紙の本
その人の生き様が1冊の本だったら
2023/04/01 07:54
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
波乱に富んだ自らの人生を振り返っていく、テンダー・ブランソンの独白に引き込まれていきます。残りページ数が少なくなっていくにつれて、不思議な感覚を味わえました。
紙の本
刺激のない毎日を送る現代人の鼻っ柱のちょうど真ん中目掛けて正確にパンチを決めるような美しさ
2022/03/10 21:29
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
カルト教団の生き残りになった男がいかにしてハイジャック犯になったのかを人生をカウントダウンするような形式で描いた狂騒的な小説。「ファイト・クラブ」の方が好きではあるけど、ところどころに平凡な人生に中指を立てるようなシーンがあってとても良い。パラニュークはイカれた作品を書いているようで、実は繊細な作家だと気付かされるのが面白い。刺激のない毎日を送る現代人の鼻っ柱のちょうど真ん中目掛けて正確にパンチを決めるような美しさがある。ファイト・クラブに続いて、シックで怪しげなデザイン含めて良い新版になってる。
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著者は、『ファイト・クラブ』で有名なチャック・パラニューク。『ファイト・クラブ』(1996年)の次(1999年)に発表された作品。長らく絶版となっていたが、『ファイト・クラブ』に続いてようやく新訳版が発売されたので、この機会に手に取ってみた。
「ハイジャック犯の男が、墜落間近の機内でブラックボックスレコーダーに向けて語る、"社会"に翻弄され続けた半生。」
カルト教団の一員として生を受けてから教団に貢ぐためだけに働き続け、教団の崩壊後はその生き残りとしてメディアの"商品"として持て囃される。自分の意思などなく、ただただ"社会"に流されるだけの人生。現代社会の"闇"を存分に皮肉った物語。
彼のこの人生は"運命"としてそのまま幕を閉じてしまうのか、それは「0ページ」だけが知っていること―――。
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世間への風刺や自分を縛り付けていたものからの解放みたいなものをテーマにした話なのかな。自分みたいに物語としてラストに爽快感を求める人には少し面白さを理解するのは難しいのかもしれない。でも冒頭に主人公が自分を「さまよえるオランダ人」に例えたのがすごく気になる。ファーティリティが主人公を愛してあげられたら何か変わったんだろうか。
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すごく難解だけど果てしない狂気を感じることができる作品だった。
やはり日本人にはキリスト教的価値観や1990年代後半のアメリカ社会がよくわからないので、読者側の知識もかなり求められるなと思った。
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「ファイトクラブ」などの代表作の著者が書いたカルト宗教にまつわる小説。
ファイトクラブでわかるようにその作風はタブー無しの胸糞悪くなるような内容を含むが、不思議と人を引き付ける。
この本も同様。
小説はハイジャック犯の独白から始まる。
その犯人は自分たちで閉じたコミュニティを形成するカルト宗教で生まれ育ち、生き残った最後の一人だった。
その宗教ではひたすらの労働のみが美徳とされ、性をふくむあらゆる欲望や快楽は忌み嫌うべきとされていた。
そしてもう一つ、現世からの「脱出」が実行された場合、宗教に属する者はそれに続かなくてはならない。
その脱出を実行せず、生き残った主人公は稀有な宗教的存在として世間に祭り上げられていく。。
出てくる人は皆が皆モラル崩壊していた。
一番恐ろしいと思ったのは、カルト宗教以上にモラルを無くし欲望に支配された拝金主義の資本主義構造だと思った。
確かに極端な教義を持つカルトも非常に怖い。
しかし歯止めのない欲望への精神的な後ろ盾を求める資本主義の極致もそれ以上に恐ろしかった。
やはり人を人と思わなくなるように仕向けるのはカルト宗教にしろ、資本主義にしろ恐ろしいと思う。
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カルト宗教の最後の生き残りが自身の半生を独白します。
わずか三分半の差で長男になり損ねたことで、彼は教義により、子を成せず教会の奴隷として労働に一生を捧げ、何者にもなれない、と決めつけられていたはずでした。
しかし、彼は教会の生き残りになってしまう。
ケースワーカーとエージェントを得てしまう。
予言者・ファーティリティと出会ってしまう。
それは運命か否か。読後に考えさせられます。
生い立ちは彼自身の選択ではありません。でも、その後の人生は?選択の余地もこれまでの人生からの転換も、十分にあり得たと思います。
結果として、彼は他者に人生を委ねようとしました。それこそが選択であるにも関わらず。
教会の洗脳に従い、ケースワーカーによるDSMに基づいた診断を求め、エージェントのプロデュースに任せ、最後には予言の実行者に名乗りあげていました。
彼は、死に方だけは自分で選ぼうとしていたのだと思います。何度も自殺を思い止まった。兄に殺されるのを恐れた。
ハイジャック犯として独りフライトレコーダーに語りかけることが、運命だったのか自由意志によるものだったか、そして遂げられたのかどうか。読み終えても判然としません。
この手放しに委ねられる不安感と問い。彼の独白を読まされてきた最後に突きつけられ、物語を普遍的なものにしています。
ここまで過激な人生でなくとも、日々暮らす中でふと運命だとか宿命だとか、始めからこうなることが決まっていたのかなと思ったり諦めたりする瞬間があります。
環境や条件によってパターンはあるにしろ、身の上に起こったことを自分の意志で選択した結果なんだと思えたとするならば、それは幸せなことかもしれません。
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2023.06.19
ちょっと難解。適当に読み進めることはできない。
この本の凄いのは、書かれたのが20世紀であるということ。9.11よりも前であるということ。
最近書かれた本と言われても違和感ないくらい未来を見通しているのは凄いと思う。
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とにかく内容が濃い上状況が目まぐるしく移り変わり、飽きる暇がない。
あることないこと言うメディア、金のために「僕」にたかるケースワーカー、とにかく人の醜さが見れる1冊だった。