- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |
紙の本
共生か寄生か、良いのか悪いのか。セミとキノコから考える。
2021/12/05 14:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カバーを見て、盛口さんの冬虫夏草の本ってもうあったよなあ、と思いながら手に取りました。今回はもっと多様なキノコたちの話です。冬虫夏草にももちろんつながっていきます。そもそもキノコが昆虫から生えているのが冬虫夏草ですし。
導入は変形菌から。そこから地元のフィールドでの生きもの探しが「いつものように」広がっていきます。菌類の研究者との話は時に「遺伝子解析」や「共生と寄生」などと難くなるときもありますが、様々に生き物がつながっている世界に気づかされる話でもあります。
人間の腸の中には様々な「良い菌、悪い菌」がいて働いているというのはよく知られるようになりました。昆虫も同じこと。特定の植物しか食べない偏食の昆虫も、体内に「共生」するバクテリアなどから栄養を補足しているというのは「そうだろうな」と思えます。親の腸内の細菌を卵にもちゃんと伝える工夫をしている昆虫もあります。
そこでセミ。セミの体内にも菌類がいて不足する栄養を補っている。「セミが鳴くためにはキノコが必要。」そう、やっとタイトルにつながりました。これがセミにとっての「良い菌」なら冬虫夏草はセミにとっての「悪い菌」?
実は、「セミの体内の菌類」はセミから伸びてくる冬虫夏草の菌類ととても近いものだとか。寄生している菌類が「宿主を殺さないように」共生菌に進化したのか?それとも共生菌が宿主のの状態が悪くなったりしたらのっとって自分の胞子を広めるようになったのか?「良いとか悪いとか」「共生とか寄生とか」は人間が便宜的に決めた区別でしかない、と改めて思わされます。セミとキノコから考えされられました。
現地での観察実況も面白く読めます。変形菌を探し続けてから知人と他の物を見に行くと変形菌ばかりしか見えない。でも段々見えてくる。何かを見ようとするときにはそれ専用の眼鏡を使っているので、違うものを見たいときには眼鏡の調整がそれぞれに必要らしいです。イモムシを探していると一寸葉がめくれていてもイモムシに見えてしまう、私の体験ですがこれも眼鏡の調整不足でしょうか?
今回は論文作成の話とかちょっと難しくなる部分もありましたが、「見える世界と見えない世界」「僕が森の中で目にする生き物は、きっと、皆、見えない存在を背後に控えているはずだ。」などのいつもどおりの著者の言葉で、複雑な世界にちょっと触れさせてもらえました。
2 件中 1 件~ 2 件を表示 |