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紙の本
一図書館人の思い出
2021/04/13 15:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京都日野市の市立図書館の初代館長で、その後滋賀県立図書館長を務め、公共図書館の役割確立に長年関わってきた前川恒雄さんが亡くなってもう1年になります。(2020年4月10日、89歳で逝去)
この1年は新型コロナウイルスの世界中の蔓延で図書館にとっても厳しい年だったと思います。
地域によっては休館を余儀なくされたところもありますし、前川さんが図書館の役割として第一に掲げた本の貸出もままならない時期もありました。
館内での閲覧時間も制限されたり、おはなし会等のイベントも軒並み中止となりました。
近年図書館は高齢者ばかりという批判もありましたが、コロナ禍でその利用も減っています。
利用者が少ない、ガランとなった図書館に立つと、無性に寂しい。
図書館では私語を慎むように言われますが、それでも利用者がいることで書架の間あいだから人の賑わいを感じます。
元のそんな図書館に早く戻って欲しいと心から願います。
この本は前川恒雄さんが三人の友人たちにすすめられて語ったものを文章にまとめた「一図書館人の思い出」という自伝を核にして出来ています。
自伝ですが、七尾市立図書館の司書だった前川さんが図書館協会で働くところから書かれています。1960年、前川さんが29歳の時です。
それからの日々を時間とともに晩年までが綴られています。
図書館を利用させてもらっているそのことの幸福があるのは、前川さんのように図書館を愛した図書館人がいたからだと、感謝しかありません。
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