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3ヶ月連続刊行のナポレオンシリーズがついに完結
2023/08/02 14:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
またたく間にヨーロッパの頂点へ上り詰めた男の栄光と凋落。稀代の英雄の一代記、ここに完結。ヨーロッパをほぼ手中に収め、人生は最高潮。しかし、ロシア遠征の失敗を機に追い詰められていくーナポレオンはついに最後の戦いへ。本書全体で印象的なのはむしろ、孤独で、自負心と不安感が目まぐるしく転換するナポレオン像ではないか。
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波瀾万丈の人生を堪能!
2023/01/14 16:22
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
3巻の中でも圧倒的に面白かったです。まるで日本の戦国時代のよう。各国ともあっちについたかと思えば、やっぱり強そうな国につく。その中で、子宝に恵まれなかったナポレオンに待望の男児が誕生。この辺りは、秀吉を彷彿とさせました。転落の始まりは、ロシア遠征のモスクワからの撤退劇。寒い中、兵士が可哀想に思いました。その後、エルバ島に流されて、そこで終わっておけば良いのに、脱出してワーテルローの戦いへ。もったいないなあと思いました。ワーテルローの敗因は、何といっても歴戦の将軍たちがいなくなっていたこと。最期はセントヘレナで寂しく去ったのが、気の毒でしたが、波瀾万丈の人生を3巻を通じて堪能できました!
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百日天下で復権したナポレオンはフーシェに「息災でしたか」と尋ねる。これに対してフーシェは「息災でしたとお答えしたいのは山々ながら」と答えた。
世の中には「息災でしたか」と質問されると現実はどうであれ、「息災でした」と答えることが無難であり、社交辞令というような「常識」がある。それを無視するフーシェは、それなりの人物である。この点ではフーシェという人物に対して好感を持つことができる。
この前にフーシェはナポレオンによって辞職させられている。ナポレオンが「息災でしたか」と尋ねること自体が馬鹿にした話である。「息災でしたか」と尋ねることは「私はあなたを侮辱していますよ」というサインと変わらない。このようなことをするからこそ、フーシェもナポレオンを嫌いになったのだろう。フーシェは百日天下の後にナポレオンを退位させて臨時政府首班となり、ナポレオンをフランスから追い出した。
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ナポレオンの生涯の最終盤。
前巻までの飛躍が一転、政治生命に転落が訪れる。
ナポレオンが皇帝の地位を確かなものにするためにジョゼフィーヌと離婚、オーストリアから皇妃を迎え、子にも恵まれる。
しかし、ロシア遠征でモスクワまで攻め登るも、モスクワの大火のため、退却することに。退却途中にロシア軍から攻め立てられ、敗北を喫する。
それを機に皇帝位を奪われるも、その後の王政復古の政権も長く持たず、ナポレオンは再度皇帝位につくことに。
近隣諸国との戦争を戦うが、ワーテルローの戦いで負け、フランス皇帝の地位を退位させられる。その後はイギリス亡命を試みるも、イギリス領セント・ヘレナ島に送られその生涯を終える。
波瀾万丈で、浮き沈みの激しい人生である。偉人の中でもさらに異色の経歴、業績を残した人物なのだと知った。
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ナポレオンに寄り添う視点が時に響いてくるし、時に臨場感が伝わってくる。phenomenon。フランスでは差し詰め、坂本龍馬のような存在か。
帝王でありながら、前線で指揮をとる。こんな英雄、もう居ない。
フランス革命と、レ・ミゼラブルなどと比較しながら読むと、フランスの激動期が多角的に理解出来そう。
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フランス在任中はフォンテーヌブローに住んでいた。世界遺産の宮殿があり、ブルジョワの街。もともとはフランソワ1世の居城であるが、歴史的にはナポレオンの居城として、数多くのエピソードを持っている。有名なのは、ジョゼフィーヌと隣り合わせの部屋の間のドアを塗りこめて通れなくして離婚の布石を打ったり、ローマ教皇を幽閉的に住まわせたり。一番有名なのは、皇帝を退位してエルバ島に流されるときに、この宮殿から階段を下りて去っていったというエピソードが有名。訪問者を連れて何度も訪問した思い出があり、展示物も含め、ナポレオンはとても親近感のある人物。なので、個人的な関係もあるが、この大河小説、期待通りの素晴らしい出来栄えだと感じた。
この長大な小説は、これらのナポレオンの生涯に渡るあらゆるエピソードを詳細に取り上げながら、佐藤さん特有のキャラ立ちと巧みなストーリー展開で、極めて魅力的なナポレオン像を打ち立てたことに特色がある。
ナポレオンというと独裁者とか冷酷とかのイメージがあるが、佐藤さんにかかると、ナポレオンは天才肌ではあるが憎めない奴に大きく変わる。それは他の登場人物も同じで、サトケンワールドと呼ばれる面白さがある。
多くの語るべきエピソードから1つだけ挙げるならば、エルバ島から脱出し、復位して決戦に臨んだワーテルローの闘いを挙げよう。この敗戦でナポレオンは歴史の舞台から姿を消すが、この最後の山場、なぜ負けたのかについて、佐藤さんの重要な考察にはとても驚いた。具体的には言えないが、人間ナポレオンの弱さを心痛く感じてしまった一瞬だった。
年末年始、他の本も読みながら、約1ヶ月に及んでしまったが、貴重な読書体験ができ幸せだった。
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読んだ本 ナポレオン3転落篇 佐藤賢一 20240204
約1か月かけて、全三巻読了。充実した時間になりました。
これまでの感想と同様、ナポレオンという人物の矮小さを描くことで、ナポレオンという人が歩んだ軌跡を身近に感じさせて、単に歴史を追うだけの歴史小説ではなくなってます。
しかし、離婚しないのも離婚するのも自己中心的だし、周辺地域を併合するのもただの傲慢だし、ナポレオンの人生がこのような英雄譚になった幸運が重なった偶然のようにも思えてくる。
でも、皇帝の位を剝奪されてエルベ島に流されるシーン。絶頂からどん底に落とされた残酷なシーンも、ナポレオンの恥を顧みないなりふり構わなさが滑稽で、救われた感じでした。
これが、フランス革命から続く歴史だとしたら、外国に捌かれたためか、ギロチンではなく流罪で済んだのもよかったな。
しかし、また王政に戻り、それが覆され、この後のフランスもどう決着したのか気になります。
ちなみに、今朝、映画のナポレオンをもう一度観に行ってきました。行きの電車で読み終えて映画に臨む。前回全然理解してなかったことが判明しました。そりゃ1か月かけて読む本と3時間弱の映画では情報量違いますよね。解釈なのかもしれませんが、大分エピソードも簡略化されてたし。