何としても真相に辿り着かなければならない焦燥感など
ミステリーやサスペンスに求める要素が全て詰まっていた。
序盤から緻密に張り巡らされた伏線が回収されていく展開や謎が謎を呼ぶエンタメ要素だけでなく、
人間の持つ醜さや歪んでしまった倫理観なども容赦なく描写しており、その部分も個人的には好みだった。
また本作のユニークな点はアイテムの使い方にも見られる。
題名にもなっている時計が重要な役割を担うのはもちろんのこと、黒い靴下がとても印象に残った。
黒い靴下がここまで強烈なインパクトを残す作品は他に類を見ないだろう。
一刻も早く続編を読みたい・・。
紙の本
思いもかけない展開
2022/05/08 09:25
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投稿者:owls - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて読む作家さん。北欧ミステリはあまり読んだことがないので、前半読みづらいかなあ、と思いながら読んでいたら、途中から一気にひきこまれました。思いもかけない展開の連続。尋問場面には息をのみました。そして、ラスト・・・怖い。が、続きが気になるので、続編も読みます。
電子書籍
尋問場面
2021/11/28 07:53
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
後半の尋問の場面はすごいですね。手に汗握ります。この小説のキーワードは、ズバリ黒い靴下です。もちろん、時計もそうですが……。ただ、動機はあまり納得はいかなかったですね……
紙の本
エンディングもミステリー?
2021/03/13 16:23
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投稿者:BenchAndBook - この投稿者のレビュー一覧を見る
エンディングはシリーズものにありがちなパターンだが、もう少し黒幕や巨悪の影をチラつかせてもよかったのでは?と思った。少しストレスのある終わり方だった。しかし取調べシーンやする側、される側の逆転。精神病ケアの一環か?とも思わされたくらいに急転し、どうなってるの?だった。進展が目まぐるしく変わり、ゴールが見えたり遠ざかったり、面白く読み進めた。ただ子供時代の関係者による事件の設定は少し無理があるとも思う。その意味でも今少しエンディングで暗示や示唆があってもと思う。
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私はなにを読んでいるのだろう?
そういう読書体験だった。
整理しよう。
時は現代。スマホがある時代だ。
場所はスウェーデン、ストックホルム。
なにがしかの事件が起きて、警察はそれを捜査中らしい。
捜査の責任者は、サム・ベリエル警部。
上司に反発しながら、優秀な部下を率いて、精一杯捜査を進めている。
ひとつひとつの手掛かりを追って、じれったい思いをしながらも、彼は事件を解決していくのだろうと、私は予測する。
こういう話は、たいていそう進んでいく。
それが、そうならない。
知らない世界に連れていかれる。
私はなにを読んでいるのだろう?
いったいどこにいるのだろう?
これがいっそ心地よいので、この本は、なにも知らずに読んだほうが面白い。
裏の紹介も巻末解説も帯も目に入れず、当然、こんなレビューなぞ読んでもならないのだ。
作者は、アルネ・ダール名義でミステリーを、別名義で他ジャンルを書くという、著書多数の作家である。
であるけれども、翻訳されたのは、これがようやく2冊目だ。
1冊目は『靄の旋律』。
スウェーデンでは1999年、日本では2012年に出版されている。
「面白かった」という記憶は残っているが、あとはさっぱり覚えていない。
いやもうひとつ記憶があった。
「モヤと読むのか。カスミじゃなくて・・・・・・」
解説によれば、2021年にさらに翻訳が出るというので、
これを機会に次々と翻訳が進んでいくと、実に嬉しい。
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日本では8年前に『靄の旋律 国家刑事警察 特別捜査官』一冊しか邦訳されていないが、スウェーデン本国では大御所の作家であるようだ。複数捜査官による警察小説を得意としつつ、別名義で純文学を書き、文芸評論家であり詩人でもあるいわゆる表現のプロ。そのイメージはページを開いたところからがつんと来る筆力を見ると、なるほどごもっとも。
冒頭、二人の少年の印象的なシーンから、いきなり犯罪現場らしき場所での警察突入シーンに視点が移る。読者はこれですぐに持っていかれるだろう。
少女たちの連続失踪事件を追うベテラン刑事の目線で語られる一部から、マークされた怪しげな女性の事情聴取と尋問が始まるが、その辺りから本編は逆転に次ぐ逆転という驚くべき展開を見せる。すべては見た通りではなく、錯綜した裏がある。
そう。最初に見えたのがすべてではなく、次に見えてくるものも不確かと思えてしまう捩じれた世界。事件の全体像が見えるまでの緊張はラストまで途切れることなく続くが、作中の世界は変容を重ね、真実が幾様にも姿を変え、人間たちは見たままではなく、意外な展開を見せてゆく。
挿入される少年たち少女たちのシーンが驚きの展開を見せ、作品に重要な光を投じる。現在と過去は複雑に繋がる。フーダニットのミステリーから、プロットを楽しめる全体像となってゆく。何よりもこれは新シリーズの第一作なので、この事件のその後まで気になるという驚くべきシーンで終わりを迎える。いや、始まりを迎えるのか?
登場人物の多さも、この後の作品への布石になるのかもしれない。予想外の死体発見シーンが読者を混乱させ、何一つ確信させてくれないところが、日本語タイトルにも反映された何ものかであるのだろうか。
印象的な部分は、主人公と犯罪者の双方の、時計へのこだわり。各章が月日と時刻でしっかり刻まれる。仕掛けへのこだわり。組織同士の化かし合い。時に過去が入り込むこと、などなど。
二人のヒーロー&ヒロイン像の個性とパフォーマンスが良いので、今後のシリーズに期待ができる。次作の邦訳も進められているという巻末の解説に少しほっとするし、これは二作以降も読まざるを得ない。決着のついていないことが多いように思う。次作まで持ち越しの宿題なのか?
全体的にエンターテインメントとして申し分のない読書時間を供給してくれた作品である。次作が待ち遠しい。
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監禁ものはつらいな、と思いつつ、
もう一人の主人公の登場の仕方、それがバチバチ後相棒になっていく過程がかなり意外で面白い。
早く次作を読みたい。
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CL 2021.1.5-2021.1.12
出だしとラストは全く違う様相。
前半は好きになれなくて、終盤面白くなってきたと思ったのに、あのラストはまた好きじゃないなー
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スウェーデン。少女失踪事件の有力な手掛かりを得て現場に踏み込んだべリエルたちだが,すでにそこには誰もいなかった。これは連続殺人事件なのか。当日撮影した写真の中に,あるヒントを見つけたが。
またも北欧ミステリ。森林が多くて寒くてという感じが不気味さを盛り上げております。冒頭から,べリエルが時計大好きぽいことがわかるのですが,タイトルの意味と,なぜべリエルがこの事件に執着しているのかと,途中でえっまさかそっち・・・と思いきや展開がまた二転三転するのとで,読んでいてちょっと疲れます笑 いや,面白いけど。
そして最後・・・事件解決のカタストロフィーは持たせつつも,最後・・・。
続きものだったのか・・・。
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待望の新シリーズ第一弾。本当の敵(黒幕)に対峙?する二作以降を期待させる出だし、という感じ。雌雄コンビを結びつける過去のエピソードが唐突に明らかになるのは我田引水の感があるが、熟成していくであろう二人の連係とは別に、鹿の目をした「弟子」との関係がどうなっていくのか楽しみ。
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調子良過ぎる感があるけど、迷路に誘われ置いてきぼりにされた様な感覚の内容。章ごとに入れ替わる不思議感。他の方も書いていらしたが、先入観なしで読んで頂きたい。
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三人の15歳の少女の失踪から始まる物語。三人はどこへ消えたのか。主人公のベリエルの捜査と途中で挿入される一つの挿話。緊張感や不安感が伝わってくる展開と徐々に犯人の姿が見えてくると同時に増していく狂気。シリーズの一作目としてすごく面白く、ラストの展開で次作が非常に楽しみになった。
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一年七ヵ月の間にスウェーデン国内で起きた、三件の十五歳の少女失踪事件。ストックホルム警察犯罪捜査課のサム・ベリエルは同一人物による連続殺人だと主張するが、上司はそれを否定しまともに取り合おうとしない。しかしベリエルの主張の裏には、彼だけが知っている根拠があった。そしてついに彼は、容疑者へと辿り着く。だが尋問に臨んだベリエルを待ちかまえていたのは、予想を遥かに超える驚愕の事実だった―。『靄の旋律 国家刑事警察特別捜査班』が印象に残る作品だったので、翻訳が途絶えのを残念に思っていた。新シリーズはツイストがやや効き過ぎ。しかも次作に続くとは。楽しみである。
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久々のアルネ・ダール。前作は若干モヤモヤした感じの読後感だったので、過剰に期待しないよう読んでみた。
トラップ、歯車、連続失踪事件と、どうしてもジェフリー・ディーヴァーを連想してしまう序盤の展開に自然と不安感が増していったが、容疑者との尋問で不安な気持ちは吹っ飛んだ。ここまでのプロセスもいいし、だからこそのこの緊迫感は期待以上。十分すぎるページ数を残しての展開に浸っていたら、実は二重底のさらに奥にストーリーの素顔が隠されていたという驚愕の構成。
犯人像もいいし、謎解きの部分も面白く読めたけど、事件の背後にあるものがパーソナルな事柄だったのが肩透かし。前半は警察小説で、後半は人間ドラマのような印象。でも続編に繋がる鋭い切り込みに食指を動かされたので、多分読むのだろうと思います。
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映画っぽい。主人公は男性と女性のビジネスパートナー。脇役はすっと出てきてさっと消える。捜査の流れで地味なところは削って、映える瞬間だけを切り取って見せる。ISとかあるので映画はちょっとアレかもですが。文体はややくどい。