紙の本
読み応えある保存版
2024/02/27 15:55
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
2021年4月に亡くなった立花隆さんのラストメッセージとも言える言葉を、講演録・対談など書籍未収録だった「肉声」を中心に、妹の直代さんがまとめたもの。
第1部は2015年の長崎大での講演「被爆者なき時代に向けて」。
第2部は1991年に大江健三郎氏とした対談の一部だという。三十年以上も前の対談とは思えぬ今日感がある。
立花氏が地の巨人であったことを再確認させられる言葉の数々にあふれている。
さらに解説は保阪正康氏が寄せていて、いずれも読み応え十分だ。
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立花隆の遺作。反戦の思いを学生にぶつけた長崎大学での講演、大江健三郎氏との対論など未収録の立花の「肉声」を発掘した。
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2021.4.30に永眠された立花隆さん。彼の戦争の記憶を後世に引き継ぐという思い、大江健三郎さんとの対談での、環境問題、核拡散など地球規模での危機についての警笛が主に著されている。(保阪正康さんによりまとめられている。
「赤い屍体、黒い屍体」という話が印象的だった。赤い屍体は、満州引き上げの際、満洲人により皮を引き裂かれ真っ赤になった日本人の死体。黒い屍体とは、原爆により黒焦げになり亡くなった日本人の死体。前者は加害者として、後者は被害者としての視点。
日本人は黒い屍体(被害者)としての視点で戦争を語りがち。しかし、赤い屍体として戦争を語らないと、真の反戦運動にはならない。
もう一点、大江さんとの対談は、1991年に行われたもの。その際に語られた環境問題について、今も同じことを問題視して、何も対策を講じていない(進展がない)ということが、この問題の難しさなのか、取り組む姿勢が低いからなのか・・・。彼のやり残したことは多々あると思う。それは彼の残した課題なのかもしれない。
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今年亡くなった立花隆、若い頃から田中角栄研究で、センセーショナルを起こしたジャーナリストの作品、かなり刺激されて読んだ。
一族も知性的で、思考が深い人々だと読んでわかった。
読みごたえのある作品を次々と上梓し、精力的に生きた人。意志的に生きる、かなり難しいことを
問われた内容だった。
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核兵器を禁止すべき理由が書いてある。なるほど、そういうことだったのかと思った。大陸からの引揚げのことも、こういう視点があるのだということを教えられた。巻末の保阪さんの解説もよかった。
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本書の巻頭の前書きは、菊入直代(立花隆の実妹)が書いている。
本書で一番読みたかったのは、実は保阪正康の解説だった。
時代に生き、万象の深部を見る と題されている。
文字通りの追悼文だ。
立花隆の追悼番組にこの人が出演していて、的確な話をしていたので関心を持っていた。
左翼の論客的なイメージだったのだが、少し違っていた。
保阪あるいは保坂という別人(いるとして)と混同していたのかもしれない。
でこの解説文を読んでこの人の立花隆、更には立花隆の一族についての考えが理解できたので、良かったと思う。
本編に関しては、ウクライナがロシアに侵攻されている現実を見て、2022年3月12日現在、とても読む気にはなれない。
現実は動いている。
参考
女は戦争の顔をしていない
の作者は、両親がそれぞれウクライナとベラルーシの出身だそうだ。
彼女は現状をどう見ているのだろうか。
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2021年に永眠した知の巨人・立花隆。1991年ソ連崩壊の年,大江氏との対談で語られたのは,核拡散,格差拡大,環境破壊の問題であった。これらは現代における地球規模の問題であり,立花氏が生涯取り組んだテーマ「戦争と平和」について,今こそ深く問いかけられる1冊。
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戦争について深い。
加害者被害者では終わらない。絡み合う話。
赤い死体と黒い死体
抑圧された者からの暴力。引き揚げの悲哀。
吉田茂の自問 小倉和夫
シベリア鎮魂歌 立花隆
ヒロシマ・モナムール マルグリッド デュラス
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本書の「まえがき」にあたる部分を、立花隆の実の妹である菊入直代さんという方が書かれている。それによると、本書の発行意図は下記の通りである。
【引用】
2021年4月30日に兄・立花隆が亡くなり、80日あまりが経った。
本書は、時代を担う人々に、兄がどうしても伝えたいと切望したラストメッセージを、講演録や対談など書籍未収録だった「肉声」を中心に編んだものである。
【引用終わり】
そして、具体的な中身としては、第一部は、立花隆が2015年1月に長崎大学で行った講演「被爆者なき時代に向けて」を中心に構成されており、第二部は大江健三郎との2日にわたる対談を中心に構成されている。さらに、最後に保坂正康が追悼的な文章を書いている。
第一部・第二部で語られているテーマは、核兵器・戦争・地球環境などといった問題である。それを、立花隆は、「現在」「将来」の問題として、提起している。メッセージは、若い世代に向けたもの。
立花隆は、数多くのテーマを著作にしているが、若い世代に伝えたかったことの中心は、こういうことだったのか、と理解した。