江戸時代後期の経済が分かる
2023/10/28 18:26
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
風の剣を使うという唐木市兵衛が、前作に続き、越後津坂藩に関係した騒動に、巻き込まれる。算盤侍ともいうだけに、江戸時代の大名の経済の回し方が理解できる物語の展開だった。地方の領地から、江戸大阪の藩蔵屋敷への搬送とか、そのさいに生じる濡れ米の扱いとか、興味深い話題が、重要なカギになっていた。経済の話題が多い時代小説だ。
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「風の市兵衛 弐」(第二期)第十弾。(通算・三十作目)
前巻で越後津坂藩の跡継ぎ問題に尽力した市兵衛さんに、その津坂藩の江戸家老から、御用金・百五十両と共に失踪した勘定衆・田津民部の件を調べてほしいと依頼されます。
江戸家老の友で真面目な田津民部に何があったのでしょうか。市兵衛さんの捜査で浮き出た真相とは・・・。
藩の上層部と蔵元の商人との癒着や不正金問題など、いわゆる“腐った藩政あるある”な展開で、ただただ真面目で、好きになった女性と幸せになりたかったであろう田津さんがお気の毒でなりませんでした。
そんな中、療養中の弥陀ノ介が奥さんと娘さんと幸せそうにしている場面にほっこりしました。
そして、終盤で小春が良一郎への想いをお藤さんに確認されていましたね。あとは小春の両親の了承が得られれば良いのですが。二人の今後を見守りたい所存です。
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前巻で決着がついたかと思った津坂藩。世継ぎ問題を中心になって解決した、戸田浅右衛門が江戸家老となり財政再建に力をそそぐ中で、浅右衛門の幼馴染でもある、勘定衆の田津民部の失踪事件が起こる。この失踪事件を探っていくと、またもや、聖願派が関わっていることが見えてくる。
前巻で、どうなるのかな?と思わせた、市兵衛の結婚問題については、あまり進展がなく、今後の方向性もあまり示されない感じだった。市兵衛が結婚しない間は、これまで通り、市兵衛の活躍が見られるのだから、嬉しい反面、あれ?と言う。
その代わり、今回は、若い良一郎、小春の関係に進展の兆しが。いいね、いいね。2人には早く幸せになってもらいたい。
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内容(ブックデータベースより)
市兵衛、儚い真心さえも喰らい尽くす悪鬼を断て!
藩の財政立て直しのため江戸に出た老勘定衆が目にした利権の巣窟とは!
跡継問題に決着をみた越後津坂藩は、新たな江戸家老のもと財政再建に心血を注いでいた。そんな時、初老の勘定衆が百五十両を着服し逐電した。男は江戸家老の幼馴染みだった。友の潔白を信じる家老の依頼で、市兵衛は捜索を開始する。だが、行方は杳として知れなかった。ある日、市兵衛は失踪した男を知る場末の娼婦に出会う。さらに、不穏な噂がささやかれ……。
令和3年11月14日~16日
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津坂藩内の不祥事はまだ続いていた。
ホントに時代小説に出てくる小藩の重役達はめちゃくちゃなことを平然とやり、それが隠し通せるとか権力で通用するとか勘違いした人が多いですね。
最後は勧善懲悪のお約束なので呆れながら読んでいますが、現代の中小企業や地方自治体でも充分ありそうな話なので、人間の性なんだろつか。
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旗本の家柄ながら元服後すぐに出奔。大坂で商売と算術を、奈良の興福寺で剣術を学び、江戸に戻って臨時雇いの用人稼業で生計を立てる唐木市兵衛の活躍を描く、時代サスペンス。越後津坂藩騒動後編。
シリーズ29作目。第弐部10巻。
◇
藩財政を操作し私服を肥やしていた江戸家老亡き後も、その不正システムの継続を図る津坂藩の賊臣たち。
告発しようとして謀殺された老臣の田津民部は、藩政浄化を進める新江戸家老の戸田浅右衛門の親友だった。失踪したとされる民部の捜索を依頼された市兵衛にも敵の魔の手が伸びる。
* * * * *
前回に続き、大きな陰謀渦巻く設定。出だしからもう期待は膨らむばかりです。
悪臣、佞臣、悪徳商人。さらに四龍と呼ばれる暗殺チーム。いいですねえ、敵に不足なし。
展開もいい。市兵衛や鬼渋の地道な捜査と、活劇の真髄・殺陣のシーンのバランスのよさ。スカッとしました。
また、薄墨や蛤屋の料理の描写が何といってもすばらしい。優れた作家、特に時代小説作家は、料理の描写がうまいのは定説です。辻堂氏も文句なしにその仲間入りをしていると思いました。
そして、良一郎と小春の縁談が進んでいくさまはよいデザートでした。 ( 市兵衛の縁談の行方も気になりますが……。)
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久しぶりに市兵衛に会えて良かった。そうか、こういう風に話を持っていくんだったって思い出しながら楽しみながら読み進めました。
満足しました。