紙の本
ヒロイン像
2022/06/01 01:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代とともに変わっていく「ヒロイン」を追いかけた本。
全体の感想としては、「ヒーロー」が絶対的なものとして像を結ぶのと比べ、
「ヒロイン」というものが何かとの相対的な関係性において像を結ぶということ。
これはヒロインの弱さを意味しない。
女性のもつ社会性(個人的な日本語感覚的には世間性と言いたい)に由来するのだと思う。
男性性との関係。母性との関係。
これらを抱えたり突破したりして、
これからも新しいヒロインが産まれるのでしょう。
あと、シンプルに三宅さんの視点が面白い。
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『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』の三宅香帆さん最新本!
今回も面白かったです。
三宅さんの書評って私でも「解る!」という快感が味わえるから好きです。気のせいかもですが。
この本は三部構成。
一部はヒロインのキャラクターについて。
二部はヒロインたちが登場する作品について。
三部はヒロインたちの物語に通底するテーマについて。
『アナ雪』や、AKBグループ、よしながふみや山岸涼子、萩尾望都、ジブリのヒロイン、最近の作品では宇佐見りん『推し、燃ゆ』『かか』などが引き合いに出されている。
「この国は、少女が好きすぎる。そう思ったことが何度もある」p101には、力強く肯首したし、「平成の女の子は、弱い男の子に恋をした」p163にもハッとした。
各論、冒頭部から心捕まれました。
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『大奥』や『イグアナの娘』など読みたくなる作品がたくさん出てきて面白かった!世界は変わってないのに世界の見え方が変わる。批評っていいなぁ〜!
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興味深いが、「今すぐ」読んでおきたいというものとは違っていた。ただ、手元に置いておいて、いつでも読める状態でありたいとは思った。
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小説や漫画、ドラマ、映画(+アイドル)で描かれる女性について語られた一冊。女性キャラクターのヒロイン像、少女漫画の作品論、アイドルなどの女性のテーマ論の、全三部で構成される。映画やドラマ、マンガのストーリーが社会情勢に沿って変化していく模様が語られていて面白い。ジブリ女性キャラや「大奥」などの若干昔のものから、宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」とか、乃木坂46、櫻坂46など最新の小説・アイドルも題材になっているので、世代問わず楽しめると思う。
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ラジオで紹介されていた。
漫画や小説などのヒロインの書かれ方や見られ方についてヒロイン論。
研究論文のようだなと感じた。実際のこの著者は京大の文系大学院出身とのことなので、たくさん論文を書いてきたのだろう。
「男だから、女だから」と分けるのが好きではない。自分で選べるものではない性別で「こうでしょ?」と決めつけられることに反発を覚えてしまう。
女は子を産む性だから、子を作るために男に媚びる性であるという単純なジェンダー論では片付けられないほど、もっと世の中は複雑であるが、根底には異性に好かれたいという気持ちが男女ともにあるとは思う。それで向上心を持つのは悪いことではないが、人に迷惑をかけない範囲で自由に生きようよ、と思う。
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小説、アニメ、ドラマ、映画、漫画、アイドル。いろいろな物語が描き出す「女の子」「ヒロイン」を読み解いていく。馴染み深い作品がどんどん出てくるから、読み易いし、わかりやすい。
自分の気づきとは違う気づきをいろいろもらえたのが、面白かった(「推し、燃ゆ」がケアの物語として読めるとは思わなかった〜)。
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作者と年代が近く、少女時代に嗜んだものの趣味が合いそうだったので借りてみた。人の考察を読むのが大好きなので、結構楽しめた!作者は文芸、芸能多方面に造詣が深い人だなと思った。若いのに色々な本や映像に触れていてすごいな。
特に2010年アイドル論と平成の少女漫画はヒーローが弱い論が面白かった。
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3部構成で一応区切られているが、内容は重複していたりする。
ヒロイン、漫画や物語の主人公たちの変遷から現在の女の子の立ち位置を検討していて面白い。
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最近はまっている文芸のフェミニズム批評。
批評本て、注釈からどんどん派生していくから、読み続けることになるんだよな、と改めて思う。この本からも、沢山の関連本に興味を持ちました。
第一部は、ちょっと浅い。。。と思うものの、第二部の漫画の話からは、「なるほど」「確かに」「そうか」と言う発見がたくさんあって面白かった。
ケアの話は、昨日読んだ『むかしむかしあるところにウェルビーイング。。。』とつながるところもあり、とっても興味深かった。
著者が自ら指摘するように、萩尾望都とよしながふみの話多い。けど、「好きだからこそ、しっかり批評されてて、すごい面白かったから、多くて全然よかったですよ!」と、伝えたい。笑
#女の子の謎を解く #三宅香帆 #読書記録
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私が宝塚の舞台を見ていて強烈に感じる事は、「やっぱりこれだけジェンダーを捻じれさせないと、今も私たち女性はフィクションの中の恋を楽しむことができないのか」と言うことだった。例えば男性に「君を守るよ」と言われても、キャーと黄色い歓声をあげる事はもはやできないのだが、女性が男装した姿に「君を守るよ」と言われると、いとも簡単にキャーと黄色い歓声を上げられるのである。(128p)
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AKB48と市場で傷つく少女たち
ーいや女子高生にドラッカー読ませるなよ
新自由主義、ネオリベラリズムの特徴は、私たちを1人残らず、市場に引きずり込むことだ。誰もが競争社会の一員で、本当は競争しなくていいはずの場所ですら、競争させられる。そして生き残るための努力をしなければ生き残れない、と言うシステムに巻き込む。
(181p)
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面白い批評を読んだときの「そういうことだったのか!」と、世界は変わってないのに世界の見え方が変わることで、自分の世界がひっくり返る瞬間が好きなのです。
でも世の中で「批評」と言う言葉が、あまり良いイメージではなく、上から目線で語ることのように使われているのが、なんだかなぁ、とずっと思っていました。(あとがき)
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たまたまよしながふみの大奥を読み終えたタイミングで本書を読んだので、あの物語には産むことからの解放と言う意味があったと言う解説を読み、わたしが得られたカタルシスの意味が分かりスッキリした。
ジブリの主人公に少女が多い理由も面白い。男は少女に、女は少年に自由を求めるあたり、無い物ねだりなのかもしれない。
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第一部が面白い。紫式部からスカーレット・オハラ、峰不二子、ナウシカ、綾波レイなどのヒロイン像の変遷。戦闘"美"少女像。ケアするヒロイン:「カードキャプターさくら」の知世、「タッチ」の朝倉南など。そんな視点で見たことがなく、知世なんかは、ずっと、いつ裏切るのかという目で見てしまっていた。姉妹ヒロイン:サツキ・メイ、エルサ・アナなど。たしかに姉が落ち着いている。「けいおん!」の唯と憂は逆転しているか。「魔女の宅急便」のキキが飛べなくなった理由や、少女と労働の系譜に、「映像研には手を出すな!」の金森氏がつながるという見方になるほどと思う。
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2022/04/28
この本が売れたのはその時代だったから!という感じ。ほんとにこの著者好きすぎる。いつも楽しく読ませてもらってます。
源氏物語から推し、燃ゆまで、時代を遡り場所をかえ、色々な物語のヒロインについて語られている本。紹介されている本全部読みたくなるしアイドルのところでは全部歌詞を見ながら聞きたくなった。(欅坂46だけはたしかになってなった。)鬼滅について書かれた本は多いと思うがつづ井さんについて語られた本は多くはないと思うのでとても嬉しい。
新刊楽しみにしてます。
p160
私たちは子を産むためだけに生きているわけではない。もちろん子を作ることも人生の一部として存在する。でも子を産んだ人たちにとっても「そのために」人生が存在するわけじゃないだろう。そして子をつくっていない人が、そのことによって何かを否定されることもまた、あっていいはずがない。
p217
日本のホームドラマは、「家長を保つための犠牲になるのをやんわりと拒否するため、微笑んでいた娘たちの物語」とも読めるのである。
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この本に出てくる作品を見ていないとピンとこないかもしれない。説明はしてくれるけど。
姉妹関係ながらも母娘として描くのは確かにそうだなと思った。
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小説、漫画、アニメ等で描かれるヒロイン、そして現実の女性アイドルたち、彼女たちがどのような社会背景の元に産み出され、受け取られてきたかを評する。
取り上げる作品に登場するヒロインやアイドルたちは、私たち誰もが知っているわかりやすいキャラクターだが、社会的背景を踏まえて分析していくと、「なるほど」と思えることも多々あるが、「難しい」と感じてしまった。
時代と共に、ヒロインや女性像というものがこれほどまでも変化していくのかと感嘆し、これから益々激しく、女性像というものは変化していくのだろう。