紙の本
通して読むと当時の時勢がよく分かる
2021/03/30 15:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うむうむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大正8年〜昭和15年までの約30の流行語辞典に載っている先端語(新語流行語)を抽出し、生活、学生、外来語、思想、女学生、文化、医療、社会、隠語に分類して辞書的に解説した本です。
カタカナ語(外来語)由来の語や短縮語(省略語)が多い点は近年と変わらないようです。近年の新語流行語が軽いノリの語が多いのに比べ、思想や皮肉が込められたインテリで洒脱な語が多い印象を受けます。
平山亜佐子さんの解説にも少々古風な表現が取り入れられており、山田参助さんのイラストもこの本の内容によくマッチしていて楽しい。辞典として項目をつまみ食い的に読むだけでは勿体ない、最初から通して読むと当時の時勢がよく分かり為になります。
紙の本
当たり前ながら、いまとつながっている戦前
2021/09/15 08:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
今も普通に使う「ツンドク」は明治から使われていたらしい。
聞いたことがあるものから、字面を見てもまったく??のものまで、大正〜昭和(戦前)の新語、流行語辞典に掲載された言葉がピックアップして紹介されている。辞典の体裁をとった読み物と言えようか。
時世を反映する言葉もあれば、ナンセンスな流行語、ウィットに富んだ造語もあって、解説を読みながら眺めるだけで楽しい。
最近の若いものは、とか、近ごろは日本語が乱れている、とか、いろいろ言われるけれど、いつの時代にも新語を生み出す若者や気風はあったのだ。歴史の教科書でしか知らない白黒やセピア色の世界が色づいて、いまとつながって、生き生き見えてくる。
電子書籍
そーなんだー
2023/09/09 01:10
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前もこんな流行りがあったんだなぁ、と。今でこそ、若者コトバが、ネンパイシャには通じない、なんて言われるけど。当時、まだ、ご存命の慶應とか、あの辺りに生まれた年配者は、ついていけたのかなぁ
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大正から昭和初期(まだ戦争の色が濃くなる前の時代)の若者言葉や流行語を集めた本。西洋から新しいものが次々に入ってきて世の中の動きが激しく、なかなか刺激的な時代だったんだろうなと。
言論の自由も微妙で、女性参政権も認められておらず、本の検閲などについても厳しかった当時ならではの言葉も。
面白かったのは学生の言葉。古典に由来する言葉やドイツ語など一見教養の豊かさを感じさせつつもとことんバカバカしく、「進学率の低い時代の超エリート達でもこんなノリだったのね」って笑えるのが多い。
わりとどうでもいいところでは、当時「セブン銀行」って言ったらそういう意味だったのか!と驚く。今のセブン銀行の名前つけた人きっと知らずに決めたんだろうな…。
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大正から昭和初期にかけての新語・流行語を当時の辞書より採集し解説を付した辞典。山田参助の漫画と挿絵も楽しい。
ここに取り上げられた語を見ていると。戦時色が強くなる前、モダニズム全盛期の文化や風俗といった構えた感じのものではない、もっと当時の気分的な生々しいノリを感じさせてくれる。
しかし、昨今の流行語に比べて、洒落てると感じるのは単なる年寄りのノスタルジーだろうか?
この手の本を読むと定着しその後長く使い続けられるようになる語と、一時的な流行りですぐに死語と化す語の違いが気になる。
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一つひとつ引っかかってしまい(いい意味で)、読むのに時間がかかってしまった。辞典として置いておくのが本来の使い方かもしれない。
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いつの時代だって、言葉は乱れるし、言葉の流行り廃りは激しいんです。
個人的に好きなのは、背伸びした感のある女学生の流行語。
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ざっと流し読み
エロやグロ、とにかく普通でないものによく流行り語として時代時代に面白いことばが存在してたんダナーって感じです。
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大正八年から昭和十五年にかけて発行された新語、流行語辞典から面白い言葉を取り上げて解説した本。「積読」がこんな昔からあるとは知らなかった。「チェイン葉書」も初めて知った。新しい言葉は次々と生まれ消えていく運命にありますがこのように過去を知るのもまた一興です。
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明治初期〜昭和初期の尖端語(流行語)辞典。
面白いのは、現代に新たに語釈を決めているのではなくて当時の新語辞典から引いているところ。(新語辞典が粗製濫造された時代だったらしい)当時ならではの語釈の書き方・価値観なども同時に知れて楽しい。
ほとんど現在では意味の推測すら難しい死語ばかりだったが、たまにこの言葉こんな古くからあったんだ、とか逆に意外と新しく生まれた言葉だったんだ、とか、今にも残ってるけど全然違う使われ方をしている言葉など色々あって退屈しなかった。死語だけど今でも使い勝手良さそうなものも幾つかあったし。
なんとなく戦前の人って今よりも教養があって上品で、悪く言えば退屈というか大人しいイメージを抱いていたけど、今よりも全然尖っていて刺激的なようにも見える。特に昭和初期、エログロナンセンスの時代。どんな時代だ。
この辞書片手に、タイムトラベルしてみたい。
そして僕は夢想する。100年後の日本、現代の流行語やネットスラングが書かれた辞書を片手に同じような空想を繰り広げる未来人の姿を。
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江戸時代ならまだしも、大正8年から昭和15年までに出版された新語・流行語辞典に、どれほど知らない言葉があるかと思ったら、大概知りませんでしたね。
明治維新後、外来語と海外の思想や文化がどっと日本に押し寄せてきたのが、少し落ち着いてきた大正から昭和の戦前まで。
融通無下に海外の言葉や思想を日本語に落とし込んで使っています。
辞書なので、語釈や例文もありますが、当時の語釈だけでは今はわかりにくいので、突っ込みとして現在の解説もついています。
例えば『イデオロヒメ』
語釈としては「ヒメは姫である。姫という以上、娘のことである。『彼女はシャンだけどイデオロ姫でねえ」なぞと云われる御令嬢は、小むづかしい屁理屈を並べ立てて、おしゃべりは一人前以上だが家庭のことなんか出来ないという厄介なモダン嬢のことである。先づ恋人にも女房にも、お薦め致しかねる代物である。」と、偏見まみれの文章が書いてある。
そのあとに解説が「この語釈はモダン嬢より上の世代の人間が書いているのだろう。「ご心配なく。あなたの恋人にも女房にもなりませんから」という姫の声が聞こえるようだ。」と突っ込む。
モダンボーイ、モダンガールは知っていましたが、モダンジイ(モダン爺)は知らなかった。
じゃあモダン婆があるのかと思ったら、モダンマダムなのかな、モジに対する言葉としてモマですって。
私もイカしたモマを目指すわ。←よく考えたらモダンじゃなくてもいいか
この当時から使われていたのか!と驚いたのが、インフルエンス。
インフルエンザとしてではなく、現在のインフルエンサーに近い使用法。
チェイン葉書は、SNSの時代にもチェーンレターで残っていますね。
簡易生活とはミニマムな生活のこと。
セブン銀行といえば、質屋のこと。
食べ物を持ち寄って集まることを英語のCompanyからコンパニーと言い、それを動詞化してコンパル。で、今のコンパに。
名詞を動詞化するなんて、今も普通に若者語としてありますもんね。
さて、ジンゲル。
ドイツ語で歌手という意味ですが、これは芸者の隠語だそうです。
私は芸者さんを歌手と考えたことはなかったのですが、そうか…と改めて納得しました。
いろいろ愉しい読書でした。