紙の本
「プロカメラマンの写真論」 初心者にも必見です
2022/06/03 11:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安堵 玲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「二つの基準」として、筆者は写真の見方を 「新鮮であるか」と「新たな価値観の提示になっているか」をあげている(P250)。そして「自分には撮れないと思わせてくれるもの」。
一般の写真展やコンテスト入賞作品の一覧をみていると、どれも同じような作品がならんでいると思うことがよくある。私は写真の専門家ではないし、趣味といえるほどカメラのことも知らない。ただ、携帯電話で撮るよりは、とコンパクトカメラを持ち歩く程度。
「コンテストに入賞したかったら審査員のクセを知ることからだ」とは、よく聞く。「だから写真は芸術じゃない」とも聞いたことがある。それはさておき、とにかく「写真を撮ってみようかな」と思わせてくれるのが本書である。本書は技術書でもなければ、歴史書でもない。単純に「写真は自分流でいいんだ」「撮りたいから撮るでいいんだ」と、確認させてくれる本である。『写真はわからない』から面白いのである、と。
紙の本
読むべき
2022/12/25 21:38
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投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は『Asian Japanese』で知っておりました。まだ若いという間違った認識でした。落ち着いた教育者としての視点を得られたようです。すべてリタイアし、えっちらおっちらと写真を勉強している私にとって示唆に富む、いや目指すべきところを見事に教えられました。
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写真家でありカメラマン、大学教授でもある筆者による、これまでの試行錯誤の軌跡、経験に基づいた写真論。
特に写真が趣味という訳ではないが、写真の向こう側で、ファインダーを覗いている写真家がどういう思いや思考でシャッターを切っているのかを少し垣間見れる1冊。
これまでと少し違った角度や思いで写真を見れるかもしれない。
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写真を撮るという、言語化できなさそうなことがわかりやすく書かれている。また、天才肌と言われている写真家がどう考えているかの推論は参考になった。
もちろん、得た新たな価値観で写真撮影のヒントにもなった。
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著者作品は、かれこれ3冊目。
同世代ということもあってか、なんとなく手に取ってしまうことが多い。
考え方も近い?
「どうしたら写真を撮る者になれるのか。それは、写真より好きなものを持つことができるかどうか — これに尽きると思う。」
まさに御意。写真を職業としていない自分などはまさにそうだ。好きなものを記録しておきたい、写し留めておきたい。あるいは、目的のために利用したい。そのための写真だ。
また、村上龍の「切り取られた一瞬」という一文を引いて語っているように、撮影者として、その場所に行くこと、居てられることが、一つの才能である、というのも、大いに賛同。
そして、写真について考えれば考えるほど、わからなくなる、という思いも同じだ。
自分の写真展の前に、写真について反芻することができて良かった。
YAJ写真展『エール』@Gallery-T、江ノ島 https://mfk-photos.com/archives/2511
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この書籍でいう写真とは「写真作品」という意味合いがほとんど。作品としての写真とはどうあるべきだろう、という問いに対して「わからない」、つまり、「決まったものはない」、ということ。たかがシャッターを押した瞬間の記録である写真ではあるが、何かを伝えたい、という明確な「意思」を持った写真があるのは事実で、意思の主体は写真家である。写真家はその意思を写真を通してどうやって伝えていくのか、そこに初めて、撮影のテクニックやテーマの選び方、といった方法論が生まれていく。表紙帯にある「いい写真」とは、鑑賞者側からすれば「伝わってくる写真」であり、写真家にとっては「伝えることのできる写真」ということだ。それについての著者が現場で得てきた体験的方法論であり、写真を撮って、撮るだけでなく、作品として発表しようとしたことがある人には面白いと思う。
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視界から得られる考え事の連鎖。それが醍醐味だと思います。
写真の解釈の理解と誤解について、鏡の節でわかりやすく論じられていました。
昔は撮るのが楽しくてたまらなく、何でも矢鱈にシャッターを押していました。
最近は撮りたいと思った時しか撮らなくなったのですが、それを肯定して頂けたような気がして、救われました。
拝読したことで、写真は確固に散漫に思考を働かせる人間に与えられた断片を残す手段だと、改めて思いました。
小林さんの経験から得られた気づきがふんだんに記載されていました。興味深く拝読、1日で読了できました。
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著者が審査員をするときの基準としてあげている、新鮮であるか、新たな価値観の提示になっているかは、論文にも共通するなあと思った