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待っていた南さんの新刊。過酷な勤務の状況が息苦しくなるほどリアルに描写されています。さすがの長年リアルな医療現場で闘ってこられた経験が、これでもかと綴られており、寝る間も惜しんで一気に読みました。
ここに出てくる上から目線で派手な後輩看護師が、憎らしいけど話の展開としては何とも良い役割を担っており、そして現実にたくさんいそうで?読みごたえを増しています。
適度に恋愛や主人公自身の介護事情が仕事へのモチベーションと相まって綴られるのも奥行きがあってストーリーが深まっています。
章立てが勤務シフトとリンクしているのもわかりやすい。それにしても1日の勤務内容の、何と多彩で深刻なことか…。看護師さんってこんな仕事を毎日してるのか?と思うともう尊敬しかありません。
自分の父の余命が僅かと知った後、遠いけれど看護体制がしっかりした専門病院と、毎日通えるけど看護体制に疑問を感じる地元の病院とを選ばなくてはならなくなった時、患者である父が例え意識がなくなり痛いも苦しいもわからなくなったとしても最後まできちんと信頼できるケアをしてもらえる遠いところの病院を自分は選びました。
きっと最期は看取れないだろうと覚悟し、実際その通りとなってしまいましたが後悔はありませんし、その病院のスタッフの皆さんには今も感謝しかないです。
その後、選択肢の一つだった地元の病院で母を亡くした友人がその病院のケアのひどさを切々と話しているのを聴いて、お二人は本当に気の毒だったけれども父をきちんと看護してもらえる病院を選んで本当に良かったと改めてしみじみ思いました。
父が亡くなるまでの間、2日程病院に泊まる機会がありましたが、看護師や医師の皆さんには感謝と同時に二十四時間患者に気を配ることの過酷さを感じさせられました。つっけんどんだったり感じの悪い人もいて当時は憤慨もしましたが、本書を読むと「こんなに過酷なら笑顔で働けと言う方が無理だろう」と思ってしまいました。
感情労働という言葉が本書に出てきますが、医療現場の方々の感情労働はもっと評価されたりケアされなくてはならないのではないかと思います。
コロナ禍においては実際の対応の過酷さの激増や言われなき批判や差別など、あってはならない状況が起き、もっと現場の方々が報われるような体制にしてほしいと心から感じました。
本書に出てくるような、感謝を言葉に現すのはとても大事な支えになるとは思いますが、具体的な報奨や補償がないと本当には心身が救われないと考えます。
今のそこここの医療現場が、ここまでブラックな勤務体制でないことを願います。
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看護師堤素野子、31歳。二子玉川の総合病院で死にものぐるいの日々。日勤、夜勤の安定した睡眠を得られない。クレーマーな患者、患者の娘、文句ばかりの後輩。そして患者の死。
超リアルな看護師の生活。患者の肛門にまで指を突っ込まなければならない。
長期入院の経験のある身からすると、こんなに患者はクレーマーじゃないだろうとは思うけれど、看護師の最悪の日々はきっとこうなのだろうと思うと、頭が下がる。
看護師になりたい人必読なのか、それとも決して読んではいけない発禁の書なのか。それ以外の外野にいる野次馬は読めばいいさ。ぶっ飛ぶ。
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面白かったけどしんどい…医療従事者じゃないので想像しかできないけどこの話の中のスケジュール見てるだけで頭狂いそうになるハードスケジュール…
職種は違えど感謝される為にやってる訳じゃないけど頑張っても頑張っても罵詈雑言浴びせられるのはきついよ…
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南杏子さんの最新作。看護師の実態を生々しく描かれている。南さんの小説だけに、現場は実際そうなのだろうと感じさせる。これでもかと追い込まれていく主人公が最後に、前向きに取り組む姿が見れて、一安心。
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終章まで本当に辛くて、どうしようかと思いながら読んでましたが、大団円のようにすっきり終わってしまって、とりあえずホッとしたけれど、問題提起ばかりで、これで良かったのかなという気も。「感情労働」という言葉を知ることができたことも収穫。
2021/11/3読了
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ほんとにきつい、自分自身仕事できつい状況で読んでると気持ちが悪くなる。わたしたちは、豊かじゃない。根性に依存しなくてもいい社会になってほしいと読みながら思った。
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著者は医師ということですが、看護師の日常があまりにリアルに描かれていて、一気に読破してしまいました。一般の方は驚かれるかもしれませんが、程度の差はあれ、主人公の心情が、自分と重なることが多く、全ての場面で理解できました。どんなことにでも真摯に向き合った主人公が心温まる方向に向かって話は終わりホッとしました。
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31歳の素野子は、療養病棟を担当する看護師。
死亡退院の比率が7割。
看護師たちの日常業務が描かれている。
セミナーに参加した素野子は
「感情労働」という言葉を耳にする。
p192〈感情労働とは、肉体労働と頭脳労働に続く第三の労働形態である〉
『白衣の天使』のスマイルを求められ
対価を得られず無料奉仕をさせられていたら、労働の搾取になる。
読んでいて、胸が詰まる思いだった。
看護、介助、介護は「白衣の天使」なら笑顔で接して当たり前。
そういう思いの人ばかりではないと思うけれど
患者や家族の立場なら、看護師さんの存在が頼もしく
縋りつきたくなってしまうのも確かにある。
でも、信頼関係を作る時間が得られないまま
ほかの病院に転院をさせられたり・・・。
本作を読み、いろいろなことを知り、考えるきっかけになった。
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看護師になった友達と連絡が繋がらなくなってしまった。いつ連絡してもとても忙しそうで、彼女が普段どんな生活を送っているのかを知るヒントが得られれば、と思って読んでみた。
「仕事より育児の方がキツイ」という言葉を聞くけれど、この本に出てくる看護師たちの仕事はその育児が何倍にも何倍にもなっているように感じた。
しかも患者やその家族が酷いことを言ったり、してもらって当然といった態度を取ったり…せっかく頑張っていても報われないことが多いのは本当に辛いだろうなと思った。
報われなくても片思い覚悟で心をこめてやる、というのは教員の仕事と似ているところがあるな、とも思った。
日頃ギリギリの状態で働いている看護師さんたち。
もし私がお世話になることがあったら、やってもらってありがたいという気持ちを積極的に伝えるようにしよう。
「仕事だから当然」と思わず、その人の思いやりでやってくれていることに気がつけるようになりたい。
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本当に読んでいて苦しくて、主人公の悲鳴が聞こえてくる感じでした。高齢者にどんどん近づいている自分に置き換え、またコロナ禍であっさり亡くなった母が、幸せな終末期だったんだと気持ちを切り替えるきっかけを与えてくれた作品です。過酷で理不尽な現場の改善が図られるのを願ってやみません。
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頑張っているのにミスを犯して上司に怒られ、患者やその家族からひどい言葉を投げつけられる。ネットやニュースで医療現場の厳しさは誰もが知るところです。報われない状況で、倒れそうになっても前を向く。小さな存在ではあるけれど、かけがえのない存在であることを改めて実感しました。
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看護師の苛烈な業務に驚くとともに、コロナ禍における看護師の奮闘ぶりには只々感謝します。
私もいずれ看護師の世話になる事があると思うが、感謝の気持ちで接したい。
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筆者は医師なんですね。
医師にしては…とは失礼ですが、看護師の過酷な業務の現状、仕事に対する想いが、とても良く描写されていました。
急性期や慢性期など、病院により異なる部分はあると思いますが、現在の医療現場について、とても考えさせられました。
でも、過酷な日常を過ごす中で、心のよりどころの彼氏さんとは上手く行って欲しかったな。まぁ、別から登場して来たものの…
そして、半ちゃんは、どうなっちゃったんだろう笑
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看護師残酷物語かと思うほど、リアルに厳しい病院の日常が描かれていました。主人公が真面目すぎるから?こんなに追い詰められてしまったのか?他の看護師さん、師長も含めて、どんなふうに我慢してるのかはよくわかりませんが、これが現実ということなのでしょうね。自分の勤務中に亡くなってほしくない、と点滴に異物を混入させた看護師の事件は、実際にありましたからね。物語の結末は2年後。中途半端に改善された環境は、まるでコロナのおかげみたいな、印象なのが違和感感じましたが、苦しいまんま終わらなかったのはよかったです。コロナ対応も含めて、現実の日本の医療体制、改善してほしいです。
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読みやすかった。療養病棟で日々働く看護師さんたちの話。明日は我が身というか、ぎりぎりの精神状態で長時間労働を強いられる中で、もしかしたら自分が患者さんを故意に死なせる選択をしてしまうかもと思ってしまった。