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投稿者:なっとう - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分の物差しでしか測らずに、「どうせ言っても…」とか「もっと酷いことになるのでは…」と推測して、あえて黙認することって少なくなくて。
元凶はひとつかもしれないけれど、恐ろしい獣を育ててしまったのは、幾つもの黙認だったのだと思うと、あまりにも救いがなくて、とても切なかったです。
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*
黙認
つぐんだ口
目を逸らした出来事
すり替えた事実
心を蝕む罵り、蔑み、視線に
心が壊れてゆく
温かい春のような心に包まれて
育ち生きる人に出会えたら
運命は違ったのかも知れない
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おぞましいの一言。
人の奥底にある残忍さは、表面からはわからない。
後半で1番の犠牲者は、あなただったのねと悲しくなった。
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姉の華と、血縁のない弟の星也
華の恋人、勝人。
前半はその3人を中心に物語が進むが
後半は勝人を軸に登場人物が増え複雑になっていく。
導入から、勝人に気味の悪さを感じていたがその感覚が間違っていないことに気がつく。
会社経営に命を賭け、女性故の生きづらさに拘束されている母親と勝人、そんな妻(母親)に認められたい気持ちが歪んだ父親と勝人、父親と母親の三つ巴の関係。
3人ともが互いに支配し、支配されあい、その結果が物語の要となっていた。
全て読み返してから序章を読むと、容易く読み解くことができる。
5ヶ月前に襲われた女性が華の親友京香であったこと、それを示すストラップ。
また、繰り返される「絶体絶命のピンチで助かるのは映画か小説の中だけ」と言う言葉は、きっと作中に出てくる「シャイニング」の結末と繋がってくるのだろう。
一番面白いと感じたのは、親子・夫婦での心理関係の歪みが動機として描かれているので作者はその類に造詣が深いのかと思いきや、歯科衛生専門学校卒業ということ。前述したが、「シャイニング」が出てくるあたり、親子関係・雪山・閉鎖的空間などスティーヴン・キングからの影響を受けて、作品ができているのではないかと思う。
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運命の出会いを果たしたかのように見えた、勝人と華。穏やかで温かな彼らの日々は幸福そのものなのに、勝人にまとわりつく不気味な影。そして勝人の素性を怪しんだ華の弟がたどり着いた、あまりにおぞましい真実。身の毛もよだつホラーミステリ。
ほんっとこれ、読めば読むほど怖気が走ってきます。勝人の素性について過去のあれこれが判明してきた段階では、まあありがちなお話かと思ったのですが。まさかここまでとは……! 「運命の出会い」の裏に隠された真相にも絶句。それを知ってから第一章をもう一度読み返してみると、あの温かな幸せムードが雲散霧消しました。切ない。だけれど全部が嘘というわけではなかったのだと思いたいなあ。そうでなければあまりに救われません。
「黙認」した人たちに責任はあったのか。その人たちが何かしら行動を起こしていれば、この悲劇は起きなかったのか。おそらくそんなことはないだろうなあ……多少の干渉でどうにかできるレベルは超えていたと思うのですが。やりきれなさが後に残ります。そしてこの事件の主犯は、彼ではなく彼女だろうな、というのも。事件に関わらず、事件そのものを知らなかったとしても、彼女に責任がないとは到底思えません。ある意味彼も被害者だったかも。だからといってゆるされるものではないのですが。
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タイトルは「黙認」と書いて「サイレント」。
「沈黙」ではない。
読んでいけばわかるが、様々な人の黙認によって物語は…この結末に辿り着く。
表紙が綺麗だし、サイコホラーということで気になって読んだ。読みやすくて一気に読めました。
物語のあらすじとしては、コーヒーショップで働く華とそこに客として来ていた勝人(かつと)は次第に恋仲になり、華の義母・巴の怪我の快気祝いのパーティーで華は勝人を紹介する。
勝人は華から見て紳士な良い人なのだが、その場でおかしな振る舞いをし、華の弟・星也は大事な家族の花婿に果たして彼はふさわしいのか?と疑念を抱き、勝人について調べ始めるのだが…
ミスリードも満載で、展開が面白かったです。
ネタバレになるといけないのであらすじはこの辺で留めておきますが、各章(というか全七章のうち三章くらい?)それぞれ主要な登場人物視点で描かれ、その視点の違いも面白いところです。
キャラクターとしても、たとえば星也と幼馴染で親友の葉月のコンビも見てて愛着が湧いてくる。
結末はバッドエンドでもあると捉えていいのか分かりませんが…
ところどころ、読み終わってなお意味深な描写もあって、いろんな解釈ができそうなので、読了した人同士でどんな解釈を持ったか語り合うのも良さそう。
(私の読解力がないだけか?)
読み終わってから、いや読んでる最中から、勝人という名前の重さを考えると辛くなってきます…
人間どんな環境に身を置くかが大事だな、と思いました。
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ちょっと長かったかな、、サイコホラーなのかな、ジャンルとしたら。なんか作者さんオゾミス意識して描きすぎなんじゃないかな。デビュー作が1番面白かった。ちょっとやりすぎ
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狂ってる。
「ぼくは、なぜうまれたの。」こんな問いをしなければならない子がいる。
血が繋がった家族でありながら、我が子をただの物、後継ぎとしか思わない親がいる。
その生い立ちから、自身の女性性を忌み嫌い、社会での成功だけを望む母親、名ばかりの父親、共に暮らしながら物言う事が出来ぬ祖母。
幼少期からの虐待を全て黙認され続けた子の心の中は、孤独と悲しみで一杯だっただろう。
ある事件が発端となり、次々と明らかになる残忍な犯行とその手口。
負の連鎖なんて生易しいものじゃなく完全に狂っている。
サイコパスな魔家族に戦慄する読後。
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「スイートマイホーム」があまりにも“おぞミス”過ぎたのでドキドキしながら読んだけれど、スイート〜に比べるとまだ優しめだったが、また違ったおぞましさがありけっこう楽しめた。
華と勝人との喫茶店での出会い、勝人目線と華目線でこうも違ったのかと衝撃を受けた。
勝人の財布をずっと見ていた理由や星也に探しててと言っていた箱などの伏線回収もお見事で、そこら辺の事実が判明した時の驚きがなんとも気持ちよかった。
最初は嫌な人間かと思っていた勝人は知れば知るほど可哀想で、育った環境が違ったらとても優しい人になっていただろうなと思うとやるせない。
この『黙認』というタイトル、みんなある程度違和感に気付いていたのに何かと理由をつけて公にはせず、その結果こういう悪魔を産み出したのかと思うと、人にベラベラ喋るのは良くないけれど見て見ぬふりするのも良くないな、と『黙認』の難しさを感じた。
華は嫌々、勝人と会っていたのかと思っていたけれど好きになっていたのには驚いた。
博希くん事件が悪事からではなく本当に事故だったこと、猫を可愛がっていたことで勝人にはちゃんと優しさが備わっていたのだと分かり、改めて周りの大人がどうしようもなさ過ぎて腹が立った。
しかし、まさかの父親がラスボスだったとは…
気弱な父親かと思ったら、いっちばん汚い奴だったなんて。
母親は言わずもがな、結局天罰くらっていたけれど、それを行ったのが親友の父親というのがまたやるせない…
しかし、最後、星也は誰に話しかけてた?
そこがよくわからなかった…
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こ、これは…。
建設会社に勤める勝人。偶然立寄ったコーヒーショップで 華という女性に一目惚れする。何度も目が合う。目の前の窓ガラスを拭く華と ガラス越しに手が触れ合う。少しづつ華との距離を縮める勝人。
うん、やっぱりね。この勝人の勘違いしている気持ち悪い感じ。知ってる…。
華とは血の繋がっていない弟の星也は、ある日、母親の快気祝いの席で 華から勝人を紹介される。そこで、勝人の不可解な言動を見てしまった星也は 勝人の人となりが気になり調べ始める。かつて、勝人の家で家政婦をしていた女から聞かされたおぞましい話。庭で見つける大量の虫の死骸、母親からの異常な虐待、見ているだけの父親。そして、勝人が子供の頃に勝人の周りで起きた幼児殺人事件や女子高生行方不明事件…。
ほらねー!これ読んだことあるやつー!
勝人の財布に付いている めずらしい形のストラップ。あれはどこかで見覚えがある。
そしてとうとう華が消えた…。
そうそう!ね!ね!
んで 星也が助けに行くんだよね!
知ってる知ってる。
ん?
え?
犯人 勝人じゃないんだっけ…。
最後まで ちゃんと読んじゃいましたヘヘッ(´∇`)
(そうだった、初めて読んだときも あんまり面白くなかったなぁって思ったのよ)
本物のサイコパスに出会える夏( ≖ᴗ≖)ニヤッ
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序章のサイコパスのような犯罪から徐々に不穏な空気が漂う。ホラーとオゾミステイストがゾワゾワする。どこかの場面で誰か一人でも手を差し伸べてくれる人がいても良かったのではないか。心を壊されていく少年があまりにも不憫だ。
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神津凛子作品を読むのはこれで三度目。
相変わらずの《長野県》と《胸糞》だが、前に読んだ二作より衝撃は薄く、イヤミス度も控えめかもしれない(それでもイヤミスではある)。
それでもこの人の書く文は読みやすく、状況もキャラクターも環境も頭の中でくっきりと想像しやすいので感情移入はしやすい。
読んでいないのは【ママ】だけになったが…またそちらも読んでみようと思う。