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古本屋さんとお客さん。
本を売る人と買う人の関係なのに、それを越えた関係が始まります。
しかも、文通で!
お互い会ったことも、顔も見たことのない人たちなのです。遠い海の向こう(イギリスとアメリカ)にいる相手とこんなにも愉快で愛情深い手紙のやり取りが出来るものなのでしょうか!?
なんと20年間も手紙のやり取りを続けているのです。
(ラストが諸行無常を感じさせます。)
まず、この本を読んで驚いたのが、ヘーレン・ハンフの自己開示力が凄まじいです。笑
先方が聞かないことまで、ああだこうだと身の上話を手紙に書きます。近所の○○が助けてくれた云々かんぬん、等。
最初は「本を買いたい」「本を送ります」といったビジネスライクな内容でしたが、ヘーレン・ハンフのペースに古本屋の店主が巻き込まれていく様子が何とも言えません。
(イギリスで食糧難の真っただ中の時、彼女が食料を送ったところから、店主も「このおばさん、無下にできないな」といった感じが文章に現れます。笑
私だけが感じるのかもしれないけど、この辺りから店主も心を開き出してる)
ヘーレン・ハンフの求める古本のタイトルは海外の文学に詳しい方だと聞きなじみのある物なのかもしれません。そのタイトルから彼女の趣味趣向が分かりそうな気がします。
そして、彼女の古本愛で一つ新たな気づきがありました。
”私が古本の中でも特に好きなのは、前に持っていた方が一番愛読なさったページのところが自然にパラッと開くような本なのです。”
古本でも新品同様にきれいなものを求めていましたが、このような楽しみ方もあるんだなぁ、と思いました。
見ず知らずの二人が文通を通して、店主とお客さんの関係以上の絆を作っていけたのは、時代のものなのかもしれないと思っていましたが、巻末エッセイを読んだら現代でもあることのようです。(ホント、ビックリ!)
便利な世の中になったので、人間は感情的にドライになったのではないかと思いましたが、ある所にはあるんですね。なんだかホッとしました。
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アメリカの女性脚本家とイギリスの古書店に勤める男性が本の購入にあたって、20年もの手紙のやり取りを重ねた。
豊かな知識、本に対する愛情、ときに皮肉でユーモアあふれる言葉の数々。ネットで本が手に入る現代では考えられないほどの渇望。
労苦が伴うことを良しとするつもりもないが、
ドエル氏はときに発注されていない本を送ったように
人を介するからこその意外な出会いもあったのだろう。
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実際に何十年もの間、主に英国の古書店員と米国の顧客との間で交わされた書簡(いうなれば発注書と送り状)集。
現代ではおとぎ話のようにも思えてしまうような、紙に書かれた文章を通した交流は、確かに心温まるのだけれど、米国の顧客(作家)の謂わば発注書に書かれる"冗談"は、私には、時に、顔も知らない相手へ書くにはかなりキツいものに感じてしまった。私は欧米のユーモアのセンスを理解できていないなと改めて感じた。
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なんて素敵な物語!まさか実話とは、こんな風に本を楽しみたい、本と人を繋げられたら素敵だなぁ。ストーリーがあるわけでもなく、手紙の手紙の間の出来事、というより生活は想像するしかない。フランクドエルさんは、きっと誰にも恋やって丁寧に本を繋いできたんだろうな。
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DVDを観て原作を読む。どちらも素晴らしかった!
本好きな人だったら感動すること間違いなし。詳しい感想はDVDの方に~
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イギリス古書店のフランクとその家族と、アメリカに住むライターのへレーンの20年にも渡る往復書簡集。
同じ言語を持つ国同士ってこういう幸せなやり取りができるんだ、と羨ましく思える。
古書の持つ役割が今とはずいぶん違い、書物が大切にして扱われている良き時代の風景だ。
こんなふうに書店とのやりとりができるといいなと思う。
今年は私の住む街でもどんどん書店が潰れていった。インターネットで本を注文する人がほとんどの時代。書店を存続させて育てていくのは私達読者なのだよね、と思う。なので、本屋に行って本屋で本を買うことに決めている。だって楽しいし。
でも仲良しの書店員さんはいないなあ。洋服だとショップの店員さんと仲良くなるのに不思議ではある。今年はレファレンスしてくれる書店員さんを探そうかな。
後日譚がまた楽しかった。多くの読者が、この二人の関係を羨み愛したということに胸が熱くなった。
今からNetflixでアンソニー・ホプキンス主演の映画を見ます!
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(借.新宿区立図書館)
1949年から20年間にわたる米国作家と英国古書店との手紙によるやり取り。その時代でなければなかったであろう関係。古書店員の死により手紙のやり取りは終わってしまう。
本が書かれた時点で結局作家は古書店を訪ねることはなかった。増補版の「その後」でもわからないが、あえて行かなかったということだろうか?
現代では米英間も簡単に行き来できるだろうし、インターネットでやり取りは簡単にできてしまう。なんなら画面上で顔を合わせることも。それはそれとしてこういう時代もあったという懐かしいやりとりも雰囲気があっていいもの。
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1949年10月5日から始まる、ロンドンの古書店マークスの店員とニューヨークの脚本家ヘレーン・ハンフとの20年間の交流を描いた書簡集。ネットの普及により奔流のような伝達の迅速性や簡易性を得た代償に、緩やかな流れからの景色のような大切なものが失われたことに気付かされる。大戦後の米国の好景気と英国の疲弊の様子も綴られ、食糧を贈るへレーンと喜ぶ店員からの感謝の手紙にはほっこりさせられる。カジュアルなへレーンと律義でフォーマルなドエルや店員とのウィットやユーモアに富む手紙のやりとりは、江藤淳の巧みさもあって大西洋を隔てた両者の笑顔や困惑顔が目に浮かんで来る。心和らぐ一冊でした。
I love inscriptions on flyleaves and notes in margins, I like the comradely sense of turning pages someone else turned, and reading passages some one long gone has called my attention to. 私は見返しに献辞が書かれていたり、余白に書き込みがあるの大好き。だれかほかの人がはぐったページをめくったり、ずっと昔に亡くなった方に注意を促されてそのくだりを読んだりしていると、愛書家同士の心の交流が感じられて、とても楽しいのです。
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アメリカの駆け出し女性脚本家がイギリスの古書店に発注の手紙を送る。そこから発注本と手紙を通して交わされる古書店店員達やその家族との心の交流。SNSで受動的に人となりを知ることが多くなり、一対一の文通でお互いを知っていくというやり方を私は実践したことがない。電子書籍ではなく紙、というか古書でこそ読みたい本。
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お気に入りのポッドキャスト“Books Unbound”でホストのArielが2023年に読んだベスト本のうち3位にこちらの原作を挙げていたので、気になって図書館で借りてきた。
なんというか、お手紙って、微笑ましい。
もちろん当事者達にとっては苦労の多い生活の渦中だったのだけど。だからこそ。会ったこともないのにいつしかお互いに返事を心待ちにしていたり、その繋がりが生きていく糧になったりもする。
英語で読もうかとも迷ったけど、巻末エッセイが載っている、こちらを読んでよかった。著者の後日談も、優しい世界に心が温まる。(それらがあっての星4)
昔の作品や人物について少し解説してくれている注釈も助かった。(原文の誤りも訂正されていたし)
いつか再読する際には、オリジナルを読みたいと思う。
私は普段は気が散らないように無音かカフェのノイズを流して読書するのだけど、気分でSpotifyの読書用のプレイリスト(“Reading Soundtrack”とか)をかけながら本作を読んでみたら、穏やかな音楽の雰囲気と相まって、より温かさが沁みた気がする。のでおすすめする。
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本を愛する人の幸せな書簡。
アメリカのある女性が、ロンドンの古書店に注文の手紙を送る。対応するのは控えめな優しさと確かな本の知識を持った古書店の男性。約20年にわたる書簡をまとめたもの。ここには本への愛、仕事への誇り、人を思う優しさ、そして憧れが詰まっている。
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ニューヨークに住む古本が好きな女性へレーンと、ロンドンの古書店に勤める男性フランクとの20年に渡る往復書簡集。
最後の最後まで、実話とは知らずに読んでました。
最初は古書店宛ての注文から始まるんだけど、やり取りを重ねるうちに生まれた友情のような愛情のような温かい心の交流が描かれています。
いいなぁ。本好き同士の文通。
メールじゃなくて、直筆で。
切手を貼ってポストに投函。
返事来てるかな?って待つ時間も良いなぁ。
アナログな温かさって豊かだよなぁと思う。
“余白に書き込みがある古本や、前の持ち主のお気に入りのページがパッと開くような本が好きで、愛読書家同士の心の交流が感じられてとても楽しい”
と言うへレーンの本の愛し方が好き。
私自身、古書店で購入してこの本を読めたことがとても嬉しい!
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この作品を今まで知らなかったなんて、私もまだまだの読書人だと思った。
アメリカ人の若い作家であるヘレーン(著者)が、当時のイギリスの古書専門店マークス社に手紙で欲しい本のリストを送ることから始まる。ヘレーンは届いた本が気に入れば感謝を述べ、気に入らなければ、はっきりと手紙に書いて相手に伝えるのだった。マークス社からも対応しているのはフランク・ドエルという人物だと明かされ、本当の人と人との交流が始まるのだ。
当時(1950年頃)イギリスでは食料は配給制で、手に入れることがなかなか困難だと知れば、ヘレーンは早速肉や卵などを送るのだった。
こうしてフランクやその家族、マークス社の他の社員たちと手紙での温かい交流が20年続くのだ。ただの一度も会うことなく…。
私が手にしたのは「その後」が収録された増補版。
書店「Title」店主の辻山良雄さんの巻末エッセイが掲載されている。
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広い大西洋を挟んだロンドンの書店に務める男性とニューヨークに住む女性脚本家の書簡集、ドキュメント。
それぞれの国の食料事情など互いに思いやりを持っての文通と本の注文のやりとり。
現代では味気ないネット通販となりがちだけれどこの時代だからこその味のある文面と互いの本の知識の交換に目を見張るものを感じる。一冊一冊に注釈も入り、本を愛する人に愛される二十年にも渡った書簡集となったのはありがたく嬉しい限り。
本好きという人種には一種同じような空気感まとわりついてますね〜
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戦後のアメリカで暮らす作家がイギリスの古書店の書店員と本の購入と手紙のやり取りで交流を続けていく約20年の記録。本によるつながりは今でも生まれ得るのだろうけど、手紙を通じた関係性というのはなかなか今の時代には表れにくいだろうことを感じるためか、本書で紹介されているのは実話というか実際の書簡集なのだけど、素敵な小説を読んだようなあたたかく心をくすぐられるような感覚になる。本と本屋を愛する人には自信を持ってオススメします。