投稿元:
レビューを見る
北からの光線が射しこむ信濃追分のY邸。建築士・青瀬稔の最高傑作である。通じぬ電話に不審を抱き、この邸宅を訪れた青瀬は衝撃を受けた。引き渡し以降、ただの一度も住まれた形跡がないのだ。消息を絶った施主吉野の痕跡を追ううちに、日本を愛したドイツ人建築家ブルーノ・タウトの存在が浮かび上がってくる。ぶつかりあう魂。ふたつの悲劇。過去からの呼び声。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
投稿元:
レビューを見る
中身が濃く、内容も長く、
コンペの話と施主の行方不明の話とブルーノタウトの椅子についてと主人公の家族の話(現在と過去)が入り混じるので
あ、そういえば施主行方不明で探してるんだった!
だったりそういやコンペが不穏だったんだなと思い出すような不思議な読書体験だった
それぞれ内容が濃いのでターンごとに読み込んでしまい背景を忘れてしまうというのが原因かなと思った
恥ずかしいことに建築関係はからきしなのでブルーノタウトの話もこの本で初めて知った
軽井沢と熱海に行きたくなってしまった
最後の謎解きは途中からそうなんだろうな〜と思っていたので驚くことはなく
両者に悔恨がほとんど残らないようで良かった
最後の終わり方がまた最高で、岡嶋さんの作品がこの世に残るといいなと思った
投稿元:
レビューを見る
北からの光線が射し込む信濃追分のY邸。建築士・青瀬の最高傑作である。引き渡し後、消息を絶った施主・吉野はどこへ消えたのか。横山秀夫作品史上、最も美しい謎。
傑作「64」以来の横山作品。ちょっと大人のミステリーとハードボイルドを意識しすぎた感があって、期待したテイストとは異なった。
投稿元:
レビューを見る
これはミステリなのかな。横山秀夫さんの作品はほとんど読んでいますが、これは今までの作品の中では異彩を放つものだと思います。
投稿元:
レビューを見る
よくできたお話
どうやってこういう小説を書くことができるのか感心する。
参考文献の数が物語っている。
投稿元:
レビューを見る
ミステリーというよりかは建築学と経営学。ただ人間ドラマが面白く、涙するところもあり。美しい物語だった。
投稿元:
レビューを見る
○前半のドキドキ弱め
○思い入れの強い建築物、とはいえ、なぜそんなに居住者にこだわるのか、感情移入し辛かった
○最後はまとめてきたが、過去の横山先生作品と比べるとスケール感など劣ってた印象
投稿元:
レビューを見る
ミステリーとしては珍しい内容な気がする。
「家がもし、人を幸せにしたり不幸にしたりするのだとしたら、建築家は、神にも悪魔にもなれるということだ」
という一文が頭を離れない…
登場人物が一人一人すごくリアルで、全てのことがありありと想像できた。
読み応えがあって、少し読むのに時間がかかってしまったけど…綺麗なミステリーだったと思います。
投稿元:
レビューを見る
去年5月に横山秀夫の著作を20年ぶりに再読した時に、最近描けていないのはネタ元が尽きたからだという意味のことを書いた。全く失礼なことを書いた。横山秀夫は新たなステージに登った。
久しぶりの新作がやっと文庫化した。勇躍して紐解くと、その新しいテーマ、その瑞々しさ、隅々まで絞り込んだ表現、それなのに変わらないスタンスに驚愕した。誤解を恐れず言えば、女流作家には描けない、ぶざまにも美しい「男の矜持」が、全篇にわたって描かれていた。
建築を設計し建てることは、小説を書くことに似ている。青瀬の〈Y邸〉は、横山秀夫にとっては、辿り着いた最高傑作に似ているのだろう。かつて横山秀夫は、新聞記者時代に培ったサツ回りの経験を膨らませて10数年を突っ走った。今回それを総て捨てている。捨ててどうしたかというと、おそらく子供時代から培ってきた「感性」を、この作品に注ぎ込んだ。
じぶんの原点は何かを問い直し、
それに沿って一から創り上げた。
まるで、青瀬が〈あなた自身が住みたい家を建ててください〉という言葉に救われたように、
まるで、岡嶋が〈足りないものを埋めること、埋めても埋めても足りないものを、ただひたすら埋めること〉という言葉で救われたように
おそらく横山秀夫が描きたかったものは
「巧い、暗い、恐い、そして美しい」ナニカなんだったのだと思う。
上質のミステリとして巧く
緊密で硬質な文体は暗く
時折見せる心理描写は恐く
そしてすべてが美しい
ずっと積読状態だった「日本美の再発見」(ブルーノ・タウト)は、今年は紐解こうと決心した。
kinya3898さんのレビューで文庫化を知った。
投稿元:
レビューを見る
「横山ミステリー史上最も美しい謎」
待望の長編、本当に読み応えがありました。
特に終盤は物語が大きく動いて怒涛の展開を見せて、ページを捲る手が止まらず。
さすが、素晴らしいと思いました。
ただ個人的には横山秀夫さんの警察小説が好みだったので、今作はかなりイメージが違う印象でした。
ミステリーというよりも、ヒューマン寄りというか…
家族、仕事、家、人生。
色々なテーマが描かれていて、何とも味わい深い作品だなと思いました。
建築業界についても興味深い内容で、勉強になりました。
投稿元:
レビューを見る
【映像化に期待】
横山秀夫でイメージする作品の中でも
家族に重きを置いた一冊
建築の知識が全然ないので
Y邸、映像で見てみたいなぁ
投稿元:
レビューを見る
信濃追分に建てたY邸
建築雑誌に載って設計者の青瀬稔は達成感に満たされていた!
しかし、Y邸に本来居住すべき施主の吉野が居住していない事に気付く!?
しかも住んでいないどころか引き渡し以降一度も居住されていない様な状態となり放置されている現状に不満と不信を抱き青瀬稔は吉野の痕跡を追う・・・
・ブルーノタウトというドイツ人建築家を本作で知りました!
・PHS、喫煙、バブル後など時代設定は平成15年前後と推測
・今迄、設計事務所の建築士を主人公とした作品と出逢った事がない
・信濃追分という地名を本作で知りました!
設計事務所の建築士視点の物語は珍しいと思います!建築業会で働き読書が趣味の人は必見です!
投稿元:
レビューを見る
とても静かな大人の小説。
中盤、タウトの建築の描写など、建築の知識がないと少し集中力を要する印象があったが、読み終わった後でも、まるで自分で見てきたかのように美術館の風景が記憶に残り、独特の読後感があった。終盤で明らかになる謎の解決は見事で、重いながらも、爽やかさがあり、作者のさすがの力量を感じた。
投稿元:
レビューを見る
今まで読んだ横山氏のイメージとはだいぶ違います。
主人公の青瀬が、吉野から依頼されて設計、建築した邸宅に吉野一家が住んでいないことが分かるが、邸宅にブルーノタウトの一脚だけが残されており、そこからミステリーが始まる。
自身の出自と父。離婚れた妻と娘。設計事務所のコンペ参加。友である事務所長。吉野。ブルーノタウト。これらがゆっくりと交錯していきます。
投稿元:
レビューを見る
手に職を持つというか、技を持ってれば食っていける。確かにそうだよなと思って生きてきた。傑作と思える作品を作り上げるってどんな気持ちなんだろうね。発想を形にできる人を尊敬します。
見当のつかない謎ばかりというより、あーこうなったらやだなーという感じの話しの流れで、過去と現在が結ばれていくところは絶妙でした。
こじつけだけど、それこそ作品全体が「ノースライト」に射されている感じでした。
最終章の青瀬と能勢のやり取りはかっこよかった。