紙の本
世界が垣間見えた
2023/01/18 09:52
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投稿者:Monty - この投稿者のレビュー一覧を見る
米国と中国や欧州、中央アジア諸国などに関する多面的な考察が大変勉強になった。
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ウクライナ情勢について、7人の学者の記述を載せる。あとがきは2022年7月なのでその時点での論考。巻頭に1ページにまとめたウクライナ年表、大西洋が中心にくるNATO加盟国地図があるのがよい。
経済制裁、戦争形態、ドイツ、スウェーデン、フィンランドなどEU,NATOからみた側面、アメリカから、中国から、中央アジア諸国から、中東諸国から見た側面について述べられている。
アメリカではオバマ政権、トランプ政権、バイデン政権の対ロシア政策について考察。オバマ大統領って期待の割にはあまり・・という印象だったが、対外政策は、その時の相手の国の事情、それを取り巻く諸外国の事情、そして自国の事情、と3者がからまっての対応なのだ、というのが分かった。って当たり前でしょうと言われそうだが、時の権力者が、何かを成し得た偉大な人だった、と言われるのは、その時その場所に居合わせたという偶然も少なからずあるのでは、などと思ってしまった。
小泉悠氏は「古くて新しいロシア・ウクライナ戦争」
この論考ではロシア・ウクライナ戦争の性質(nature)に着目。ここで問題となるのは、戦闘様態(戦争の特徴=character)よりも、戦争がどんな目的で、誰によって戦われ、社会全体との関係性においていかに位置づけられるか、といった戦争のパラダイムである。ロシア・ウクライナ戦争は、その基礎は近代の欧州で成立した「古い戦争」パラダイムでありながら、冷戦後に唱えられた「新しい戦争」としての性質も有する。
○ロシア・ウクライナ戦争の教訓は「考えうる国家間闘争の形態は非常に多様であり、しかもそれぞれの闘争形態はそう簡単には消え去らない」ということにある。現代ならではの情報戦もあるし、古色蒼然たる闘争形態も出現しうる。・・このことは我が国の安全保障を考える上でも重要な示唆を持つ。仮に闘争形態が無数にあるなら前もって備えることは事実上不可能だろう。ならば、優先的に備えるのはどのような闘争形態か、想定外の闘争形態に対処しうる重複性はどう備えるか。非在来的なものを含めた闘争が成立する基盤としての核抑止(米国による拡大抑止)とはどうあるべきで、その信憑性をどう確保するのか、といった問いが自ずと出てくる。
・古い戦争:ロシアの戦争目的は政治的なものだった。拡大された決闘。ここでは兵力の動員能力が鍵を握る。
・新しい戦争:非政治的な目的で組織的暴力が行使される。戦場の外側にも広がる~マスコミやインターネットなどの情報空間に越境して展開。・・だが経済制裁もロシアの自給率の高さとも相まって、今後とも戦争継続できるという可能性も排除できない。
・プーチンは単にウクライナの政体を転換するだけでなく、自国の強い影響下に置きたかった。ロシアとのパートナーシップの強要。
パラダイム: 範例, 枠組み
なにしろUP東京大学出版会、新書に親しんでる身にとっては、文は硬い。きっとこれが論文というものなのだろう。
2022.8.1初版 2022.8.26第3版 図書館
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ロシア・ウクライナ戦争について7人の研究者の視点から冷静に分析した論文集。
単純な善悪二元論には収まらない世界の冷徹な現実をまざまざな角度から示してくれる好著。
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22/01/01読了
秋に読み始めたのでかなり時間がかかったけど、各国/地域から捉えたもので興味深かった
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ウクライナ戦争についてのジャーナリスト的な本はたくさんでていて、どれも役にたつものだが、これは一味違った視点を与えてくれるものであった。
東京大学出版会からの本で、主として東大の教授などが中心となって執筆した論文集。
ロシアの侵攻に対する国よって異なる考えがあることがさまざまな地域の専門家が冷静に分析してある。
複数の視点をもつこと、価値観を共有することが難しい多極的な世界をどう理解するか、どう捉えるか。
と言っても、価値ニュートラルな相対主義的な世界にとどまることは、今回の戦争は倫理的に許されないという感覚がある。
そのあたりをしっかり考えるのに役にたつ。
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ウクライナ戦争について、各地域の国々の考えとそこにいたる歴史や背景(特にロシア及びアメリカとの関係)の考察が興味深かった。日本の報道だと、欧米各国の反応はよく報じられるが、中央アジアや中東等はあまり触れられないので、勉強になった。
(誤字脱字等が多かったが、急ぎ出版したので仕方ないのかなと思う)
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中国はロシアのウクライナ侵攻に関して、自らが世界の少数派になっていくことを嫌っている。ウクライナ戦争を通じて東アジアでは緊張が高まった面がある。中国はウクライナ戦争を通じて日本に対する警戒をあらわにしている、中国が批判するNATOと日本との関係強化であり、まtア日本が従来以上に踏み込んだ経済制裁に加わっているから。
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各分野の碩学による評論集。
ロシア−ウクライナ関係そのものではなく、今般のロシアの暴発を受けて欧州、米国、中国、中央アジア、中東等の対外政策がどうなるのかを考察する。
紛争地である欧州にどうしても一つ目が向く中、周辺地域の動きが俯瞰できて興味深い。
共通して言えるのは、今般の紛争が世界の変化を方向付けるのではなく、すでに多く起きつつあった変化を加速するということだろう。
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経済制裁とは何か、コーカサスや中東の国々の行動原理は何かという(自分にとって)新しい視点が得られた。