紙の本
『ブレーメン通りのふたご』
2023/02/16 21:36
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
5年生のマキ(槇)とカツラ(桂)は二卵性のふたご
祖母の園子さんが営むブレーメン通りにある甘味処「さるも木からおちる」に出入りしている
お店にやってきた二人組のおばあさん、まりあちゃんとえりあちゃん(=まりえり)とかかわりを持つようになったマキとカツラは、閉じこめていたおたがいの思いに気づきはじめ……
「いったいここに、なにためてんの?
役割とか責任、みたいなもの?
ふたごなんだから、なんでも半分こにすりゃあいいのに。
かってに自分のほうが重い荷物を背負わなきゃ、なんて思ってるんじゃない?」
〈悲しみに向き合い、乗り越えていくふたごの物語。〉
マキ・カツラと“まりえり”の視点で交互に描かれていて、心情を相対化しながら読むことができる
〈第1回フレーベル館ものがたり新人賞大賞受賞作家が描く、幸せな思い出が切ないふたごの物語。担当編集Hが自信をもってオススメする、蓼内作品の最高傑作!〉──出版社コメント
ジャズの名曲「明るい表通りで」、編みぐるみ、りんごのコンポートなどの道具立てが絶妙にからんで展開するストーリーに引きこまれて一気読み
高学年から読んでおきたいフレーベル館「文学の森」レーベルから、2022年2月刊
※p.54〈いっしゃん〉⇒〈いっしゅん〉
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小学生の双子(マキとカツラ)と、おばあさんの双子(まりあとえりあ)。
どこか陰のあるマキとカツラの抱える過去と、双子ということ以外は謎なまりあとえりあ。
少しミステリ要素も入りつつ、二組の交流の中でだんだん打ち解けあっていく様子が微笑ましい。
マキとカツラの過去は到底乗り越えられるものではない、厳しいものだけど、家族でも他人でも、誰かを支えたり支えられたりしながら生きていく大切さが描かれている。
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甘味処で出会った、二組のふたご。
一組はマキとカツラ。もう一組は不思議なおばあさん、と紹介にあったので、不思議なおばあさんってどんな設定だろう。異界の人達?と思って読んだのですが、不思議というよりは、事情のあるおばあさんたちでした。
正統派の児童書。
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ジャズの調べ「明るい表通り」が流れる甘味処「さるも木からおちる」。そこで、小学5年生のふたごと、二人組のおばあさんは出会った。2年前に両親を失った少女たちと、50年前に双子を亡くしたおばあさんが抱えた喪失の悲しみは、温かい交流の中で癒されていく。
互いに支え合いながらも思い出を半分ずつにしていた槇と桂が、悲しみを乗り越え、思い出を足し合わせていこうとする姿が素敵だった。ジャズ「明るい表通り」が物語の底にずっと流れているようで、悲しみの中にある人をやさしく励ましてくれる、温かい物語だった。
「同じだった。
まりあちゃんにも、なくしたものがあった。泣きながら、なくしたものを想い続けていた。そして自分で自分のことを、ばかみたいって思っていた。」
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「悲しみに向き合い、乗り越えていくふたごの物語。
お日さまポカポカなジャズの調べ、「明るい表通りで」が流れる甘味処で出会った二組のふたご。小学生のマキとカツラ、もう一方は不思議なふたり組のおばあさん。
喪失感を抱え、おたがいを支えていたマキとカツラだったが、おばあさんのふたご、まりあとえりあに関わることで、しだいに心が前に進んでいく。」
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井田千秋さんの絵が好きなので、イラストを担当されていたこの本を手に取りましたが、私と同じ青森の作家さんの本でした。
お話にも青森が出てきて、同郷としてはちょっと嬉しくなりました。
物語も切なさを含みつつ、前を向いて力強く歩き出す内容で好ましいです。
きょうだいというのは、生まれた時から親の愛情を巡るライバル同士でもありますが、二卵性の双子ともなると他にも思うこともそれぞれあるのだなと。
「ふたご」のおばあちゃんたちも、可愛いけれど、長く生きてきた女性ならではの深みがあり、小さいふたごもおばあちゃんふたごも、生き生きと描かれていて読んでて引き込まれました。