紙の本
鎌倉シャツ創業者の物語
2024/01/19 20:28
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「鎌倉シャツ」の創業者の半生を題材にしたノンフィクション小説。
アパレルに興味があってもなくても、一人の半生記として楽しめる。とても読みやすく、商品(シャツ)に対する見方も変わりそうだ。
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【?世界に通用するシャツ?はいかに生まれたか】「鎌倉シャツ」は年間70万着を販売し、NY、上海にも展開する世界的ブランドとなった。創業者・貞末良雄のビジネスの極意とは?
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鎌倉シャツの創業者である貞松良雄についてつづっている書籍。ヴァンヂャケットに入社し、タミ子との出会い、労働組合から受けるいじめ、商社都合による在庫過多による倒産の経験その後のヤオハン、ヴィレジャージャパン、シーンを経て鎌倉シャツを起業。低価格、単一価格(4900円)でお客様に価値を提供することをモットーにしている。製造するシャツは日本の工場に委託しており、メードインジャパンを訴求する。2012年にはニューヨークマディソンアヴェニューに出店し、銀座でアメリカ人が寿司屋を開店することの違和感と言われていたニューヨークで日本人がシャツ屋を開店することを達成する。また2019年にはアメリカでの成功をひっさげて中国上海への出店も達成、2020年からは娘の奈名子氏に経営を譲っている。今後のコロナ禍での海外展開や2代目の経営手腕に注目していきたい。
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「鎌倉シャツ」は昔、たまたま第一号の店舗に行ったことがあり、今もなにかと気になる企業だ。創業者の貞末良雄氏は、日経MJなどにもたびたび登場する、ファッション界の論客だ。
鎌倉シャツの成功ストーリーは、よく知られるところだが、個人的に面白かったのは創業以前の物語。
VANが傾いていく過程は、企業倒産の格好の事例である。営業部門と管理部門の力関係などは、どの会社でもアルアルだろう。
伸び悩んで商材が、高い伸び率を記録するーー。それが特定の人物「できる○○の貢献」とされているなら、とくに注意したほうがいい。
「社長賞」も要注意。VANが売上げ至上主義に走りはじめた頃、内部の管理を無視して密かに商品をつくって供給した製作本部の業務課長に社長賞が出たという。結果から言えば、倒産への序章でしかなかった。
「なんであいつが?」という納得感のない社長賞は、地道に働いている従業員のモチベーションを下げることもある。
ヤオハン在籍時の話は、本書で初めて知った。入社後の研修や故・和田一夫氏との交流ほか、興味深いエピソードが満載。
それにしても、緻密でありながら、大胆な決断をし、全力でやりきるーー、ができる経営者ってなかなかいないなあ。
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ビジネス書ではなく、ライトなエッセイやコラム的な書き方。
経営的側面を期待していたので反省。
・・・
ラストは、タミ子とダンスをし、娘に会社を譲って終わり。
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行動力と発言力、決断力があるからこその成功のように感じた。サラリーマンのときから自分の意思を持ち、発言し、立ち向かう人間だったからこそ、人の信頼を得て成長した会社のよう。利益ではなく、成し遂げたいことに対し、周りの人を大切にした話。震災の時に福島の工場の発注をストップするのではなく、残業代払うから作ってというのも印象的だった。成し遂げるためには、粘り強く、小さなきっかけも見逃さないのが大事。
夫婦で会社を作り上げ、強い絆を感じる家族だった。
成功者の行動を見れる本だ。
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経営者の伝記的な話が好きなために、この手の話をよく読んでしまう。
貞末社長はスゴイわ。創業したのが53歳だったのか。
チャレンジする年齢としては遅いと思うが、この物語を読むと年齢は関係ないように思えてくる。
そして、さらに言うとタミ子夫人もスゴイ。
よく夫に付き合って商売を始めたものだ。
そこからメキメキと会社を成長させ、これだけのブランドに仕立て上げる。
接客、営業面ではタミ子夫人の功績が大きいという。
ニューヨーク出店までが大きな流れとして描かれているが、最後は良雄氏とタミ子夫人との夫婦愛で終わっている点が、この著者の特徴か。
前半部分は貞末氏が、VANなど会社に所属し、鎌倉シャツを立ち上げるまでのサラリーマン生活を描いている。
実家は山口。複雑な家庭の中で幼少期は広島で暮らし、VANに入社するも、営業からは外され大阪の倉庫番へ。
しかしながら倉庫番の立場で頭角を示していく。
アパレルという華やかな世界であるが、実際は商品を動かしている以上、仕入れと出荷による物流が要だ。
システム化などの提案もしつつ、ここで経営センスを磨いていくことになる。
NANには石津謙介というカリスマ創業者の会社であるが、一時期の勢いは衰え経営が傾いていくと、商社が資本参画し、役員を送り込んでくる。
その商社から商品の仕入れ代金を仮入れつつ、百貨店には委託で販売する流れが自然と構築されていく。
商社にとっても、VANに納品すれば売上が立つ訳で、見かけの数字作りの方が主眼となってしまう。
VANの方は百貨店に対して、委託として納品した時点で売上を立てているから、見かけ上は増収になっていく。
ただし所詮委託で納品しているから返品はフリーで受け付けることとなる。
恐ろしいほどの自転車操業がまかり通ってしまい、結局返品の山、在庫の山で会社は倒産してしまう。
この状況で貞末氏が再三にわたり経営陣に進言しても、まったく聞いてもらえなかった。
会社というものは、腐り出したら止めることは出来ないのか。
計算すれば子供でも分かるようなことが、権力の綱引きの中では思うように動けないのか。
逆に言えば、こういう鬱積したアパレル業界の裏側を知っていたからこそ、貞末氏は「高品質のシャツを安価でお客様に提供したい」というシンプルなビジネスプランで勝負をかける。
しかし特別なビジネスモデルは何もない。
だからこそ、事あるごとに周囲から「止めた方がいい」と言われるが、貞末氏には絶対の自信がある。
「これだけの品質のものがこの価格なら、何十万着売れるはずだ」
こういうのは本当に不思議に感じる。
マーケティングとかと全く関係なく、起業家の独特の感覚なのだろうと思う。
絶対に他の人には見えない何かが、彼ら起業家には見えているのだ。
それに付き合わされるタミ子夫人も、通常であればたまったものではないが、逆にタミ子氏がいたから鎌倉シャツの経営が伸びたとも言える。
起業において、誰をパートナーに選ぶかは本当に重要なことだ。
鎌倉シャツにとっては、こういう幸運もあって業績を伸ばし今に至っている。
シャツの歴史を作った起業家、貞末良雄氏。
いい本だった。
(2021/9/30)
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メーカーズシャツ鎌倉の創業者、貞末良雄氏の伝記。1978年に倒産したVANの出身者だったということを初めて知った。ヤオハンやアパレルを経て、53歳で創業。鎌倉駅の近くのコンビニ2階で、妻タミ子氏が一人で立つ店舗から出発。こだわった縫製と4900円という低価格で、雑誌に取り上げられ、創業15年で年間30万着を売る店に成長する。当時の日本のシャツ屋は大手は7社ほどで、その全てが赤字だった。その業界に一石を投じたわけだ。
鶴岡八幡宮の横に移転した鎌倉本店には、オープンしてすぐにVANの石津謙介が訪れ、「庭があってコーヒーも飲める。服だけでなくライフスタイル提案型のショップはまだ日本にはない。画期的だ」と絶賛したという。石津は死ぬ前の読売新聞のインタビューでも、VANで学んだ卒業生の活躍を喜び、第一に鎌倉シャツを挙げたという。悲願のニューヨーク出店は2012年。しかしその店もコロナ禍で撤退を余儀なくされている。さらにタミ子氏が18年に脳出血で倒れ、現在は経営は娘の奈名子氏が社長を継いでいる。
基本的に、ノンフィクションというより再現ドラマみたいな文体なので、本当かどうかは分からないが、VAN時代に幹部社員として労働組合と対峙した話は面白い。新大阪駅で女性に道を尋ねられた場面が隠し撮りされ、女と出張旅行として、組合ニュースに掲載、それが自宅に送りつけられたという。70年代の労働運動の激しさを物語るエピソードだ。石津に退職を告げた際、VANの懸賞品、カーペンターキットを所望して、いただいた話も良い。
惜しむらくは当人らの写真や、店舗の様子などのビジュアルが一切載っていないこと。それがあれば、もっと味わい深く読めたかな。
貞末氏は山口県柳井市育ち。山口県といえば、ユニクロ創業の地でもある。アパレルの偉人を生む風土があるのかもしれない。
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この本には、
時代がどれだけ最新技術や効率化で変わろうとも、
良いものを世に作り届ける、
ど真ん中の商人道があります。
そして鎌倉シャツには、
「世界で戦う日本人をシャツで応援したい」
という、思いが込められていることがよく分かります。
ファッションに疎い私だけれど、
弱虫と綴られ、弱いものを助けたいという貞末さんに
深く共感し、困難に立ち向かう勇気をもらえました。