SNS時代だからこそ読むべき本
2020/12/30 16:39
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投稿者:MACHIDA - この投稿者のレビュー一覧を見る
センセーショナルに取り上げられがちな事件を、アニメーション専門家(しかも制作者やファンというより研究者)として事実関係や諸方面の反応などを冷静にとりまとめた良書。未だ不明点が多いこの事件を整理し、色々考えさせられるポイントを提起している。事件直後、著者の所には様々なメディアから取材が殺到したようだが、状況を考慮した真摯な対応姿勢には学ぶべき点が多い。
これは読む価値のある1冊です!
2020/09/08 12:24
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
アニメ研究者として著名な著者が、京アニ事件を振り返る1冊です。
著者ご自身が受けた事件に対するマスコミの取材攻勢の体験談、アニメに対する偏見、マスコミ報道の在り方などを説いた内容です。当書を読むと、昔から変わらぬアニメへの偏見、実名報道などのマスコミ報道の在り方を考えさせれます。よって、大変読む価値のある1冊と思います。
紙幅が大変薄いです。薄いのみならず、各章の「注」の文章量が多いので、本文はかなり短くなっています。よって、手頃に読み切れる1冊でしょう。
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事件自体は痛ましいもので言葉にならない。著者も哀悼の意を評しながら、状況を整理してくれている点にはありがたく思う。事件についてだけに留まらず、第3章京アニがどんな会社なのか、第4章アニメ関連の過去の事件、実名報道について、第5章スタジオ跡地について、原画の保管についてなど、周辺の事情についても触れられている点が価値があると思う。
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2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件について、アニメーション史研究者の立場から総括した書。事件の展開過程のみならず、京アニの業界における特異な立ち位置(地方を本拠とする、正規雇用原則による長期の人材育成システム、「家族主義」など)、実名公表是非を含む報道倫理をめぐる議論、過去のアニメ関連の刑事事件の影響など、論点は多岐にわたる(ただし犯人については慎重に分析・言及を避けている)。京アニが他社に比べて従来から「秘密主義」であり、事件後も厳しい「箝口令」を敷いているという指摘や、事件時にアニメ関係者や専門家がメディアで沈黙しがちだったのは、「宮崎勤事件」以来のメディア不信が影響しているという指摘は珍しい。京アニ作品の「内容」を語る者は多いが、作品を成立させている「条件」「構造」を歴史的経緯を踏まえて語ることのできる者は少なく、本書はその数少ない例と言える。
なお本書では、仕上(彩色)の下請会社から元請になり「ブランド」に発展したのは「他に例がない」(p.87)としているが、「ブランド」かどうかはともかく、仕上専門の下請から元請になった会社は他にもスタジオディーンやシャフトがあり(創業時期も近い)、正確な記述ではない。京アニの「特殊性」を歴史的・構造的に分析するためには、東映アニメーションや虫プロダクションなどよりも、起源の近いこれらとの比較が必要となろう。
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2020年9月16日読了。2019年7月18日に発生、いまだ記憶に新しい「京アニ事件」をアニメ史の研究家の立場から整理・問題提起する本。事件発生・第一報の特にマスコミの混乱した状況、コメントを求められるも慎重な識者たち、「アニメオタクによる犯行」の紋切り型報道への違和感、実名報道是非を巡る警察・マスコミ各社の対応の是非、そして事件現場を「聖地」として保存するか否かの視点、など、指摘されてみると確かに考えてみるべき観点がたくさんある事件で、今も適切に総括されていないのではないか、ということを理解した…。京アニはジブリとは違い一般の人(私含む)は「何がすごいのか」も理解していなかったが、「唯一無二」の存在であった、ということはよくわかった。宮崎勤の事件のように、簡単に「アニメオタクの異常性」に事件を結びつけることはなかったのはマスコミ・世論の成熟と言うべきなのだろう。結局、このような事件は今後も怒るかもしれず完全に防ぐことはできない、起きた事件の教訓を活かし、再出発が可能なような、強靭で柔軟性のある社会を我々が作っていくしかないのだろうな。
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アニメ史、京アニの説明が非常に分かりやすかった。
実名報道や組織の運営体制についても再考するきっかけとなる良書だ。
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36名が殺害された放火事件について京都アニメーションに焦点を当てて解説。京アニの素晴らしさは理解できた。
事件についてはモヤモヤする読後感。
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大学の先生が書いた本は感情が排除されたものが多く、また、事実か著者の考えなのか読み取れるようになっているのでとても読みやすく理解しやすい。
戦後最大の大量殺人となった京アニ事件。その内容や経緯など多角的に知ることができた。京アニ自体のこともたくさん書いてあり、同社の起りを知ることができたのは良かった。
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京アニの将来有望なアニメーター36名は、なぜ死なねばならなかったのか。
アニメ-ション研究家が冷静に伝える事件の真相。
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大きな事件が起きると、それをネタにマスコミが焦点の外れた掘り下げをはじめ、ネットでは真偽不明な情報が踊る。この風潮の中では発言が慎重になるのは否めない。アニメーション発展の歴史の中で、アニメ好きの人たちへの偏見と差別があるのは知っていたが忘れていた。また、京都アニメーションという組織・技術集団の優れた点も本書で知った。事件の本質はまだわからない。被疑者がどうなったのかも、その心の中もわからない。2019年の事件だ。私は『氷菓』ファンなので、コミックの巻末に原作者の哀悼の辞があったのを思い出した。
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https://kinoden.kinokuniya.co.jp/shizuoka_university/bookdetail/p/KP00032458/
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事件の経過を追った本だが、客観的に経過が書かれており分かりやすかった。京アニが日本のアニメ史の中でどのような役割を持っていたのかもニワカの自分にも分かりやすく書かれていて興味深い。
マスコミや世間と「オタク」の対立構造を煽りたがっているのは誰なのか、それをする事でどんな得があるのか。そういった点からも興味深い本だった。