紙の本
とうとう完結
2021/06/04 10:03
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投稿者:ねこまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
忘れた頃に新刊が出され、どんな話で終わっていたかを慌てて読み返すことを繰り返しながら楽しみに読んできました。いつか来るとはわかっていましたが最後がきて寂しいです。ちょっとあっけなかったかな?というのが正直な感想です。
電子書籍
この物語は私の宝物
2021/06/05 18:41
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が生きるということはこういうことなのだろう。
人が生まれた意味というものを、この物語を読みながら考えることが多かった。
熊吾は50歳で授かった伸仁が20歳になるまで生き続けることを誓って物語が始まったんだ。
それから伸仁のために語り、住む場所を選んで、大切に育てる。
楽しい場面もあり、伸仁が父親に力で上まわり倒す場面もあり、熊吾の涙が親子の喜びと悲しみを感じさせる。
この物語に出会った読者は幸運だと思う。
一生読み返す楽しみを持てたのだから。
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読み終わってしまった。
読み終わってしまった。
感想なんか書けへん。
この作品を超えると作品を今後読むことはない気がする。37年間ブレずに書き続けられた著者を心からすごいと思う。あとがきにもあったけど、最後まで健康で書き終えてくださったことに感謝しかない。
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熊吾、ついに読了…涙。何度も何度も一巻から読み返しながら読み続けてきた流転の海、とうとう終わっしもた。人生の物語はそれぞれ続くけども、終わっしもた。南予の大きな土俵のような野をしみじみ思い浮かべる読後。
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【「自伝に戻って来た?小説」、遂に完結!】
宮本輝「野の春(流転の海 第九部)」新潮文庫
宮本輝が34歳で書き始めた「自伝的小説」が、物語を進めるに従ってだんだん「自伝」を離れていった、と作者本人が振り返る作品である。2018年に発刊された単行本の文庫版が今月売り出されたのて、文庫しか読まない僕もようやく手にした。
最終巻にふさわしく主な登場人物が一通り現れ、主人公松坂熊吾はそれまでやって来た複数の事業を整理し、妻・房江はホテル・多幸クラブの食堂での仕事を軌道に載せる。ひとり息子・伸仁が二十歳を越え、五十で彼を持った熊吾なりに責任を果たしたという思いに浸るが、(僕にとっては)まさかの結末を迎える。
「自伝からどんどん離れていった」はずの小説だったが、熊吾の長い語りや、病院のやたらと詳しい描写(僕には作者の批判とも読めるくらい詳しい)など、作者の本当の想いや気魄が相当こもっている気がした。その意味でこの物語は、最終巻にして「自伝に舞い戻って来た」感じさえするのである。
戦後すぐから万博直前にかけての大阪の街の細かい描写、そして物語の最後でようやく僕が幼稚園に入るかな?という時代背景(「駅前第一ビルと第二ビルがもうすぐ建ち始める」んやそうです)なども含め、9巻通して僕には忘れ難い作品になった。
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10年ほど前に読み始めたが、当時まだ第5巻までしか書き上げられておらずそこで中断したままだった。このたび遂に全巻完結し文庫化されたとのことで第1巻から再読したが、1か月で全9巻一気読み、圧倒的な面白さでした。
なにより松坂一家のみならず登場人物ひとりひとりが背負う人間性を丁寧に描き、自分自身の遠い記憶を呼び覚ますような昭和30~40年代の大阪の下町に浸り続けたひと月でした。
登場人物があまりにも多く、人間関係が複雑にまじりあってわからなくなるので今回は人物相関図を作りながら読み進めていったのが大正解。前半で登場した人物ややりとりを最後まで絡んでおり丁寧に回収されていることなどあらためて素晴らしいと感じた。
完結編を前にして商売も家族も最悪の状況になりそうで心配したが全員それなりに幸せの形を迎え穏やかな結末になった。
物語の登場人物が死んで冥福を祈る気持ちになったのはア初めてでした。素晴らしい作品に感謝します。
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三十七年かけての
「ひとりひとりの無名の人間のなかの壮大な生老病死の劇」
は、遂に完結しました。
書き上げたのが71歳とは、熊吾との縁を感じずにはいられませんでした。
「宿命っていうのは、ものすごい手強い敵や」
宿命と闘いながら、自分の生老病死に立ち向かっていかなくちゃ
ですね。
素晴らしい長編作です。
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長い大河小説を読み終えた。
市井の人間ではあるが、含蓄のある言葉と人と人とを結び合わせる力を持った熊吾。
その家族の戦後20年の話。
逞しく変わっていく妻子に比べると転落と言えるような熊吾の生涯。
最後に熊吾が愛した人々が別れに訪れるシーンに涙した。
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遂に最終章となった。
松坂熊吾が71歳の人生を全うした。
この小説からは多くの事を学んだ。
男として、父親としての生き方を。
大将と呼ばれ、人に対して優しく
世話好きな熊吾は、その人の良さと
経営者として、どんぶりな経営で人に騙されて、横領されたりして生活が苦しくなるが、
なんとか逞しく生きていく。
作者が最終章は自分が熊吾の歳にならないと
書けないと完成まで37年の時間を費やしたこの様な作品はきっと出てこないのではないだろうか!
この作品を世に送り出してくれた作者に感謝の気持ちでいっぱいだ。
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この本を書き上げるために作家になられた。父の仇をうつために三十七年かけて「流転の海」を書き尽くした。これに心が動かないはずがない。
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第一部から長かった。読み終わったー!
人間の心のヒダとかキビについても、もちろん色々と思うけど、流転の海シリーズで割と重要なの、食べ物に関する描写やエピソードだなぁ、とあらためて思った。
こういうのサラッと読ませるの凄い。
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熊吾や信仁とはそれぞれ年令、年代、世代が違いますが同じ時代を生きています。
まさしく「人に歴史あり」です。
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ようやく読み終わりました。
熊のおっちゃん、房江さんみたいな奥さんでホンマに良かった。
もう一度通読したいと思いますが、今すぐは無理かな。
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とうとう最終巻まで読み終わってしまいました。
第八部で妻子と別居することになり、殺伐とした第九部になるのかと思いきや、意外にものどかな日常が綴られていきます。
一緒には暮らさないけれども、家族として互いを思いやりながら暮らす熊吾と房江は、もしかすると初めて穏やかな生活を手に入れたのかもしれません。
作中でも語られますが、熊吾は人と人とをつなぐのがとてもうまい。
自分の部下にはしょっちゅう裏切られるし、家族とは別居するはめになるのだから、もしかすると親しい他人という距離が、一番熊吾との安定した関係を築けるのかもしれません。
”雑用が満足にできない人間は、どんないい大学を優秀な成績で卒業していても使い道がないのだ。”
苦労人の熊吾だからこその、人を見るポイントです。
苦労しながら一生懸命に生きている人たちに、なんとか生きる道筋を示しながら、少しずつ熊吾はその人生を清算しているように見えました。
裏切った人たちも多いけど、敵対した人たちも多いけど、それでもなお熊吾を慕い支えようとする人たちがいたことは、熊吾の人生が豊かなものであったことの証だと思います。
最後の最後に病院を転院することになり、まさかの展開でしたが、温かで穏やかな読後感でした。
ちょっと熊吾ロスになるかも。
第一部を読んでいた時は、もっと嫌なやつと思っていた筈なんですけどね。
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読み終わってしまった(涙)
50うん歳になる令和の4年まで、ずっと流転の海を読まずにおりました。
なんとこの文庫本の発売が令和3年。
一巻目の発売から出会っていたら読み終えるまで37年の間、心の片隅にあった本だったかもしれない。
大好きな青が散るをまた読もうと思います。伸仁がモデルの青が散るも、流転の海の読後は違った発見があるかもしれない!