紙の本
アンビシャスガール
2021/09/16 09:35
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
生来の利発さを発揮していたアンビシャスガールの星りょう。彼女は自分の生き方を実践するために仙台から上京し、明治女学院に進学する。同級生の恋愛、従妹の結婚を通して彼女は本当にやりたいことを探し始める。信じれる友、恩師、尊敬する人物が次々とりょうのまわりに現れ、彼女が行き着いた場所は・・・。
芸術家、作家、幕末の名士等と関りがあったことに少し驚いた。作家同士の関係もある程度は理解できて満足した。作家は作品しか知らなかったので、交友関係とについては意外な感じがしました。この作品を読んで樋口一葉の作品を読んでみたくなりました。
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202107/新宿中村屋の創業者が主人公ということで、創業立志的な物語と思い手にしたら違った。主人公が明治・大正の文豪文化人らと出会い、まだまだ男尊女卑で窮屈な時代の中、自分・女性の生き方を模索していく物語。つまらなくはないけど、主人公をはじめ登場人物達にあまり魅力を感じられず、恋愛話も多かったりで、自分の好みではなかった。
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こんなハレンチ(笑)な学校があったんですね。まるで教師と女学生が出会うためのような(爆笑)
アンビシャスガールとはいえ、なぜこの主人公にあらゆる人物が相談事を持ちかけるのかわかりません。それくらい主人公の特徴もないし、魅力もない。
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割と高名な明治期の文化人たちの浪漫と退廃に満ちた愛欲のエピソード集。
何で主人公の女学生が全編に関わる必要があったのかイマイチ納得がいかないけど。
貧乏とか宗教とか女性解放とか、折角の才能が色々と削り取られて行くのが何か残念です。
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集英社のキャンペーンで購入。こういうのがないと出会わない本がある。
てっきり単なる相馬黒光の伝記かと思ったら、彼女を通じて明治の文豪の恋愛模様を描き、ちゃんと最後は自身と子らの話に繋ぐという凄い本だった。中村屋の歴史も単に流行を先取りしただけじゃないんだなあ。
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今まで著者の作品をより多く読んできた読者ほど、この小説には戸惑いを覚えずにはいられないだろう。
それまでの、己の信じる道を確固として生きる男を清冽に描くという作品とは、一線を画すかのようだから。
主人公は、「アンビシャスガール」と呼ばれた星りょう。後の名は、新宿中村屋を創業発展させた相馬黒光。
彼女と出会い関わりあう人々を通して、星りょうという人物を浮かび上がらせる手法が採られている。
明治の文学者たちが次々と登場する。しかも恋愛絡みで。
国木田独歩、北村透谷、島崎藤村、樋口一葉らと、彼ら彼女らの相手となる人物たち。
さらに、勝海舟まで。
どこからがフィクションで、どこまでが史実なのか、惑うばかりの多士済々。
著者は最晩年の作品になぜ女性を主人公に据え、多数の文学者を登場させたのか。解説で、「男性だけで時代が動いたわけではない」と、近代を総合的に捉えようとする著者の意図があったと、記されている。
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この時代の人の生き方はなんと強く真っ直ぐなことのような思えた。島崎藤村、北村透谷、国木田独歩、樋口一葉など時代を代表する人達が登場するが皆、痛いほとんど自分の生き方や心に真っ直ぐのように感じた。
それに信じられない位若くしてなくなってる人が多い。この時代に自分が生きてるとしたら何してるだろう?とふと思った。
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自分らしい生き方を求める。激動の明治を駆け抜けた女性たちの夢と挫折、喜びと苦悩を描いた感動の歴史長篇。葉室麟が遺した今を生きる我々へのラストメッセージ!
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葉室麟の異色作。
明治時代を生きた個性的な女性たちを熱っぽく描きます。
星りょうは仙台藩士の三女として生まれ、その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれた。
明治28年に、東京の明治女学校へ入学します。
女子教育向上を掲げる校長の巌本善治は「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と、りょうに語りかけたのでした。
明治女学校の教師・北村透谷と女生徒との間に生まれた恋のいきさつ。
国木田独歩と結婚したが逃げた、りょうの従妹・佐々城信子は…
英語教師のクララ・ホイットニーは義父に当たる勝海舟との間に深い信頼関係を築く。
若松賤子は校長・巌本の妻で、翻訳家・作家として活躍した。その賤子のもとを訪れた樋口一葉……
りょうは次々に個性的な人物に出会い、思わぬ秘密を知ったりもするが、当人はそこまで華麗な才能を見せたり恋愛遍歴をするわけでもない。
だが、後に結婚相手と共に、新宿中村屋を興し、相馬黒光と名乗るようになります。
こういう育ち方をした女性だったのね。
新しい生き方を希求する明治の女性たちの、燃えるような思いと大胆さ。
男性たちもアクが強く、個性的です。
清廉な生き方をする武士を描くことが多かった作者が、もがきあがく女性たちを描きたくなったのですね。
この後どんな風に世界を描いていくのか、その先も知りたかったです。
惜しまれます。
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主人公りょうの人生がまさか中村屋へ、その看板メニューインドカレーへと繋がっているとは思いもよらなかった
錚々たる小説家芸術家の名前が出てくるのでりょうもその世界で大成するのかと思った。意外だったけれど最後まで自分を自分として愛した気持ちのいい女性だった
相馬黒光さん
それにしても途中から葉室麟さんの作品を読んでいるということを忘れていた
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明治時代を生きた女性星りょうの視点から、当時の女性の様々な生き様、恋愛模様を浮き彫りにした物語。
明治の文豪がたくさん出てきます。
どこまでが史実でどこまでが創作なのかさっぱりわかりません。
自分らしく生きたいと願い、生きたりょうが様々な人たちと知り合い、そして、その女性たちとの対比によって、りょうの生き方を浮かび上がらせています。
最後の、娘の俊子の会話が刺さります
「だけど、母さん、ひとは自分だけでは自分らしくいきられないのではありませんか」
りょうが新宿中村屋の創業者につながってびっくりしました。
一つ賢くなった(笑)
こうした伝記に近い物語って苦手(笑)
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若松賤子の小説を読んだ後、ここにも描かれていると知って読み始めた、初めての葉室麟さん。
どうやら、これまでの作風とは異なっているらしいけれど、私はすっかり魅了された。
若松賤子は「我にたためる翼あり」に登場していた。当時の女流作家が何人か出てくるけれど、一番鮮やかに浮かび上がるのは、樋口一葉。ここまで樋口一葉を描いた小説を知らないが、これぞと思わせるリアリティがあった。作者の明治文学への深い洞察が描かせたものに違いない。この時代の明治のインテリたちの動向がよくわかる。
それぞれの短編には島崎藤村、北村透谷、有島武郎など、明治の文学者が現れるが、いわゆるスキャンダルを扱っていて、男たちには魅力を感じない。勝海舟の晩年くらいか。その勝にしても、若い頃はあちこちに女を作っている。明治の男は、裏ではみんなこんなものか。まともに描かれているのは樋口一葉を支えた斎藤緑雨くらい。
解説によれば、作者はこの時代をもっと描きたかったのだという。志なかばでとても残念に思う。
まるで違う筆致で描かれているのかどうか、テーマも違う、他の作品も読んでみたくなった。
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明治から大正にかけて、女学生時代から島崎藤村、北村透谷、国木田独歩、勝海舟、樋口一葉、その他多くの文人、芸術家たちと関わり、交流した主人公・星りょう。
こんなに才能ある人たちと関わってきた星りょうっていったい何者?
架空の人物?
と思っていたら最後の方でどんな方かわかり、おおっ!となりました。
この時代いろいろな格差や慣習がある中で、自由に、自分らしさを求めて、世間の目を気にせず意思を貫いて強く生きた女性たちはすごいなと思いました。