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浅田次郎と本のタイトルで期待して読むも、ストーリー自体に無理があるとしか思えない展開で全く浅田節の心に響く事も無い愚作かなぁ。確かにタイトル通りに違い無いがダミー母親を慕うストーリーには全く感情移入も出来ない事が原因か。。
血を分けた親のダミー展開は無理が有り過ぎ、せめて夫婦間柄で有ればストーリーは成り立つかも知れない。
大手食品会社社長まで上り詰めて現役で働く松永徹、循環内科女医で還暦を機に辞職を考えている古賀夏生、薬品営業部長で定年を迎え出向先で退職して熟年離婚を言い渡された室田精一この3人はとあるカードのプレミアム会員(年会費35万)で共通のトライアル運用のマイビレッジ商品(1泊50万)に申込、其々ダミー実家に訪れダミー母親と一晩過ごす。この商品はクライアントの里帰りを村ごと演じて貰えダミー母親も真の気持ちで迎えてくれ故郷を持たない3人は心に響くおもてなしで惹き込まれリピーターとなり母が待つ実家に足を運ぶ。最後は、ダミー母親が亡くなって本当の葬儀に3人は個別出席して葬儀にはもう1人チェーン居酒屋社長の田村健太郎を加えた4人が初めて顔を合わせて泣きダミー母親を偲ぶ。
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久々に浅田次郎の小説に涙が止まらなくなった
眼科の待ち時間に読了、涙も誤魔化せた
限界集落を壮大な故郷計画を実現して、この故郷に泊まる人達の心を癒す
最後には胸が熱くなって
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東北の限界集落の曲がり屋で、ブラックカードの会員にだけ提供されるサービス。1泊2日50万円でふるさとを疑似体験するというサービスは本当にありそうで、最初は都会者の感傷と過疎の村の打算の構図が見えて嫌な気がした。
だけど読み進めるにつれて見えてくる利用する側の寂しさ、もてなす側が表に出さない深刻な事情、その中で心底母に徹するちよさんの姿に少しずつ心が動いていく。
都会暮らしの便利さと引き換えに不自然の中に身を置くことの虚しさ。自分の人生そのものさえ箱庭の中の物語のように感じる登場人物の気持ちが身に染みる。
サービスを受けた4人の利用者が、最後に損得抜きで集まるシーンは感涙ものだし、この不自然なサービスによって利用者とちよさんの間に、自然な心の交流があったことに胸を熱くした。
食べること、生きること、死ぬこと、家族、そんなことについてしみじみと思いを馳せ、じわりと涙が溢れてくる良作でした。
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最初はなんてことない里帰りの描写だなと思いながら読み進めていたが、第二章を読んでまさかの展開にワァ!っと胸が躍り一気に読んでしまった。
映像化したら絶対に観たい!
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里に住む年老いた老女、仮の里親として都心に住む仮の子を迎えて一夜、一泊二日のおもてなし、その仮の子どもとの心温まる会話、そして老女はある日死を迎える。その仮の子どもは----。なかなか感動の物語であった。やはり浅田次郎氏の書籍は期待を裏切らない!
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都会暮らしの慌しさの中ステータス
築き老齢の入り口に立った時、ふと今迄の
自分の人生を振り返り仕事に犠牲を払い
何も人生に残らなかったのではと思った
人々の、架空の桃源郷。
高額なテーマパークだと思いきや
そこには暖かく迎えてくれる母の姿が
あった。
現代都会では隣人の顔さえ知らない
はずが、見ず知らずの母は虚実と現実の
狭間で揺れながらも、架空の息子や娘を
癒して行く。
虚構の親子だが、その母の死は都会の子供達
に真実として涙を誘う程の大きな真の母の愛
だったのだ。
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限界集落の話でもあり、独居老人の話でもあり、また家族の話でもある。
その場所へ訪ねて行く人は家族を持たず、それでもそれなりの覚悟もまだ無い60代の人。
覚悟というのは、ひとりでも生きてゆくという覚悟。だからその人たちは、擬似母性を求め高い料金まで支払いながらも回数を重ね訪れることになる。
まさかのAIの登場なるも、最終章ではようやく腑に落ちる。AIには予測つかない『子供たち』の邂逅は、何故か温かいこれからをも予測させてくれる。
そしてその母が何故、一人になったのかも、10年前という昔ばなしで暗示してくれる。
擬似家族の是非を問うのはまた別の問題。
ここでは亡くしたばかりの『お母さん』を悼み胸にしみる涙をそれぞれ味わう。
浅田先生は毎回新しい世界を見せてくれる。
楽しい読書時間でした。ありがとうございます。
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最初のほうから、プロットみたいなものがわかりだして
読んでいくと、少しリアリティにかけるような
内容でした。また登場人物も真実離れしたというか、
感情移入しにくいような人物で。。。
でも最後の最後の昔話が最初は、まったくさあっと読み終わったのですが、どこか心に引っかかってのあたりを、何度か読み直してみると、ふっと腑に落ちる部分というか、納得というか、心に響きました。
それを踏まえて、その少し前からの流れで。。いい小説だなと思いました。
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世知辛い世間の荒波に揉まれ、ささくれだった心を癒してくれる故郷、そして母。ちよさんの東北弁が温かい。包容力に長け、素直で穏やかなちよさんの人柄と程よい距離感が理想の母になったのだろう。
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ユナイテッドカード•プレミアムクラブ ホームタウン・サービス。一泊50万円の架空の故郷への帰省サービス。このサービスを利用する熟年の男女のそれぞれの生き方が描かれていきます。同世代として身につまされて読み進めました。ふるさとの「母」が寝物語に語ってくれる「どんどはれ」の昔話しが興味深かったし面白く思いました。ラストのケンちゃんエミちゃんに語ってくれた物語がリアルのちよさんの過去なんだなぁと思うと、3・11の現実に引き戻された思いがします。テンポのいい文章で面白く読み終えました。
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あり得ない設定だと白けたが、読み進むうちに、これもありかと納得。「平和な時代に若者の姿がなくなってしまう現実は戦争より無慈悲に思えた」「多くの兵士たちは、生まれ故郷の風景を思い描きながら『お国のために』死んでいったのではあるまいか。だが、そのふるさとが今や、思いもよらずに滅びかけているのである。彼らが命をかけて守りきったはずの故郷が、平和な時代が続いたゆえに消滅してしまう」少子化といい、地域格差、限界集落問題といい、放置している貧しいこの国そのものが…この作品に共感できる若者がどれほどいるかで将来が決まる。「夜の黙(しじま)がきこえてくる」「夜が広い」唸ってしまう表現、浅田さん健在!
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さすが浅田先生。希代のステイストーリーテラーです。60前後の3人の男女が架空の故郷を見つける話ですが、リアリティーとそして最後の仕掛けが涙を誘います。こういう物語はオーソドックスに心に響きます。
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泣かせの浅田次郎。
久々に我慢できない水準。
疲れてるのかも。
看護師の母の手ひとつで育てられたので、将来は同じ職業につくと決めていた。だが高校生になると欲が出て、医師を夢見るようになった。
私立の学費はとうてい無理にしても、国公立の医学部ならばどうにかしてもらえるのではと、母に相談した。
しかし母は反対した。学費の件はさておくとしても、割に合わぬ仕事だと言った。過酷な勤務や研修医の生活や、父と同じ感染症の危険などを母は諄々と説いた。ベテラン看護師の目から見た医師という仕事は、そうしたものであるらしかった。
それでも数日後の夜勤明けに、母はくたびれ果てて帰宅するなり、「ナッちゃん。あんた、ドクターにおなんなさい」と言ってくれた。
なぜ母の心が翻ったのかはわからない。脆くてあやうい決心に思えたから、何も訊き返せなかった。
当直の医師か同僚に相談したのだろうか。それとも夜勤の静寂の中で、考え続けたのだろうか。いずれにせよ古賀夏生にとって人生を決めた瞬間は、大学の入試でも医師国家試験でもなくて、母の許しを得たのそのときだった。
割に合わぬ仕事。
母のその一言は、古賀夏生の心にずっと居据わっている。
六年間の大学と二年間の臨床研修。浪人も留年もせず一人前になっても、大学病院の医局に残った古賀夏生の収入は、大会社に入った同級生よりもずっと低かった。
(中略)
時間は蜂の巣のように、規則正しくみっしりと詰まっていた。
そうした同じ時間割の中でも、器用に恋愛をし、結婚をし、出産する医師たちを、古賀夏生は真似ることができなかった。チャンスがなかったはずはないのだが、幾度もあったそれらは、顧みてそうとわかるだけだった。
(中略)
介護生活に入ってから、母ひとり子ひとりの境遇を初めて苦労に思った。社会的地位もたかだかの経済力も、その生活の中ではほとんど無力だった。母が必要としていたのは、娘とともにある時間だけだった。だが、医師にはその時間がなかった。
(中略)
また、呆けた母を母とも思わず、かつて母であった何者か、と考えていたのもたしかだった。自分自身の行動よりも、その意識のほうが古賀夏生には許しがたい。心ひそかに、母を厄介者としていた自分自身が。長い介護生活にどれほど疲れ果てていたとしても。
(中略)
おめえもな、ナツオ。
もうは、けっぱらねで良えがら、たんと飯さ食て、のへらほんと生きてけろ。
おめはんほんによぐやった。誰がほめてくれなくても、母は力いっぺえほめてやる。そんで良へ、ナツオ。
【P84-104】
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自然な振る舞いをする人には、人は自然と素直になっていくものなのだろう。故郷とはこういうものであるのか。読み進むうち、こういう故郷が自分にもあったら良いなと思わざるを得なかった。
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NHKラジオでのインタビュー、東京人で田舎がないという発想、都会人だからの桃源郷なのかもしれないっと斜に構えたが・・・
さすが浅田次郎!、唸る。
やっぱり日本らしい作家はこうでなくっちゃ。
ありえない話なのに、なぜか共感してしまう、著者らしい世界観。
最後の昔ばなしが心に沁みる。