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⚫︎受け取ったメッセージ
表題「マスク」より、人はいつでも自分本位…でもそこが人間らしさ。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)➕ネタバレ注意
スペイン風邪が猛威をふるった100年前。作家の菊池寛は恰幅が良くて丈夫に見えるが、実は人一倍体が弱かった。そこでうがいやマスクで感染予防を徹底。その様子はコロナ禍の現在となんら変わらない。スペイン風邪流行下の実体験をもとに描かれた短編「マスク」ほか8篇、心のひだを丹念に描き出す傑作小説集。解説・辻仁成
【収録作品「マスク」】
見かけは頑健に思われているが、実は心臓も肺も、胃腸も弱い。そんな自分に医者は「流行性感冒にかかったら、助かりっこありません」と言う。だから、徹底的に感染予防に努めた。でも暖かくなったある晴れた日に、黒いマスクの男を見かけて――。
誰もマスクをしないときにマスクをするのが文明人!と思っていたうちは、マスクをつけている人を同士よ…と思えていたのに、自分がマスクを外している時に見かけたマスクの若者を見て、小憎らしい!と思ってしまう。
⚫︎感想
若者を見て、強者の態度を感じ取り、忸怩たる思いをする…という人間の自分本位な考えが浮き彫りになるのだが、マスクという軽い題材なので、クスッと笑える。