紙の本
野の百合
2022/06/09 16:12
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済学の歴史を探りながら、経済という現実は常に変化の最中にあるということを感じさせる。心の平静を保ちつつ、本書をシンフォニックに感じるか、それとも不協和音と感じるか・・・。
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本書は、初出でほぼ30年間にわたって書かれた経済学的論考や経済的知見に基づく随想を一冊にまとめたもの。
一番面白いと思ったのは、「第1章 経済学者たちの処方箋」である。ケインズ、シューマッハー、ミュルダール、ガルブレイス、カップ、ハック、セン、スキデルスキー、都留重人等々の経済学者が、どのような課題について問題提起をし、いかなる処方箋を考えたかを取り上げて、簡潔に紹介していく。いわゆる主流派経済学ではない立場からの異論が示されていて、確かにそういう問題があるなと頷かされる論点が多かった。
「第2章 戦後経済学のマトリックス」、「第3章 経済学における中心と周縁」は、ケインズ経済学と新古典派総合以降の経済学、経済理論を解説し、また、主流派経済学に対する周縁からの批判的メッセージを跡付けたもの。
経済学教科書の代名詞とも言うべきサミュエルソン『経済学』の改訂状況は、ある意味経済学を取り巻く状況を写し出す鏡のようなものだったことが分かる。(学生時代に経済学を学ぶ際に読んだものだったので、個人的にも懐かしい。)
「第4章 ライフスタイルと経済」は、イギリス滞在時の思い出と経済を絡ませて、また、歳時期を巡る経済活動についてのエッセイで、気楽に読める内容だが、ふと考えさせられるものがある。
経済を通して社会の在り方を考える上で、様々なヒントを与えてくれるだろう。
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図書館で借りた。
洒落たタイトルだが、経済系の読み物と私は解釈した。雑誌のコラム的な感覚で読むのが楽しいと思う。
経済学の基本的な話も多く出てくるが、教科書ではないので丁寧な説明は無い。そこは注意したいところ。その上で経済学史や社会学的な側面の小話などで構成されている。教養として大変刺激させてくれる本と感じた。最初がケインズとシェイクスピアという時点で、経済学の教科書だけ読んでも、著者の言いたいことは理解できないぞ、という空気感。
まだまだこの本で議論するレベルには、私は到達していません。未熟。