面白いだけじゃない!買って良かった、大当たり!!
2021/06/13 00:52
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
本当に何となく買ったのだけど、大当たりの作品。買って良かった!今年買った小説の中で一番良かった!!
上巻の続きということで、辰巳先生の異動の話の結末も面白かったが、同じく秘められていた辰巳先生の過去も明らかになる。ネタバレになるから書けないけど、涙だ。
上巻から続く「竹取物語」、かぐや姫に人間らしい心の成長があることを教えてくれた。
「山月記」も心憎い解説。
「こころ」は、こんなに奥深い内容だったとは思わなかった。深い!!昔、読んだ時には、こんな風には読めなかった。人生経験も物を言うかも知れないが、非常に納得出きる講義だった。
出てきた作品をこういう風に講義してくれると授業も面白い。こういう先生の授業を受けたかったなと思う。
受験として読むのでなく、作品の面白さを理解させる授業って大切。
出てきた作品を元に、似た設定のストーリーを作り上げているのも秀逸。
何回も読みたい上下巻。
読むことをオススメします!!!
絶対ドラマ化してほしい!
2021/05/23 18:56
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投稿者:晴風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
辰巳先生の授業で扱う作品はかなりメジャーですが、ここまで文学のおもしろさを伝えてくれた先生がいたでしょうか?また生徒のこころの傷を癒やしていく先生ですが、彼の中にも大きな傷が…。ラストの夏目漱石こころを読み解きながらその作品の良さにも改めて気づかせていただき、登場人物のこころも救われていくストーリーにも感動!!
一気に読み終えました。そしてまた読み返しています。登場人物も魅力的なのでドラマでもぜひ観てみたいです。
泣けます。とにかく読むべき。
2021/05/23 12:34
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投稿者:ねこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の「こころ」に見事にやられました。
ネタバレはあまりにももったいないので、とにかく読んでくださいとしか言えません。
凄まじかったです。
それぞれのお話が丁寧で優しいので気持ち良く読み進めましたが、こころはその集大成というか、ここまで読んだ人には絶対に読まずに終わりにはできない結末になっていると保証します。思い切り泣きました。
凄い傑作だと思います。この作家さんのデビュー作ということですが、新人という言葉から全く想像できないです。あとがきまで読んで謎が解けた気がしました。強くおすすめです。
文学作品の講義が面白かった。さすがは国語教師の書いた本
2021/10/20 06:30
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投稿者:S910 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国語教師の辰巳が文学作品の講義を通して生徒の悩みと向き合っていく話の下巻。
文学作品と作品の絡みは非常に上手いし、講義が進んで題材となった作品への理解が深まると同時に当該キャラの悩みが浮き彫りになる構図は非常に上手く面白い。
特に漱石の「こころ」の「書かれていない核心」は知らなかったので、その解釈は面白いと思った。
ただ、これが作者の望む「希望の物語」かというと首を傾げてしまう。
『問題を都合よく「解決したことにする」展開は書かないように気をつけた』姿勢は確かに誠実で、好ましいと思う。
実際に辰巳先生の講義によって悩みが軽くなった生徒達はいるけど、それが彼女達の望む方向で、幸せになる形で解決したとは言えない結末の話も多かったし。
だからこそ、教師と生徒の恋愛的な成就によって先生の抱えていた問題が解決された最後の結末は個人的にはマイナスだったかな。
一度教師と生徒としてきちんと別れて、別離を経てから再び……のが物語としては美しかったと思うし。
そもそも辰巳先生が円城に恋愛的に惹かれた部分が明確でなくてよくわからないというのもある。
美幸の登場や、それぞれの詳しすぎる下調べなんかもご都合主義っぽい。
個人的にはこの作品の内容が「希望の物語」というよりは、あとがきまで読んで、作者が「教師をしながら小説を書きたい」という夢を、闘病の苦しみを経て叶えた、という現実のほうがよっぽど「希望の物語」なんじゃないかなぁ。
作品本編よりもあとがきにじんわりしてしまったよ。
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三章竹取物語の時間
四章山月記の時間
終章こころの時間
『こころ』って高校のときなんか凄く興味を惹かれるけど暗い話だと思っていました。
『こころ』の後日譚の解釈はすごく面白かったです。
裏切りと罪の物語に見える『こころ』を希望の物語として読み解くのは面白かったです。
罪深い大人が若者へ希望を託す物語。
途中、高校生と先生の恋愛物はちょっとなあと思いながら読んでいましたが、この『こころ』の新解釈がわかったのはすごくよかったです。
なぜ、高校生と先生の恋愛だったのかも辻褄が合います。
高校の先生をしながら小説を書いているという作者ならではの独自の視点があったと思いました。
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上巻で繰り広げていた辰巳先生の転勤騒動の完結編に加え、辰巳先生の苦々しい過去や生徒たちの様々なことに対する心の揺れ動きが描かれています。
下巻での名作では、「山月記」と「こころ」が紹介されています。
「山月記」は、あれ?内容なんだっけ?と思いましたが、あらすじを聞き、確かに習った記憶はあるなと思いました。
「こころ」は、新たな解釈が紹介されていて、目から鱗でした。
まずは、「竹取物語」の章の続きですが、ドタバタラブコメのような展開でした。咲耶の帰国や教師の嫉妬といったありえない展開で思わず笑ってしまいましたので、その後もそんな傾向なのかなと思っていました。
ところが、その後の展開が全然違く、生徒の心理描写が丁寧で、そのギャップに驚きました。
「山月記」の章では、心と体のズレによる苦悩、「こころ」の章では、相手への嫉妬が渦巻く心の闇が描かれていて、上巻とは違った「色」がありました。
特に「こころ」の新たな解釈が興味深かったです。
「こころ」に登場するそれぞれの人物について、先生が自殺した時の年齢を推理せよ。
色んな情報や文を駆使して、答えに導いていきますが、答えの背景にある行間の解釈が、なるほどと勉強になりました。
あくまでも一人の意見として紹介してましたが、卒業論文が作れるんじゃないかと思うくらいインパクトがあって、興味が湧きました。ちょっと、もう一回「こころ」を読んでみようかなと思わせてくれます。
「こころ」の解釈も面白かったですが、先生の辛い過去も印象的でした。
そこには東日本大震災も絡んでいて、辛すぎな気持ちになりました。
「山月記」の内容と「こころ」の内容が、それぞれの章で、上手いぐらいにリンクしていきます。原作の解説は上巻と同様に授業形式に学んでいくので、勉強にもなりました。
様々な隠していたことが明らかになっていくにつれて、重かった心が段々と軽くなっていきます。それと同時にホロリと感動が増していき、温かい気持ちになりました。
前半でのドタバタ騒動はなんだったんだと思うくらい、別の作品を読んでいる感覚にもなりました。
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最後に「こころ」がくる時点で、先生が抱える過去がどんなものか、予想はできていた。「こころ」の解釈からラストへの導き方が素晴らしかった。
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上巻で辰巳先生がうっかりやらかした件が思いの外あっさり解決してよかったと思ったのも束の間、先生自体の重い過去が。
どうにも先生に関わる女性たちは暴走しがちな気が。
先生が結婚はおろか恋することも禁じていた件。
この話での授業の題材が夏目漱石の『こころ』
つまり、この『こころ』の読み解きが先生の過去の呪縛の読み解きにも繋がる訳で、薄々想像はしていたけれど、いざその真実が明るみになった時は重かった。
決して法的に触れる罪を犯した訳ではないけれど、でもこれは引きずるだろうという。
ここで初めて作中に西暦が描かれていた訳にも気付くという。
あの国としても一大事だった件を絡めてくるとは思わなかった。
個人的には夏目漱石が一部作品を除いて苦手で『こころ』もほぼ未読で苦手意識を抱いていたが、辰巳先生の授業を受けて見方が変わったと思う。
ここでの解釈は諸説ある中の一つなのかもしれないが、深い読み解きに驚かされた。
ついつい上辺だけ読んで満足した気になるので、掘り下げての読みはできないのだが、長く作品が愛される訳が分かった気がした。
数ある女性を無自覚ながら虜にしつつも、一度は誰かを愛することを禁じた辰巳先生が『こころ』と授業を通じて辿り着いた答えとは。
その答えは、ラストのエピソードにて。
呪縛から解き放たれた先生、意外に手が早くて驚いたけども。
爽やかを通り越して、胸やけエンドでした……びっくり(それもまたよし)
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下巻では竹取物語(後半)、山月記、こころが取り上げられている。辰巳と過去と「こころ」。たびたび夢に出てくる水のイメージ。それらが、ラストに向かって収斂していく。辰巳の「こころ」を縛る鎖を解き放てるのか。そしてラストは、タイトルにこめられた「辰巳センセイ」の仕掛けがわかる。
いやー、「こころ」を全編読みたくなった。現在、K川文庫夏のフェアが開催中で、書店で新装版として販売中だし。それにしても、「山月記」をBLにしてしまうのは笑えた。
文学作品を作中にネタとして登場させる小説というと、「ビブリア古書堂」シリーズが思い出される。このシリーズのファンであれば、本書も気に入る人が多いのではないだろうか。なお、本書の外伝のアイデアがあるらしい。
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こころにそんな解釈があったなんて…タイミングが少しでもズレていたら…なんで…どうして…でもなぜかあり得ない話に思えなかった、高校時代辰巳センセイに出会いたかった。きっと作者の瀬川先生も素敵な先生なのだろう
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本編よりも、文学パートがとても面白かった。
こんな授業なら受けてみたい。作品の解釈も、その語り方も投げかけ方も、この授業を受けている高校生たちが本気でうらやましい、と思った。
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正直、そこまで期待せずに読み始めて、ラノベっぽい滑り出しに「失敗したかな?」と思ったんですが、一気に引き込まれていきました。
高校生活を一緒に駆け抜けるような感覚。
有名な文学作品にリンクした展開。すごく丁寧にプロットが組まれているのがわかる作品でした
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『舞姫』『羅生門』『竹取物語』『山月記』『こころ』教科書に載っている文学作品とリンクした問題を抱えてしまった生徒たち。それを国語教師の辰巳が救う連作短編。何やら過去がある辰巳と、生徒の目線でさりげなくフォローする円城の微妙な関係もストーリーに華を添える。こんなに生徒に心を寄せられる優しい辰巳先生がモテないワケがない。心が温まるだけでなく、文学作品を深掘りして考察する辰巳先生の授業に興味をそそられて、これらの作品を絶対読みたくなる。自身も国語教師である著者の授業を受けてみたい。
悲しいことに高校生の時の授業は全然記憶に残ってない。これらの作品には、こんな意味が込められていたのか!めちゃくちゃ面白いじゃないか!という発見があり、まずは『舞姫』『山月記』『こころ』は読みたいと思う。
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下巻を最後まで読んで、やっと何を書きたかったのかわかる。そうなると妄想話のアクが薄れるので、そこまで読めれば。妄想話は無い方がいいとは思うが、文学だけでは弱いのかもしれない。ナイストライ。
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全国の中高図書室に置いて欲しい一冊。
登場人物の繊細な心の動きの描写が素敵で、作者が学校の先生ということで納得。
説得力あります。
授業でやった記憶のある古典文学とリンクする現実の問題。
解決のための追加講義が押し付けがましくなくて優しくてこんな先生がいたらなぁと思います。
ラノベ系かと思ったんですが、しっかりと練られた構成で一線を画していました。