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老害の眼力
2021/02/27 23:22
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投稿者:求道半 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アリアドネ皇国の姫君レアナは、人里離れた山奥で、年寄りの男と二人の妹と暮らす少年ラシルと出会った。
ラシルは追っ手を逃れて、隠棲していたのだが、半年後に政略結婚する定めの皇女に付き従う形で、山から下りて、世界中を旅する事となったのだ。
しかし、レアナは仮初の自由を謳歌しに、空中の国から、地上へ降り立ったのではない。
レアナよりも先にアリアドネから地上へ降下し、光のエネルギーに満ちた都市で暮らしつつ、何かを探る老人がいる。彼と再会し、言葉を交わすのも、レアナの旅の目的の一つである。
国外に逃亡した姫を連れ戻す為に、近衛兵が派遣された。だが、軍部が台頭して、政情が安定しない本国からは、近衛兵以外の集団も姫の元へと差し向けられる。刺客が皇女の一行を襲うに及び、レアナを守る為に、数名の近衛兵は彼女と一緒に旅するようになる。
地上の人間兵器のラシルと空中の王侯貴族のレアナには接点がない。
それなのに、レアナは、自らが蒼穹の騎士に任じたラシルに、隠し事をする。
取り立てて間もない臣下に対して、一切合財を打ち明けるのは時期尚早である、とレアナが考えたとしても、不思議ではない。レアナがアリアドネ皇国の姫君であるのは紛れもない事実であり、高貴な身分の者としての平生の所作で、ラシルに臨んだまでであろう。
現在、レアナの一行は、マウ族が暮らす平原で、大戦時に活躍した大物が率いる悪党と交戦中だ。
好戦的なマウ族からも、ラシルは攻撃を受けており、レアナは、自身が有する兵力を分散させる事を余儀なくされ、苦戦している。
レアナと合流したラシルは、首魁との会話を通して、落ち延びた際の記憶が蘇る。ラシルと面識があるその男は、レアナにも目を付けて、居丈高に、彼女に問う。
第十二巻の末尾に収録された第百十七話は、レアナの秘密が、図らずも、ラシルに知られる話であり、その内容は、アリアドネ皇国の皇女の政治的な基盤を、根底から覆しかねないものである。
地表で続発する異常な現象は人為的なものであるらしい。
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