『迷い』と『気持ち』
2022/01/22 23:13
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投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
短篇集的な構成となっていますが、主となる人物『鷹野』のストーリーが横臥されたものが本書です。そういった点からすると、なかなかの読み応えでした。
司法ミステリとしての展開テンポの良さを感じながら、人としての複雑な感情の縺れに鼓動の高鳴りがありました。人は感情というものに対して常に単純ではありません。迷いや遣り切れなさが纏わり付いてきます。それらをコンピューターの様に処理・・とはいかないものです。それが本書で具に現れています。
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
元医師で弁護士の鷹野、師団坂法律事務所の創業者の娘の芽依、元刑事の梅津、元裁判官の桐生、元ニートの杉村からなるチームで被告人のため正義を貫く5篇のリーガル作品。
5人の弁護士の主担当案件が1篇として構成され、それぞれの生き方や目標、考え方等が絡み合って進行する。
5人の個性がぶつかり合い面白い作品です。特に鷹野死刑に関するパートは考えるところありでした。ただミステリーとしてはちょっと物足りなかった。
長編の大門作品の方が自分には合っている気がした。
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大門剛明の『正義の天秤』の続編。
5編からなる短編集。
前作で、名門の師団坂法律事務所の立て直しにやって来た元医師の弁護士・鷹野。
荒療治で賛否両論があった彼が、なぜ弁護士になったのか?その悲しい過去の経緯が明らかとなります。
特に、最後の『正義の心臓』は、彼の被告人が、何と彼が弁護士になるきっかけとなった別の事件の容疑者とは...
果たして、被告人を弁護士として守るのか、それとも、弁護士を捨てて復讐に走るのか?
最後は、やはり弁護士としての矜持でしょうか。
今後の活躍を楽しみにしています。
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司法的治療、ケアだな...。様々な事情により犯罪行為を犯す者を救うのに必要なことは? 被害者及び残された家族の心情は? 復讐と贖罪...。当事者となった時に同じような意思決定ができるのか。色々と考えさせられる一冊。
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5話収録
前回から続いているお話もありました
今回もまたいろんな弁護がありましたが
単純なものはなく楽しめました
このシリーズは今後も出てきそうだなぁ
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師団坂法律事務所に属する弁護士たちが、黙秘権を行使させて被告人の無罪を勝ち取るなど、ユニークな弁護活動を描く連作短編集第2弾。
全話を通じて謎となっている、シニアパートナー鷹野が絡む事件の真相が最終話で明らかになる。
これで、このシリーズも終わりなのだろうか。それぞれにユニークな弁護士たちの活躍をもっと見てみたい気がするが。
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「正義の天秤」の続編。
前作同様、章ごとに主人公を変えて描く連作短編集と言う形を取りながら、鷹野の恋人が殺された事件の真相に少しずつ迫っていく。
創業者の娘・佐伯芽依、元裁判官の桐生、ニートだった杉村、元刑事の梅津。
鷹野に「ブレーメンの音楽隊」と言われたメンバーだが、それぞれの個性を活かし、各々が裁判に臨む姿が端的に描かれる。
鷹野の登場シーンがほとんどないのが、この作品の凄いところ。でも的確なアドバイスはそれぞれの胸に響き、信頼関係が徐々に築かれていく様子もよく分かる。
そして、最終章の「正義の心臓」では鷹野の恋人が殺された事件の真実が15年ぶりに明らかになる。
リーガルミステリーでありながら、難しい用語はそれほど使わず、裁判のシーンも極力抑えめで、裁判に至るまでの被告人との人間関係を大切に描いている印象が強い。
ドラマ化をきっかけに読んでみたが、読んでよかったと思える作品だった。
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前作で決着がつくと思っていた過去事件の真相解明は、シリーズを続けていく中で徐々に明かされていくものと思っていました。なので、本作でカタがついてしまったことに肩透かしをくらったように感じちゃいました。
その真相というか、キムラヒデユキの正体については「改名してました」は予測がつかなすぎるので、もう少しそれを匂わせる何かが欲しかったように思います。また、現実だったら南野の過去を調べたらすぐに分かりそうに思ったので、ちょっと微妙な印象も受けてしまいました。
本作はそちらよりも、桐生が主役となる第2話「黒と白」の方が面白かったです。裁判官として自分が判決を下した人物からの依頼というシチュエーションが特異なのと、前作から描かれていた桐生の心残りが気になっていたこともあり、惹き込まれて読んでいたように思います。
総合的に見て悪くない作品だと思いますが、同作者の他作品がこれまで個人的にハズレなしだったので、期待が大きすぎて相対的にスッキリしない印象が残ったように感じました。
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4月10日読了。殺人犯を弁護する弁護士の心の葛藤がありありと描かれている。最後の正義の心臓の話では死刑にしてほしかった。
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リーガル・ミステリー「正義の天秤」第2弾。本書は表題作含む5話収録。
自分の感情に背きつつも犯罪者の弁護をしなければならない弁護士という職業の難しさが伝わる作品。接見して無罪だと信じていた被告人に裏切られた遣る瀬無さ、冤罪を生み出してしまうのではという恐怖、そういったものと戦っているのだなと感じる。冤罪は確かに怖いが、逆も怖い。つまり有罪の人を弁護によって無罪にして野に放ってしまうことだ。
人が人を裁く難しさを改めて考えさせられる。
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今回は師団坂法律事務所、刑事事件を担当する弁護士それぞれの活躍の話と、リーダーである鷹野が追っている事件を絡めての連作短編といった感じ。
加害者を弁護することは、とても大変で難しい。そして因果な職業です。
考えるだけでも震えます。
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中々面白かった。
大門氏の作品で初読したものの印象がイマイチだったのであまり期待せずに読んだが、短編集でありながらルーム1メンバーの個性がしっかり書かれており、縦軸の鷹野の恋人殺害事件も最後までどんな結末になるのか興味深く読めた。
是非シリーズ化して今後も楽しみたい作品である
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登録し忘れに気がついた笑
前作より、話がどっしりしていて面白かった。
動物の引き取り屋はほんとうにひどい話だ。
宿敵が現れてくるあたりから一気読み。
なんと!!ってなったわ。
これからの話も読みたいが、蛇足になってしまうのかな。
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法律事務所の一人ひとりに焦点を合わせながらも、長編小説としたもの。
第一作に比べると、若干迫力不足か?
全体の流れはわかるのだが、冗漫な感じが否めない。
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「正義の天秤」の続編。
前作と続けて読むことができてハッピー。
本作も短編連作リーガルミステリとなっています。
そして、本作では、鷹野の恋人だった久美子の謎が解き明かされます。
■アイギスの楯
杉村の物語。
黙秘権の重要さがわかる物語。
駅のホームで女性を突き飛ばし電車にはねさせ、死亡させたとした男の弁護。
その事件の真相は?
3年前の事件に絡んだ悲しい事実。
■黒と白
桐生の物語。
桐生が過去に裁判官として裁いた男からの再審請求。
その再審請求を桐生自身が行うことに。
冤罪だったのか?
その事件の真相がとんとんと明らかになるのに加えて、再審請求の裏側に隠されたものに唸らされます。
うーん、そんなことあるのかなあ。
■手のひらの楽園
梅津の物語。
犬のブリーダが殺された事件の容疑者の女性。
生体販売の実態が描かれています。
TVのCMでも生体販売のことをやっていますが、動物とはいえ命を扱うということの重さを感じます。
■もう一つの正義
芽依の物語。
アパートでの殺人事件の被告人の弁護。
殺害されたのは殺人の前科のある人物。
被告人に裏切られながらも、芽依がまた一つ成長していきます。
■正義の心臓
いよいよ鷹野の物語。
久美子の事件の真相。明らかになる犯人。そして、その犯人に対して、鷹野のとった行動とは。
最後までドキドキします。
前作に比べて楽しめました。
これまた順番に読みましょう。
お勧めです!