紙の本
横浜メリー
2022/04/16 21:23
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
名前だけは聞いたことがありました。てっきり、映画の中のフィクションで、映画見た人があの格好で、歩いていたのかな、なんて思っていました……違うんですね……
紙の本
どこへいったのか
2021/01/12 20:19
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
檀原照和「白い孤影 ヨコハマメリー」も読みました。こちらは映画を撮った監督の本だそうで、表紙からもわかるようにメリーさんが強烈なインパクトを残したことにただただ圧倒されました。非常に濃い内容です。
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『ヨコハマメリー』の監督さんが書かれた、作品製作の顛末なのですがとても面白かったです。
描く対象が不在で、メリーさんに関わった人たちの証言を元に描く…ってすごい。それに、関わった人たちもそれぞれ魅力的でその生き様も濃いのですが、それでもメリーさんは霞まないので、このバランスは作品が更に観たくなりました。
横浜の戦後史と、闇の部分の風俗史も興味深く読みました。松本清張作品を読んでくるとこういう時代の頃を隠し通したい人が多かったのかなと思いますが、過去のことなのか、こういう風に語れる人もいるのだなと。少数派なのかもですが。
消したい都市の記憶だろうけれど、昔からの建物やお店がガンガン無くなっていくのは寂しい気持ちです。
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メリーさんに興味をもち、資料を調べドキュメンタリーを撮るなかで、偶然の出会いから次々とメリーさんの輪郭があらわにがなってゆく過程が、もんのすごくおもしろい!
戦後を娼婦として生き続け、時代の流れのなかで忘れられてゆく、メリーさんや彼女を取り巻く人々の生きざまが哀しくもかっこよい。
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<目次>
第1章 メリーさんとは何者?
第2章 「ヨコハマ」から読み解く近現代
第3章 「メリーさん」の記憶
第4章 ローザとメリー
第5章 港のメリー・ヨコハマ ヨコスカ
第6章 二人の「マイウェイ」
第7章 伊勢佐木町ブルースが聞こえる
第8章 エピローグ
<内容>
自分は、関内で営業をしていた時に本物の「メリーさん」に会っている。本当に白塗りで周囲から浮いていた。どこで会ったのかは覚えていない。馬車道の「ユーリンファボリ」前だったかもしれない。
この本は、その「ハマのメリーさん」にまつわるドキュメンタリー映画の撮影のウラ話である。著者は、「メリーさん」に会いたかったわけではなく、その頃からの伊勢佐木町界隈を切り取りたかったようである。戦後の猥雑だった時代から、高度成長期に変わっていったヨコハマを。そのため「メリーさん」を探すのではなく、「メリーさん」を知っている人を必要に探し、インタビューをしていく。しかし、なんとメリーさんを探し当て、本物に会いに行ってしまう。そのシーンは私にも驚きだった。そして、みんな死んでいった。あの頃のヨコハマが消えていった。伊勢佐木町は活気を失い(人はいるが、「ここぞ伊勢佐木町」の雰囲気はない)、シラケた街になっている。この本を有隣堂本店で買った。それも何かの因果か?
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途中で断念したが、
メリーさんがこの場所この時代に産まれていなかったら一体どうなっていたんだろう?と思った。
巷の噂でここまで世に知らされるのもなかなかに残酷さを感じる。望んでいたわけじゃなかろうに。
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書き手の中村さんが、あまりにも朴訥で四角四面で素のままでヨコハマメリーという事象にぶつかっていくところがすごい。ヨコハマメリーさん云々ではなくて、書き手の視点が面白い。
ヨコハマメリーに興味のある人には肩透かしかもしれない。(映画で描かれているのかな?)
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2021年35冊目
かつて実在していた白塗り娼婦メリー。彼女の思出話から人々が自分語りを始め個々人の戦後史を垣間見する。
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顔を白く塗り、貴族のような白いドレスに身を包み、ひっそりと伊勢佐木町に立つ老女。ヨコハマメリーと呼ばれた、半ば伝説化された街娼の正体と真実に迫るドキュメンタリー映画の制作ノート。面白くて一気読みでした。ヨコハマの近代史――江戸時代から戦後までのヨコハマの歴史はそのまま、メリーさんと同じく身売りをせざるを得なかった女性達の歴史でもあり、読んでいて切なくなった。メリーさんの存在はヨコハマの風景そのものであり、また失われてゆく過去の時間でもある――メリーさんが生きたヨコハマは既にもうない。彼女も亡くなり、メリーさんを直接知る多くの人もいなくなってしまった。そのことに一抹の寂しさを覚える。
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横浜に住む者として読んで良かった一冊。
街は人が作ったもので、その人も一人ひとりが違う歴史を持っていることを感じた。
今この時も、いつか遠い未来に大きな流れの中で見たら、今とは別のものに見えるのかなと考えたり。
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「老娼婦」という奇異なワードにつられて読んだが、予想以上の読み応えだった。メリーさんを取り巻く人物との対話や町の歴史から、メリー像の輪郭を形作っていく構成であるからこそ、「メリーさんの人物史」×「中村監督の奮闘記」×「町の歴史」でハイブリッドな面白さがあった。
この本を機に、もっとノンフィクションを読んでみようと新たな気概になったことも間違いない。
人間とは、多面的な生き物である。アメリカ人兵士に恋焦がれたメリーさん、男性に身を売るメリーさん、水彩画が得意なメリーさん、、、「本人不在」の世界であっても、膨大なエピソードから徐々に輪郭が浮かび上がってくる過程が興味深かった。「本人ありき」で本人の行動・言動をベースに進行する物語よりも、よほどその人の本質を浮き上がらせられるのではとも思った。
「映画を撮っているのではない、人間を撮っているのだ」 この一言に尽きる。
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映画『ヨコハマメリー』を撮った監督が自らの筆で、<メリーさん>に関心をもったきっかけから、映画を撮ろうと思い立ち多くの苦労や努力を経て完成にこぎ着けるまでの製作過程を描いた。
そもそもメリーさんとは? 歌舞伎役者のように顔を白く塗り、白いドレスに身を包み、横浜伊勢佐木町界隈で立ちんぼをしていた老娼。その異様な風体から多くの人がその存在を知る有名人だったが、作者が関心を持ち作品化を考え始めた1997年には、姿を消してしまっていた。作者は、メリーさんに関する記事を探し、彼女を写した写真集を見つけ、彼女を知る人や関わりを持った人を訪ね、彼女の足跡を追って少しずつその人生に近づいていく。
そして、「メリーさんという対象不在のドキュメンタリー。メリーさんと関わっていた人たちに、彼女と交流したエピソードを語ってもらうことで、中心部分(対象)がいなくても、その輪郭が徐々に浮かび上がってくる様を描く」とのコンセプトで、映画を作り始める。
製作過程でのいろいろな人たちとの出会い、協力的な人もいれば、作者のやろうとすることに反感を持つ人もいる。協力してくれる人とでも考え方や感情の行き違いもあるし、思うように進まない苛立ちや葛藤、金銭的な苦労なども赤裸々に語られる。
また、こうした取材を通して、戦後横浜の時代の推移と個人の関わりについても作者の思索は及ぶこととなる。「メリーさんと同時代を生きてきた世代は、戦中戦後という時代を背負ってきた老娼婦に対して特別な思いがあったのだろう。その眼差しは限りなく優しくて温かかった。しかし戦争を知らずに育った次の世代にとってメリーさんは、町の変わり者、浮浪者でしかなく、排除する存在でしかなかったのだ」(239頁)。そうしたことから、メリーさんは横浜を去ることになったのだった。
長い期間がかかったが、映画は完成し、2006年に公開される。それと前後して、最も良く協力してくれた人やメリーさん自身も亡くなった。またかつてメリーさんが歩いたヨコハマの町は大きく変わり、立ち寄った店や建物も姿を消したところが多い。町と人の記憶を残す一助としたいと、作者はこの本を綴った。
仕事の都合で横浜に住んでいたとき、伊勢佐木町の有隣堂本店に本書元版の単行本が山積みされているのを見て手に取った記憶がある。そのときは、「へえ、こんな人がいたんだ」と思ったくらいだったが、今回通読してみて、一人の女性の人生を垣間見ていろいろなことを考えさせられたし、日本近代史の集約された場所であるヨコハマという街の面白さを改めて知ることができた。
いつか映画自体も見てみたいものだ。