紙の本
看護の現場
2021/10/23 14:44
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
医療職に就いている人にとって、物語の中の出来事とは言い切れない病棟勤務での苦しさが、押し寄せてくる。切ない思いが溢れてくる。そしてそれでも、先へ先へと物語を追ってしまう。感情労働が業務の多くの部分を占めるようになった現代の医療現場を、あいかわらず死と隣り合わせの酷烈な現場を、見事に描いている。コロナ禍が医療を破綻に追い込もうとしたが、未来への新しい動きと風をもたらしたかもしれない。
紙の本
医療現場の実情
2021/08/19 03:41
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投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
体の自由が利かない終末期の患者が多く入院する病院看護師の視点を通し突き付けられる医療現場の実情。慣れが生む悪循環の伝染や、一瞬の隙に入り込む闇の誘いは、看護師に限らず共通するものを感じるであろう作品。
電子書籍
医師の小説
2022/08/09 05:00
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が医師だけあって、医療現場の今、が、ひしひし伝わってきました。暴言はく人もいたり……大変ですね。お話は、看護師の堤素野子、31才が、今後のキャリアについて悩んだり、恋人のことを考えたりしながら働いているのですが……
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感動した。感動した。こなにも看護師を主人公にした素晴らしい小説は初めて読みました。看護師の過酷な労働こんなにもすごいことだとは想像できませんでした。私たちの知らないことプラゼボ(偽薬)エンゼルケア(死後に行う処置)バイタルサ(命の兆候)の重要さなど勉強になることばかり、ラストの心癒される結末に感動して下さい。そしてあなたも読んで応援して下さい。この物語の素晴らしさを感じて下さい。
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2021/08/21予約 9
看護師である素野子の人生。
素野子は母親も看護師、父親は外科医という恵まれた環境に育ち、母親が仕事に誇りを持っていた様子を見て自分も看護師を志し、働き始める。
白衣の天使、と言われることも多い看護師の過酷な現状。
これでもか、これでもか、と救いのない状況が次々と降りかかる。最後には、なんと彼氏に別れを告げられる。
それでも素野子は、何度も挫けながら、続ける。
それがとても良かった。
辞める辞める、という大卒ナースの後輩。
看護助手の小山田。小山田さんが男性助手なのも、男女関係的な意味でなく、素野子の救いになったと思う。
素野子の周りに、そのような人がいて、よかった。
理不尽なことを言われながらもしなければならない仕事の看護師。
心が折れるのは、自分が弱いからではなく、それが職務上のものなのだ、と。
自分の仕事も対面ではないが、罵倒されることの多い仕事なので、ここが響いた。
そういう仕事なのだ。
給料に見合わない仕事だけど…
素野子、がんばれ。
折れないで、何度もタンポポのように、名前の通り立ち上がってほしい。
身内を亡くした時、看護師に何度も救われた。
頑張らないように、私たちが聴くからね、と。
その裏側で、こんなハードなスケジュールで動いていたのに、患者にもその家族にも寄り添ってくれた。
この本を読んで、より感謝の気持ちが強まった。
とても良い本です。
おすすめです。
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二子玉川グレース病院で看護師として働く堤素野子は、31歳になり今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を過ごしていた。患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなすが、整形外科医である恋人・翔平と束の間の時間を分かち合うことでどうにかやり過ごしていた。
あるとき素野子は休憩室のPCで、看護師と思われる「天使ダカラ」という名のツイッターアカウントを見つける。そこにはプロとして決して口にしてはならないはずの、看護師たちの本音が赤裸々に投稿されていて……。心身ともに追い詰められていく看護師たちが、行き着いた果ての景色とは。
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南杏子さんの作品は初めて読みました。
コロナ前の2018年4月から現在までの看護師の堤素野子29歳を巡る日常の職場、二子玉グレース病院での経験を描いた物語です。
私事で恐縮ですが、私はあまり体が丈夫でなく持病もいくつかあり、病院には日常的に月に3回は通院しています。
看護師さんというのは、私にとっては憧れの職業です。てきぱきとヴァイタルを診たり、病院内を駆け回っている姿をみると「私も今度健康な体に産まれたら看護師さんになりたいな」と憧れてしまうこともあります。
看護師さんに夜勤はつきものですが、健康な人が看護師さんになっているから、夜勤ができるのではなく、看護師さんも人間だから夜勤前は懸命に睡眠をとろうと無理に眠ったりしていたのだということを初めて知り、頭が下がりました。
看護師さんの仕事がとにかく大変なんだというストーリーでもちろん、並みの仕事ではないことは、私も常日頃から感謝の念を持っています。
だけど、横暴にふるまう患者の家族に泣かされる看護師さんの様子が執拗に描かれているのには、ちょっとカチンときました。
確かにそういうことは多いのだろうと推測はします。
だけど私はそこまではいかないけれど、横暴な看護師さんに出会ったことが1度だけあります。
夜間に食物アレルギーで呼吸困難になり、救急車は恥ずかしかったので車で救急外来に行き、私は苦しかったのですが側にいた看護師さんのような方に必死で「こんな夜遅くに申し訳ありません」と言ったら、その方は「全くそうですよ、こんな遅くに迷惑ですから来ないでくださいね」と言われました。
通りすがりの外来だったし、周りに他の人が誰もいなかったので、口から出たのかもしれません。
こっちは苦しくてたまらないのにあの時はその一言がショックでした。
それ以前にも同じ状況で(その時は初めてだったのでアレルギーとわからず)別の病院に夜間に行った時も同じように「すいません」と私が謝ったら、その時は「謝ることないのよ、私たちはこれが仕事なんだから」と凄く優しく言われ、点滴もしてもらったのですが、病院によってここまで違うものなのかと思いました。
この作品のように看護師ばかりを持ち上げて患者側を悪く描きすぎるのは、そういうことも多いのかもしれませんがフィクションでここまで患者をバカみたいに描くのは、自分の経験を思い出しこの作者意地が悪いのではないかと思ってしまいました。
レビューと言うより愚痴になってしまって申し訳ありません。
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エッセンシャルワーカーとして、半分サービス業のような仕事の辛さというがヒシヒシと伝わってくる文章でした。勤務時間があるようでないこと、対人の仕事の中で罵られたり見下されたり、こっちも疲れてクタクタなのに人のケアをする、疲れている姿を見せてはならない、共感がたくさんありました。これが白衣の天使のリアルか、と思いました。
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看護師です。労働環境や心理状況全てに共感し、自分の状況に重ねながら読み進めていました。とても辛かった、、、。一方で、主人公があるツイートを味方に感じていたように、私もこの作品に仲間意識を感じ力に変えていました。
患者様・ご家族様へ最善の医療とケアを提供したいと感じているスタッフ程、心労も大きいと思いますが、やはり看護師という職を誇りに思います。
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リアル過ぎて読んでいて辛かった。
この本を看護師以外が読んで、何を感じるのか知りたいと思った。現実に起こっていること。全く大袈裟になんて書いてない。ただ最後の終わり方がうーんという感じで。
結局筆者は何を描きたかったのか。
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看護師の仕事が、こんなにブラックだとは。医師を頂点としたヒエラルキーの世界。看護師でも大卒、専門卒、准看でお給料も違い、そこでのヒエラルキーのようなものもある。
主人公の女性は31歳。自らのキャリアアップ、昇進、後輩の指導などで、ますます余裕が無くなっていく。
「感情労働」という言葉を初めて知った。肉体労働、頭脳労働に次ぐ第三の労働。その主たるものが看護師。「働くも者の心のありようまで求めてくる」なんて。心理的な面も含め余裕がないとそんなことできない。
大口病院連続点滴中毒死事件にも触れている。
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看護師の仕事の大変さは並大抵じゃないと思うが、それにもまして勤務シフト(日勤ー深夜勤ー日勤ー準夜勤ー深夜勤ー準夜勤ー休日ー日勤)の過酷さに無理だわ〜と思ってしまう。
こんなめちゃくちゃな勤務だと身体がついていかないし、実際眠れない…。体力ありきの仕事。
わがままな患者や無茶苦茶なことを言う家族もいて辛いこともたくさんある。
だが施設管理の望月さんの素敵な気遣いに心が温かくなった。
何気ないところで見てくれてる人もいることに勇気をもらえたんじゃないかと思う。
患者の立場からすると寄り添ってくれる看護師がいることはありがたいことで心強い。
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看護師という過酷な労働が描かれている。
感謝されるどころか暴言・暴行までされても
耐え抜く姿に胸が痛くなった。
個人的な経験では夜勤の看護師さんは
ちょっと冷たい人が多いかなという印象だけど…
貴士が最後までいい奴で良かった。
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読んでて辛くなる。これが現実だろうけど、患者も上司も気分悪くなる問題児ばかり。患者にもパワハラ、セクハラ適用しないと、いくら“感情労働”と言っても看護師、介護士なんてやってられないよ!になってしまう。「親を病院に捨てているような後ろめたさから介護や看護師に注文つけるのが家族の役目と履き違えている家族」高齢化社会の先行きはあまりに暗い…
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二子玉川グレース病院で看護師として働く31歳の堤素野子は、患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなしていた。あるとき素野子は休憩室のPCで、看護師と思われる「天使ダカラ」さんのツイッターアカウントを見つける。そこにはプロとして決して口にしてはならないはずの、看護師たちの本音が赤裸々に投稿されていて…。(e-honより)