紙の本
言語学を幾つかの視点から捉える肩肘張らない一書
2021/11/27 20:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言語学といっても意外と多岐に亘るものです。それを様々な国の発音や文法や言語そのもの等といった観点から気さくな論調で纏められたのが本書です。但し論調は気さくでも、表現は至る所に漢検準1級~1級内容の熟語が鏤められています。
本書で最も驚きだったことは、『日本語や英語はあらゆるジャンルの会話・議論をその言語で全うできる』そうで、これはかなり珍しい部類にあたり、『世界中の多くの、ほとんどの言語が、例えば高等教育の内容を話せなかったりといった「欠損」をもっている』ということでした。
もう一つ知らなかったものとして発言(若しくは表記に置き換えてもいいですが)の矛盾のような意味不明な言い回しには思わず、(?)を通り越して吹き出してしまいました。挙げられていたものは以下の2つ。
小泉進次郎氏「今のままではいけないと思います。だからこそ日本は今のままではいけないと思っている。」
安倍晋三氏「幅広く募っているという認識でございました。募集しているという認識ではなかったのです。」
全般的には学識論に傾注しない様に意識されている為、上澄み的な言及に留まっている気がしました。但しこれは個人的な意見であり、読み物としての切り口から言語学の扉を開けるという事としては有用な一書だと思います。
投稿元:
レビューを見る
思った以上に真面目な内容の言語学入門書だった。
大学の専門課程のスタートラインといった感じか。
投稿元:
レビューを見る
フィールドに出られないフィールド言語学者の言語学案内。
新型コロナウイルスの影響がこんなところにも出てきているのだな、と。絶滅寸前の言語の話者は高齢のことが多く、採集はオンラインではなかなかできない。言語学者にとって危機が訪れているという。とはいえ、言語学がカバーする範囲はとても広く、分野によってはさほど支障がないこともある。そんな言語学の「今」のトピックを軽快に語っている本。動画共有サイトで配信者の日本語から新しい日本語の形を考えたり、様々な言語の翻訳があるハリー・ポッターを資料に登場人物の名前を比較・考察したり。「正しい日本語ってなんだ!」と一度でも思ったことのある人は手に取ってみるといいかも。
投稿元:
レビューを見る
とーっても面白かった!年の初めに相応しい1冊だった。言語学エッセイと言えば黒田センセ一択だったのだがまさにみーっつけたという感じ。しかも吉岡氏お若い、どんどん書いていただきたい。漢字の使い方がユニークで刺激的。
投稿元:
レビューを見る
大学で言語学を履修しようと考えている私にとって興味深い内容だった。特に、ハリーポッターで出てくる表現をウルドゥー語、ジュラ語、パシュトー語、マケドニア語など、筆者の専門?趣味なのかマイナーな言語でも紹介されていて、翻訳することの難しさを改めて感じたと同時に面白かった。言語学について身近な事例を用いて紹介されていて、入門書として良いと思う。
投稿元:
レビューを見る
文体も相まって面白かった。ちょっと難しいところもあったけど、後書きまで面白いんだから困った。「もう逃さないぞ☆」
投稿元:
レビューを見る
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4259
投稿元:
レビューを見る
エッセイのような言語学入門のような、真面目に読み進めるかと思えば注釈や出てくる1例で笑っちゃうような不思議なリズム感の本だった。これは癖になる人絶対いるでしょ
投稿元:
レビューを見る
言葉は言葉でしかない。そこにさまざまな意図を勝手に盛り込む(盛り込んでしまう)のが人間同士のコミュニケーション。
投稿元:
レビューを見る
漫画やVtuberなど身近な話題から、「よくよく考えてみたらこの事象面白いな...」ということがたくさん出てきて、楽しみながら勉強になる良い本でした。
日本語はわりと借用語を柔軟に取り入れるけど、アイスランド語や中国語など借用語に厳しい言語があり、それらは新しい概念を自国の言葉に落とし込んで表現するという話が面白かったです。
あと有史以前の言葉をどのように追うか、という話で、地名への言語の残り方でその土地が元々どの語族の文化圏だったかがわかる、というくだりがすごく興味深かったです。
投稿元:
レビューを見る
言語学なるものの端緒にサラリと触れた気になれるエッセイ風な読み物。文章は思った以上に砕けていて気軽に読めつつ、なるほどそう考えるのかという気づきもあり、なかなか興味深い。
投稿元:
レビューを見る
語り口調が面白い。ズバッと言っちゃうところもいい。
それでいて言語学とは何か、がわかる読みやすい言語学書でした。
体系とかの話がつらつらあってもわかりづらいけれど、こうして実例も交えて一節が短くまとめられていると、頭に入ってきやすかった。