紙の本
大人にも読んでもらいたい岩波少年文庫
2021/05/01 06:15
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
岩波少年文庫が創刊されたのは、1950年12月25日。
ということで、昨年2020年に創刊70年を迎えました。
この本は、70周年を記念して、岩波少年文庫の別冊として刊行されたものです。
創刊時出たのは『宝島』『あしながおじさん』『クリスマスキャロル』『小さな牛追い』『ふたりのロッテ』の5冊。
以来、70年の時を経て465点の作品が刊行されています。
平均すれば、1年あたり7冊に少し足りませんから、けっして多くはありません。
というのも、1960年代には新刊をほとんど出していなかったそうです。
この当時は児童書でも全集や作家の作品集などの出版が盛んで、岩波少年文庫のような小型で地味なシリーズは人気がなかったようです。
この本では、そういった少年文庫のあゆみを年代を区切って解説していて、それは同時に児童文学の歴史のある側面も語っていることになり、資料として残しておくべきものになっています。
その他、少年文庫の代表作を解説した章はブックガイドとしても役立ちますし、「翻訳の妙味」という章では創刊時に「翻訳は原作に忠実に、美しい平易な日本語に」を心がけた少年文庫ならではの読み方だと思います。
まとめ的に綴られた最後の章「昔も今も」の中に心に沁みるいい文章がありました。
「本はすばらしい、本が自分の人生にあってよかった、と思っている大人は、自分が体験したそのすばらしさを子どもに渡す役割がある。」
この本は岩波少年文庫の一冊ですが、ぜひ大人の人にも読んでもらいたい作品でもあります。
紙の本
岩波少年文庫の70年の軌跡を追った保存版です!
2021/04/04 15:07
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、岩波少年文庫の歴史について分かりやすく書かれた一冊です。岩波少年文庫は1950年のクリスマスの創刊されて以来、途切れることなく刊行され続けてきたシリーズです。同書では、過去の資料を駆使しながら、各時代に書かれた著名人のエッセイも織り交ぜて、創刊から70年のあゆみを振り返っていきます。代表作と作家の解説、挿絵画家の逸話、翻訳者の仕事にも光を当てながら、少年文庫の全容を紹介した興味深い一冊です。子供の頃、同シリーズを愛した読者にはなつかしさが込みあげてくるに違いありません。
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”わたしの岩波少年文庫”と普遍的価値としての岩波少年文庫
2021/04/29 21:11
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投稿者:デネボラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰にもわたしの岩波少年文庫というものはあって、その語りの連なりと、筆者のすっとした文章とが、何か豊かな対話のようになっている本。
紹介されている本からの抜粋と、添えられた筆者の言葉、そのひとつひとつが美しい作品のよう。
まだ出会わずにいた岩波少年文庫も、再会としての岩波少年文庫も、手に取りたくなる。
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岩波少年文庫の良き読者とは言えない読書生活であった。
小学校高学年から背伸びをして、芥川や賢治は普通の文庫本で読み始めたし、『星の王子さま』や『モモ』は函入りの単行本で読み、トールキンの『指輪物語』は別の版元で読んだものの、『ホビットの冒険』まではとうとう手を出さなかった。思い起こすと、そもそも子ども時代の自分の周囲に、少年文庫がなかったかもしれない。
本書で少年文庫70年のあゆみを読んで、少年文庫に関わった編集者や、作家、訳者、挿画家たちの、子どものために良い本を届けたいとの思いが理解できたし、本がある環境のありがたさをしみじみと感じた。
巻末の総目録に掲載されている書目には、別の形で既に読んだものもあるが、初めて知ったものも数多い。はるか遠い子ども時代に思いを馳せつつ、先ずは一冊手に取って読むことにしよう、物語に没頭できることを望みながら。
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20210324ひるねこBOOKSさんにて購入。
20230101読了。岩波少年文庫の歴史を知る事が出来る本。今まで出版された少年文庫総目録付き。本篇のボリュームも凄かったけど、総目録のあらすじを読むのに時間が掛かりました苦笑 少年文庫はほとんど読んだことがないので、これを機に読めたらいいなと思ってます。
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やっと読めた。1950年の創刊以来続く岩波少年文庫。その理念や歴史、作品解説など70年のあゆみをぎゅっと。いろいろな著名人から寄せられたエッセイが読み応えあり。あんな人やこんな人まで。岩波少年文庫は一筋縄ではいかない。読むのに時間も労力もかかる。でも読んだ後もいつまでも不思議とちゃんと覚えている。残っている。重み。いい物語はちゃんと根付く。さすがだなと思う。まだまだ知らない物語がたくさんある。少しずつ読んでいく。
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どこから読んでもオッケ~なので、通勤時に読んでいました。
ときどき、電車の中で、涙することも・・・
→「どこかで生き続ける~『岩波少年文庫のあゆみ』
https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/904a90b4d4b0975c6a76732e2a06b5d5
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少年文庫創刊20周年記念本。創刊当時の話しとか、カバー、翻訳、挿絵などなど。懐かしい表紙が次々と、今の子どもたちにも受け継がれて行くのだろうか。
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岩波少年文庫は子供の頃ほとんど読んだことがないと思う。ただし、収録作品のいくつかは別な形で読んだことはある。小学校の図書室になかったのか私が気づかなかったのか?刊行され始めたばかりの頃だからそれほど認知されていなかったのかも。
それはともかくこういう形でまとめてくれると、子供の本の日本における歴史が俯瞰できて興味深い。漫画ばかり読んでいた当時の私に(それも悪いことではなかったとは思うが)もっとこういう本もあるんだよと教えてあげたい。
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私を作った物語たちよ。
岩波少年文庫の歴史を紐解く。戦前・戦中から戦後、子どものために物語を、と情熱を注いだ人たちに感謝する。しかし、岩波少年文庫は昔から堅物扱いだったんですね。世代的には1985年からのカラー新装版期に慣れ親しんでいたので、カニグズバーグやモファット兄弟が懐かしい。裏の「発刊に際して」が2000年で変わっていたとは知らなかった。どちらも素敵な文章です。
外国の美味しいものも、路地裏や屋根裏の楽しみも、岩波少年文庫から教わった。エーミールもふたりのロッテもクローディアもやかまし村の子どもたちもみんな友だち。
190ページからの「本のある一生を」は、思わず涙が出た。本が手に取れるところにあった子ども時代を過ごせた幸せを思う。生きることの幸福、人間のすばらしさを知り、自分だけの世界を持った。久しく訪れていないその場所は、それでもまだ私の心の片隅で、辛さや寂しさ、悲しさに流されないようにしっかりと私を支えてくれているに違いない。
懐かしい友達に総目録で再会できたことが嬉しすぎて、あれもこれも読み返したい。
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なりたちに込めた希望と、あゆみと。
創刊70周年の記念の一冊。
既刊本のカタログでもあるなぁ。
リアルに児童だった頃、数冊かじっただけで
ミステリ系へ移行してしまったので
大人になってからポツポツと
気になったものを読んでいますが
本当はやっぱり子供時代に
楽しんでおけば良かったな〜
という気持ちが捨てきれません。
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子どもの時はそれほど親しんではいなかったが、今になってとても気になる岩波少年文庫。大人になっても十分感動する作品の数々。子供時代にも負けないくらい、心が揺さぶられている。巻末に目録もあって有難く、岩波少年文庫に対する人々の熱い思いを知ることができた。そのおかげで良書に出会えることに、感謝の気持ちでいっぱいになる。
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「16歳に読んだものが一生を決める」という言葉がある/子供向けのおとぎ話(戦時中には修身愛国美談)から、一般人向けまでギャップがある(現在のヤングアダルト、ライトノベル)というのが、戦中からの岩波書店の思いであったが、児童文学作家であり文藝春秋社で4年の編集員経験のある石井桃子を経営陣や吉野源三郎が見込んで占領下の昭和25年5月入社、「少年文庫」創設に尽力した/年末に5冊。『寶島』『あしながおじさん』『クリスマス・キャロル』『小さい牛追い』『ふたりのロッテ』各2万部完売/戦乱の南北朝鮮と教養差のついた根源
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まさに王道、子どもの頃親しんだ本、読みそこねた本がきら星のようにまとまっている。錚々たる方々の寄稿も読み応えのある。これを読んでいるだけでも楽しく、また読みたくなる。
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自分の小学生時代はどちらかというと青い鳥文庫ユーザーだったなーと思いつつ手に取ってみたが、そういえばあれやこれは岩波少年文庫で読んだかも、と思い出した。自分が好きで買ってもらったドリトル先生とケストナー(文庫ではなかったけど)のほか、古典系数冊も岩波で持っていた気がする。最近他社からもは子供向け文庫シリーズで新しいものが出てきているようだが、引き続きがんばってほしいと思った。
これまでの変遷も、出版作品の紹介も興味深く、巻末の総目録では、わくわくハッピーエンドではない児童向け戦争文学のようなのもあるのを知った。大人になってしまったけれど色々読んでみたく思った。
石井桃子さんの名前は何となく本棚の中で見て頭に残っていたが、この文庫の設立の立役者とは知らなかった。