紙の本
結局よく分からない
2022/07/11 15:45
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会主義や左翼と呼ばれる組織についてきちんと学ぼうという趣旨には賛同する。自分と同時代についてはよく分かるが過去のことはいまいち分からないので、左派組織の離合集散の過程など、なるほど、と初めて知る歴史的事実もあった。
しかし、左派が離合集散を繰り返した本当のところはよく分からなかった。集団よりも個人を重んじるという左派の性格上、まとまるのが難しいということか?
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一読しただけでは、理解不能な箇所が多い。どの読者層をターゲットにしているのか不明ながら、この手の複雑な話であれば、鳥瞰的に大まかな流れを与えた後に、詳細な説明に移行してくれると良いのだけれど…
対談ながら、佐藤氏に主導権があるのは明らか。佐藤氏の話の進め方は、強引で随分と独断的(大概そう)。池上氏が頷き担当の様に思えてしまう所多し。
まあ、ついて行けないこちらが悪いので文句は言えない。佐藤氏からは、「私の言っている事に、ついて来れないならば、ついてこられる様に研鑽しなさい!」と叱咤されている様にも感じる。
ところで、この本において、共産党は暴力革命路線を放棄していないとあるが、実際はどうなんだろうか?正式に党としての立場を明らかにしてもらいたい。先日も政治家によるこの手の話ありませんでしたっけ?
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ここらあたりに興味があり類書を読んでいるので
驚くほど新しい知見
はないが丁寧な記載で安定の面白さ
ここら辺にあまり馴染みがない方にはちょっと本書だけでは追いつけないかもですがまず手に取って欲しいですね
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数多く出版されている佐藤・池上対談の中でもかなり硬派な部類に属する一冊。
時代を行き来しながら、主に敗戦後すぐの時期の左派の動きを社会党・共産党両面で語られている。
ある年齢層以上の方には常識であり肌感覚で理解していることかもしれないが、左派が力を失った時代以降に物心ついた私にとっては大変新鮮な内容だった。
今後、シリーズでの出版が予定されているとのことなので、非常に楽しみである。
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政治思想に詳しい両氏による、国内左翼の歴史に関する両者の対談をまとめたもの。一口に左翼と言っても共産党系や社会党系があり、その中に右派、左派があって、考え方が違うため対立することが多いし、共同、分散が激しいため、なかなか全体像をつかみにくい。両者とも学術的にまとめる力があるわけだが、あえて対談形式として要点を述べ合うことで、素人である私にも理解しやすかったのだと思う。学術的ではないが、様々な文献も紹介されており、全体像はわかるし、深く知りたければ、容易に勉強できるようなつくりになっている。役立つ1冊であった。1960年以降の続編にも大いに期待したい。
「(佐藤)10代のスウェーデン人少女グレタ・トゥーンベリさんを旗印とした地球温暖化に対するグローバルな抗議運動、あれなどは、私は現代版の左翼思想、エコロジカルになったマルキシズムだと思います」p18
「リベラルは、個人の自由を尊重する思想ですから、規律を嫌悪します」p20
「(日本社会党の主張)革命の実践にあたっては、レーニンが行ったような武力革命を拒絶し、一貫して平和革命を志向しました」p24
「(マルクス主義)原始社会→奴隷制→封建主義→資本主義→社会主義が、想定する社会の発展段階」p54
「スイスに亡命していたレーニンたちは分派して、1919年に共産主義インターナショナル(第三インターナショナル)を結成します。この第三インターナショナルを軸にして世界にネットワークを張り、ロシアで成功した社会主義革命を世界各国に輸出しようとした。「コミンテルン」は、この第三インターナショナルのことです。中国共産党も、もともとはコミンテルン中国支部として発足しました(日本共産党も共産主義インターナショナルの日本支部)」p120
「(アチソン演説(1950.1))アチソンは、共産主義の脅威に対してアラスカ州のアリューシャン列島、日本列島、琉球弧、フィリピン諸島、これらを結ぶ線より東側に対する攻撃にはアメリカは断固反撃すると演説した。アメリカの防衛対象には朝鮮半島と台湾は入っていなかった。1950年代のアメリカはこれくらいの感覚だったということです」p147
「(国内の左傾化によって)今度は財界が、このままでは社会主義革命を起こされかねないという危機感から自由党と民主党に一緒になることを必死で働きかけ、これにより自由民主党が結成されました。いわゆる55年体制に完成です」p157
「日本の労働組合は一般に、企業別組合、産業別組合、ナショナルセンターから成る三層構造になっています」p159
「新聞労連という組織はもともと過激な運動方針を嫌って作られた右派的な労働組合だったはずなのですが、それが時代を追うごとにどんどん左傾化して、今では日本で最も左派的な主張をする産別労組になっています」p163
「(亡命中のハンガリー首相のラジオ演説)「こちらはナジ・イムレ。ハンガリーの首相です。今朝未明、ソ連軍の戦車が攻撃してきました。ハンガリーの民主主義政府を潰すためにきたことは明らかです。我が国の軍隊は抵抗しています。政府は持ち場についています。このことをハンガリー国民と世界各国へ伝えます」。しかしここでハンガリー���助けることはイコール第三次世界大戦への突入を意味しますから、世界のどの国も見殺しにした。結局ハンガリー動乱では3000人のハンガリー国民が死亡し、20万人が西側に亡命したと言われています」p171
「不破哲三を超えられる人はあの党からはもう出てこないでしょう」p180
「(共産党が学生を抑えたのに対し)社会党は統制が穏やかだったので、周辺に集まってくる全学連の学生たちが遠慮なく跳ね上がることができ、やがて彼らが安保闘争全体の中でも中心的存在を担うようになっていきました」p191
「社会民主主義の政党が新左翼セクトを育む一つの土壌になっていったことは、日本独特のこと」p193
「(社会党への調査)カネの流れに関する資料が出てくること出てくること。社会主義協会がハバロフスクで労働大学を開講した際の費用などもみんなソ連が出していたんです。「社会新報」などの機関紙を発行するための紙までソ連が送っていたことがわかりました。社会党が北海道の選挙で仮設事務所を建てるのに必要だった材木なども、商社を通じてソ連共産党から社会党に卸されていましたし、資金も流れていた」p205
「議員たちにしても、社会党の候補者として公認してもらえさえすれば出身労組の組合員たちが実働部隊としてポスター張りやビラ配りをしてくれて、大抵の場合は危なげなく当選できたわけで、そうなるともはや国会は第二の人生というか、組合役員を降りた後の、単に老後を過ごす場所でしかない。本気で革命をやろうなんていう意欲は、当然ながらなくなります」p215
「特に東京では、教育格差が拡大していくと思う。日本では、大学院以上の教育を受けて修士号を持ち、外国に留学し、博士号を取得したビジネスパーソンや高級官僚が増えてくる。この人たちは、日本語だけでなく、英語と中国語を流暢に操るであろう。高度な知的訓練を受けていることが、富裕層や中間階級上層に加わる条件になってくると思う」p227
「(地方で活躍するコングロマリット(複合企業)が地方の行政や議会と一体化するが)このような地方での教育を受けた人が東京で政治、経済、文化エリートに参入する際の障壁は、現在よりもはるかに高くなる。平たく言えば、米国と同じような格差社会に日本が本格的に転換していくということだ」p227
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専門的なことはさっぱりなのですが
個人的にも日本の戦後左翼(より以上に日本社会党)は、
一度きっちりとわかりやすく批判的に整理検証する必要があると思います。
その助けになるのではと。
同じ思いで以前保阪正康氏の「対立軸の昭和史」購入していたのですが
こちらは未だに積ん読状態・・・。
でしたが本書読了後の勢いであちらも読了w
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戦後の社会党と共産党の成り立ち、及び新左翼の誕生する過程について書かれています。学校では学べない左翼の成り立ちについて学べます。
そもそも社会党と共産党のスタンス違いが分からない人であっても、基本から書いてあるのですごく読みやすいです。
左翼についてあやふやな概念しか持っていない人や、政治に少しでも関心がある人には是非おすすめです!
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左翼本はこれまでちょくちょく読んできたつもりだったが、社会党についてはほぼ知らなかったなあ。と痛感し反省。共産党よりずっとインテリで議席もずっと多かったのか。ソ連を取り巻く空気感も書物を通してしか想像できないな。
「左翼=平和路線ってなってるけど本来の左翼は革命のためなら暴力は辞さないし自分たちが有する暴力は肯定する」というの、私の考えと同じすぎて笑った。右でも左でもなくさおり、とか言ってたけど、普通に左やん笑
私は共産党が今も革命政党であることが悪いことだと全く思わない。むしろ立派。
資本論関連本が売れたりとか時代が左派的になってきているというのは否定しないけど、それでも共産党が政党として現代において力を持つ風景というものは正直全く想像できない。
自己責任論を内面化している今の若い人たちが、この社会をどれだけ本気で「政治的な力で変えよう」と思えるのかがなぞいな。
選択的夫婦別姓や同性婚など極めて現実的なイシューに対してならアクション起こしうる(実際に起こしている)が、理念的理想に向かって変革!とかなるのかな?と素直に疑問。
「左翼の悲劇を繰り返さないために」という本書の問題意識には非常に共感するし、続刊も楽しみ。
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タイトルと真っ赤な表紙に惹かれて。個人的に全体主義が嫌いなので左翼的なものも好まないし内ゲバやテロ行為をする人たちというイメージもあって嫌悪感すら持っているのだけどそれ故にちゃんと学んだことがなかった。最近、資本論が注目されたり欧米でも格差問題を扱ったベストセラーが出るなど左翼的な主張に注目が集まっている気がしていて、日本の左翼活動は何ができて何を間違ったか、を理解していないとおかしなことになるのでは、と思ったこともあって読んでみたのだけどまさにそういう目的で出されたものらしい。戦後、収監されたり迫害されていた共産主義者や社会主義者が広報活動できるようになり共産党や社会党を結成、自民党と社会党のほぼ二大政党制みたいな時期、いわゆる55年体制ができるところまで、が本作でカバーされている。一時期は最大野党であった社会党がなぜ今見る影もなく落ちぶれてしまったのか、かねり特殊な思想団体と思われた共産党がソビエトほうかいにも関わらず今でも一定の勢力を保っているのか、などが語られている。高校時代に既に社会党の下部組織に所属していた佐藤優とNHK記者として左翼系の取材を重ねてきた池上彰の2人はこのテーマを語るにはうってつけで他の対談よりも活き活きしているような気がした。共産党特有の弁証法(個人的には弁証法なのか?という気がするが)による無謬制というか、の危険性についても説明されておりかなり充実した内容。早く次作が読みたい。こういう作品に対しては珍しくそう思っています。面白かった。
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社会主義と共産主義、社会党と共産党、その違いすら知らずにいたということがわかりました。日本の近代史、まともに学んでないからな。けれど自分だけでなく知らない人も多いと思うなあ。
堅い話ですがこの2人の著者だからこそ読ませてくれる、流石です。
予告されている60年以降記載の続編が楽しみです。
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池上彰、佐藤優による、日本の左翼史。なぜ今?と思いましたが、いわく、コロナ後の日本は、ますます格差が拡大し階級社会になる。その時に、必ず社会的な平等を求めるマルクス主義的な活動が生まれるはずである。今のうちに、これまでの日本の社会党、共産党を中心とした活動の歴史を検証しておく必要があるとのこと。なるほど。
確かに、日本はまだしも、資本主義社会では格差は冗談では済まないほど大きく広がり、それが様々な事件の原因にもなっている。格差社会の是正を求める大きな動きが出てくる可能性は高いかもしれない。それが、かつて共産党が目指していた革命のようなものになるのか、もっと穏やかなもの(もしくは何らかのベールに包まれたもの)になるのかはわからないが。
続編も出版予定とのこと。
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【概略】
戦後間もなくの時代、共産党や社会党が国民に支持されたことがあった。しかし学生運動や過激化した新左翼の内ゲバは、左翼は危険という印象を与えてしまった。ソ連が崩壊し、イデオロギーとしての左翼思考は終わってしまった・・・かのように見える。本書では、1945年~1960年という時代における日本の左翼史を取り上げ、今一度「左翼とは?」を考えてもらうことを意図している。
2021年08月29日 読了
【書評】
そういえば「左翼」って言葉は使っているけど、深く考えたこと、なかったな。これがこの本を手に取った理由。読み終えて全てがわかった訳ではないけれど、興味深く読ませてもらったわー。頭が良くて、理想を掲げる人、頭が良くて、リアリズムもわかっちゃう人、色々いて面白いね。
「スターリン主義の弁証法」ってのを佐藤さんが触れてるところがあって。「あぁ・・・いるいる、こういう人!」って思っちゃった。「どんなものにも良いものと悪いものがある」って論法で、「良い戦争」と「悪い戦争」、「良い核兵器」と「悪い核兵器」・・・みたいな弁証法を共産党がするというもの。この振り幅が凄い広い人、共産党に限らずいない?保守の人でもいるはいるよね。イデオロギー関係ないか。
知らないってことはダメだねぇ。社会党(今は社民党?)や共産党って最近はずっと護憲なイメージだけど、ちょっと前までは9条を問題視したりしゃってて。でも、軍を保有することを是としていた時代もあるのだねぇ。ってか、主権国家で軍がないって発想自体、おかしいと思うのだけど。・・・いや、むしろ時代の先を言ってるのか?いやいやいやいや・・・。
あと、ナベツネさん(渡邉恒雄さん:読売新聞社長)が一時期共産党員だったってのもビックリ。すぐ除籍になったそうだけど。この辺りは戦争経験(軍隊経験)と色濃く関係があったエピソードでとても楽しく読ませてもらった。
「もっと個人的に掘り下げてみたいなぁ」と思ったのは宮本顕治さん、超絶優秀な方で、強いリーダーシップを発揮されたそうで。創価学会の池田大作さんとの対談なども本になっているから読んでみたい。リアリストだったっぽいから興味がそそられる。
ただ読む前の印象、読んでる途中の印象、読み終えた印象・・・左翼に対するね、については、大きく変わったってのは、ないかなぁ。宮本顕治さんみたいな方が党を率いていたら、政局とかもっと変わってたのかもしれないけれど、結局、色々と矛盾を感じちゃうのだよねぇ。あと、議席数を確保するという手段が目的に変わっちゃった時点で・・・って感じが。これは保守政党に対しても同じだと思う。「あぁ、また一年、議員でいられるんだ」って感覚の集合体になっちゃうと、政治ってまずい気がする、イデオロギー関係なく。むしろ、イデオロギーがバッチバチで、(表裏なく)角突き合わせて二大政党的にやってた方が・・・あ、それは官僚の力に負けるのか。
議院内閣制やめて・・・なんて色々と考えながら読み進めたよ。低い投票率を嘆くなら、いっそのこと高い投票率になるような国会制度にしちゃったら?イデオ��ギーやポリシーの衝突、見たり話したりするの好き(但し、こっちの話に耳を貸さない人は不要)だから、健全にやりあってる姿、見たいなぁ、陰湿のじゃなくね。
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格差が広がりコロナも収束しない中で、これから再び、左翼の時代が来るかもしれない。その時に、かつての左翼と同じ過ちを繰り返してはいけないー。そういう佐藤氏の問題意識から生まれた本だという。歴史が忘却されれば、また内ゲバの悲劇を繰り返しかねない。だからあらためて、左翼を振り返ろうと。その企画意図は、素晴らしい。
佐藤氏が日本共産党を相当嫌っていることがよく分かる。しかし、敵視はともかく、過大視もしていないか。「おわりに」で、左翼は「共産党の一人勝ち」(p229)といっているが、そうなのだろうか。
あの池上さんが、左翼をイチから解説しなければいけない。それほどまでに、左翼の存在感がなくなってきた。時代はここまできたんだな、と実感できる本。
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1,2世代前の人たちの日本観が我々平成世代と捉え方が全く違う(であろう)理由は、この本を読むと肌感覚で分かる。戦後史の理解にも役立つ。
よく名前が知られた若い層の現代知識人も左翼の流れを汲んで活躍していることを知って、世の中の見方がちょっと変わったかも。
しかし、左翼知識人は昔も今もシュッとして格好いい雰囲気の人が多い気がする、、
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1.この本を一言で表すと?
日本の左翼の失敗を繰り返さないために歴史を振り返る本。
2.よかった点を 3~5 つ
・本来はリベラル(自由主義者)と言えばむしろ左翼とは対立的な概念です。(p20)
→左翼リベラルの関係や、愛国心と保守派の関係など、日本ではねじれの関係にあるものが多いと思う。
・この、「どんなものにも良いものと悪いものがある」というロジックは、共産党的弁証法の特徴です。(中略)これ
こそがスターリン主義の弁証法で、「弁証法」という言葉を使うとどんなことでも正当化できるのです。だから彼らは
絶対に謝らないし、そもそも自分が悪いと思ってさえいない。共産党歴が長い人ほど、そういう思考回路ができあが
ってしまっているから怖いんですよ。(p105)
→このダブルスタンダードの考え方は非常に怖いと私も感じた。
・創共協定(p217)
→このような協定があるとは知らなかった。共産党と公明党の関係を今まで知らなかった。
・目的が手段を浄化する革命的暴力論(p210)
→革命運動の本質を理論的に突き詰めて考えれば正しいように感じてしまうところが怖いところである。
・コロナ禍後、格差が拡大する。(p226)日本でも近未来に社会主義の価値が、肯定的文脈で見直されることになると
思う。(p228)
→この予測は、根拠があり納得のいく予測だと思った。
2.参考にならなかった所(つっこみ所)
・対談形式なので、話が脱線してまとまりのない内容になっている部分があった。
・共産主義と社会主義(特に新左翼)の違いは結局何なのかわからなかった。
3.議論してみたいこと
・日本において社会主義の勢力が多数派となる時代は来るのだろうか?
5.全体の感想・その他
・続編が出るようなのでそちらもぜひ読んでみたい。
・佐藤氏が社青同の同盟員だったことに驚いた。池上氏も若い頃は社会党の理論家が書いた論文を読み、とても詳し
いのに驚いた。
・共産党は戦後すぐのころから現在まで、言っていることがかなり変わってきているということがよくわかった。