電子書籍
〈石ころ〉の物語
2022/11/29 08:18
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
渋谷署に分駐所を置く警視庁第二機動捜査隊所属の高丸卓也を主人公とする短編集 『機捜235』 の続編である『石礫 機捜235』は一本の長編です。
高丸と縞長が密行中に指名手配の爆弾テロ犯・内田を発見し追跡したことで、内田が追跡に気付いてタクシー運転手を人質に取って建築現場に立てこもるという事件が発生します。
一方、パトカーでパトロール中だった自ら隊の吾妻と森田も内田が誰かと会ってリュックサックを交換しているところを中目黒駅で目撃しており、その目撃情報を立てこもり現場に来た特殊班SITや所轄刑事に報告するものの相手にしてもらえなかったため、高丸・縞長と共に独自に内田が立てこもる前に何をしたのかを探り出します。
立てこもりは成り行きとはいえ陽動作戦の可能性もある。内田が中目黒駅であって荷物を交換した相手こそが爆弾をどこかに仕掛ける可能性もあり、その緊急性が認められて、4人は機捜・自ら隊としては異例だが、警視庁本部に建てられた特捜本部に参加することになります。
石ころには石ころにしかできないことがある-警察内では軽んじられがちな機捜や自ら隊のような〈石ころ〉が「部長や総監といった方々を支えているんだ」と他作品でもおなじみの捜査一課の田端課長が高丸たちの働きを労う。
縞長のかつての同僚がSITで、縞長を「役立たず」と罵るシーンがありますが、今回も見当たり捜査班で鍛えた指名手配犯を見分ける縞長の眼力と記憶力が捜査の中で遺憾なく発揮され、結果的に元同僚にぎゃふん(?)と言わせることになり、胸のすく思いを味わえます。当の縞長は達観していて、警察官としての責任の重みにさらに自分を律しようとする謙虚さを持っているので、高丸もそれを見習おうとするところは微笑ましいですね。
紙の本
テンポ良く楽しめるエンタメ作
2022/10/09 18:28
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビドラマ版も楽しい「機捜235」シリーズの第2弾。長篇ですが、テンポ良く徐々に事件が拡がっていく展開に引き込まれました。高丸・縞長のコンビは勿論、本作は自ら隊の吾妻(ドラマ映えしそうです)や田端課長も良い味を出していて、存分に楽しめるエンタメ作でした。
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爆弾テロを阻止しろ! 日々事件解決を陰で支える機捜隊員コンビ縞長と高丸が発見した指名手配犯は人質を取り立てこもる。それが爆弾テロ計画とつながりを? 彼らは特捜班となり事件を追う! TVドラマでも大好評の傑作警察小説、最新作
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高丸、縞長バディの機捜ものの続編。
警察の中でも初動捜査だけを行う、機捜をメインに描く作品は少なく、前作は楽しく読ませていただいたが、今作は「流し」の最中に途中で立ち寄ったコンビニで、元見当たり捜査官だった縞長が、長年の指名手配犯を見つけてします。
過去にテロ事件を起こした犯人を追う「機捜235」。
しかし、犯人はタクシーを人質に建設現場に立てこもってしまう。
通常ならば、ここからは捜査一課、しかもSITの出番。機捜である高丸や縞長はお役御免のはずだが、SITはもちろん、捜査一課、自ら隊も総出。
お互いの立場を意識しながらの駆け引きもなかなかのものだったが、やはりここは純粋な「機捜」の話が読みたかった。
見たり捜査のエキスパート・縞長が活躍する場面ももう少し読みたかった。
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機捜に加えて自ら隊も。
通常の警察小説では脇役の人々が大活躍。
日常業務を描いた短編集なんかも読んでみたい。
(それだと某○○班シリーズだ)
今野作品は毎度一気読みで、さんざん待ったのに一瞬で楽しみが終わってしまう・・・。
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機捜235の第二弾。
今回も語り手は高丸卓也。
元見当たり捜査班だった縞長が指名手配犯を発見したことから大事件に発展する。
長編でしたが一気読みしてしまいました。
第三弾もあるかな?
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著者の作品は多く読んできた。本作品の石礫も読み易く楽しく読了。警察物としてよく警察内部を熟知いると感心する。肩の凝らないミステリー小説だ。一気読み、読了後ニヤニヤふんふんと息を出し今日は安眠できそうだ、達成感を味わいながら---
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健全な出世欲は大事ですね。ちゃんとした人には組織を率いる立場になってもらわないといけないし。その一方で、地道に組織を支える働きはもちろん重要。そんなことが言いたいのかなと思いました。高丸&縞長コンビと吾妻たちの活躍もおもしろかったですけどね。
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ドラマにもなっている「機捜235」の第二弾。
自分の要望していた長編で嬉しいです。
縞長が異能を発揮して指名手配犯を見つけたり、過去の事件がらみの弁護士たちを記憶していたりと、ご都合主義的なところもあるが、それを周りの刑事たちが補完するところが面白い。
通常、捜査第一課がメインになる捜査会議も機捜や自ら隊、特捜、公安が活躍するのも面白い。
敵役の旧同僚の刑事だけが安直な存在だったけど、続編に期待します。
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機捜235 高丸・縞長ペアに加え、自ら隊の警視235 吾妻・森田ペア。縞長の指名手配犯の目撃をきっかけに、警視庁捜査本部に召集され、特捜班となり刑事とともに事件を追う!前作の短編よりパワーアップし面白いと感じました。
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縞長さん、スーパーマン?立て籠り事件発生から20時間経っても、犯人の自宅すら確認してないSITなんてと、ツッコミどころ満載。でも、久しぶりに楽しくさくさく読めて、ほっこり気分に。
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設定こそ他の作品と違えども、謙虚な主人公が次々と事態を好転させていき最後は大団円、という安定の「今野敏作品」だった。文章が上手なので、気楽に読むにはとてもよい。
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今野警察モノにしては珍しく?ひとりの死者も出ない作品だったがスリルがあり読後感も爽やかだった。犯人の登場がもう少し早いと謎解きを楽しむ時間があったように思う。
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いや~、面白かったです。前作機捜235では機動捜査隊の本文ともいえる、初動捜査に関わる点にスポットをあてた短編で構成された一冊でしたが、2作目の本作では事件の端緒に触れたことをきっかけに、捜査本部に参加して被疑者確保にまで関わってしまうという真逆の展開。
警察というお役所にあって、機捜本来の役割は意識しつつも臨機応変に体制を組むという組織の”良さ”があらわれていて、警察組織のカッコよさをみた思いです。ともに行動し仲間意識を深めた自ら隊の二人をはじめ、登場する警察官たちのキャラもよかったです。
そしてなんといっても長らく陽の当たらなかった縞長がその能力をいかんなく発揮して事件を解決に導く展開は(ちょっぴり都合がよすぎる感もなくはないですが)今野作品ファンとしてはニンマリな展開。一部のエリートではなく、地道に仕事をしてきた人物がこうして脚光を浴びるストーリーは、市井の読者の励みになりますね。公機捜のメンバーも機捜235の噂は聞いていた、とのことで「シマさん、やっぱすごいよね」と思わされました。
2作目が出たってことはシリーズ化され、次作もある、ということですよね、期待しています。
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機捜235シリーズ第2弾。
「機捜235」とは、警視庁第二機動捜査隊渋谷分駐所の捜査員高丸と縞長ペアの乗る機搜車のコールサイン。
今野さんの警察ものは数々のシリーズを読み、刑事、公安の事情にもかなり詳しくなったところだけど、今回活躍する機捜や自ら隊(自動車警ら隊)については知らないことも多くてなかなか面白かった。
出だしは組織の説明や、登場人物の紹介のような様相でなかなか進まなかったけど、指名手配犯が人質をとって立て籠ったあたりから事件が一気に動き出す。
犯罪捜査の花形捜査一課の刑事たちに日頃から軽んじられ、邪魔者扱いされる機捜や自ら隊の捜査員たちの活躍。特に、見当たり捜査班のレジェンドと呼ばれる縞長の活躍が光る。そんなに上手くいくわけないなどと野暮なことは言わない。今野敏の警察ものはこうでなくちゃ。
仕事への矜持を失わない警察官の物語にはいつもワクワクするし、今回も特殊班、機捜、自ら隊、公安、果ては公機捜まで加わっての事件解決に胸熱。これだから今野敏やめられないんだよな〜としみじみ。
とりあえず、読み損なっていたこのシリーズ第1弾を読まなきゃ。