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まずはやはり設定が良いよね
公取委という斬新さは二作目も失われていないです
これまで知らなかった事柄やお仕事なんかを小説を通して知るってやっぱりなんかワクワクするよね
そして公取委の組織の特殊性みたいなんがちゃんと生かされていて面白いです
今回は白熊さん、小勝負くんに加えて白熊さんの赴任先の福岡で「内偵の王子」と呼ばれる常盤が登場、謎めいたキャラクターを交えた三角関係に発展しそうで、小勝負くんとの関係性にも変化がありそうで、小勝負くんの過去にもいろいろありそうなんだけど…
相変わらず恋に発展しそうで、しなさそうで、んーもやもやする!
ははーん、さてはこのシリーズ長く続ける気だなw
もちろん、大歓迎さ!
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競争の番人
~内偵の王子~
著者:新川帆立
発行:2022年8月29日
講談社
初出:「小説現代」2022年7月号~8月号
春にドラマ化もされた「競争の番人」の続編。ドラマはこの本も合わせての制作だったようだ。今年の夏に発売して、本はメチャ売れ、図書館予約がやっと回ってきた。前作は古本で買って読んだ。
今回は主人公の白熊楓が福岡に異動になっての話。中央と地方とのギャップや軋轢などを描きつつ、保守的な呉服業界にはびこるカルテルや悪しき商習慣に迫る公取委の姿を描くが、殺人まで起きてしまうところが、単純な公取委の話ではない。
九州の案件が大きな話になってきたため、白熊がいた本局の連中が長期出張で乗り込み、一緒に調べていく。ただし、独禁法三条に引っかかる大きな案件は東京の本局の担当となり、九州のメンバーは十九条案件のみの担当となる。美味しいところを持って行く中央と、苦労して仕事しても出世できない地方との差を描いている。
公正取引委員会九州事務所第四審査課
古賀課長:東京の本局の方ばかりに目がいく、パワハラあり
白熊楓(係長):東京(ダイロク)から転勤
常盤恭太郎(係長):約束をすっぽかす、毎日どこで何をしているのか、正式事件化率が高いので黙認、実は常盤グループ(炭坑ほかで構成される旧財閥)の御曹司(ただし次男)
石山正彦(4年目):本局と地方では同じことしても出世に差がつくシステムに不満
*審査局第六審査長(ダイロク)
第1章
久留米絣のメーカー「宮前織物」から、福岡県K市にある「梶原呉服」から織りむらがあると不当返品要求されたとの通報あり。産地問屋などいくつかの問屋経由での返品。梶原呉服を内偵するため尋ねると、「調整に戻れ。戻らないなら殺す」との脅迫状を偶然目撃する。しかし、脅されているはずの梶原善一は何度行っても取りつく島なく白熊を追い返す。
翌日、K市にある「株式会社つつみ」へ。梶原呉服に反物を卸している地方問屋。一緒に行くはずだった常盤は来ない。白熊は社長の堤翔太が不在だと告げられる。女性社員に「メーカー→産地問屋→元売問屋→前売問屋→地方問屋→呉服店」という取引の流れや、最後に値段が6倍ぐらいになるという商習慣を聞く。中抜きはできないが、地方問屋は外されつつあること、梶原呉服からの注文は減っているが単純に経営が厳しいからだろう、との情報も得る。
すると、社長の堤翔太が帰ってきて、無断で立ち入って情報収集したことに激怒し、本局に抗議すると言う。収まりそうもないところに、2階から常盤が現れる。社長とは小学校時代の同級生だった。なんとか収まり、梶原呉服からの不当返品も認めた。
約20年前に福岡で起きた建設工事受注談合で、県議と暴力団がとりまとめていた噂あり。今回の件は、それに似ていると常盤。
じり貧の呉服業界に国家プロジェクト「天神着物ファッションウィーク」がふってわいた。梶原呉服も開催までの期間、継続的に着物を供給する予定だったが、先月、納入業者から外された。白熊は、カルテルから梶原呉服が抜けたため、納入業者から���されて暴力団から脅迫されているのではと読んだ。石山は、三条案件(カルテル)だと本局が持って行ってしまうので、納入業者いじめなど不公正取引が禁止されている十九条案件としてなら地方処理できるかもと提案。本局に申請しに行こうと言うが、古賀が反対する。常盤は、古賀がガールズバーの女性と不倫して妊娠騒ぎを起こしていることを臭わせ、脅して納得させる。本局の担当部署はダイロク。電話をすると小勝負が出た。
第2章
東京の本局ダイロクに出張し、レクを行ったが、カルテルとしては証拠不足なので事件化はまだ無理との結論だった。その夜、九州のメンバーは、白熊の元上司である風見、桃園、小勝負、新人の南と会食した。
翌週の火曜日、白熊と常盤は鹿児島の「黒木商店」というメーカーへ。黒木清は80歳を超えて、製造の技術面にしか頭が回らず、経営面は大学生の孫である晶に任せていた。晶の両親は早逝している。白熊と常盤は、支払が最終的に一律5%引きになる厳しい商習慣などを聞かされるが、もっと心配なのは、「前売問屋」の「なでしこ」から、京都での展示会に1人だけ手伝いに来てくれと人材派遣要求されていることだった。大学の試験で行けない晶、雇っているパートも今月でやめてしまう。結局、80歳を超える清を一人で行かせることに。心配する晶。もし、無理に来させようとしていたなら、十九条案件になる。
帰り、2人はK市の梶原呉服へ。展示会は呉服業界しか入れないが、呼ばれているのは1人だけ。そこで、梶原呉服の社長に頼んで、展示会に紛れ込ましてもらおう、そして探ろうという魂胆だった。だが、行くと店は閉まっており、奥から焦げ臭い臭いが。白熊が蹴りを入れて引き戸を外すと、梶原善一は死んでいた。横には薬莢。胸を打ち抜かれたのだろう。奥では火がかかりっぱなしになっていた。
事務所に戻ると、東京の小勝負から電話。この一件で大騒ぎになっているという。あの脅迫状をレクで見せられながらも、証拠としては不足だと軽く扱ってしまった。しかし、本当に殺人が起きたとしたら公取委の責任が問われる。三条案件はダイロクが、十九条案件は九州が担当することに。ダイロクが九州にやってきた。
立入検査の日。白熊はT市の「浅倉おりもの」へ。常盤と来るはずだったが、警察官OBでシルバー採用された鶴田が来た。本来、行くはずだった「白石きもの」に知り合いがいたため、常盤と代わってもらったという。「浅倉おりもの」ものは「白石きもの」に卸しているが、問屋を飛ばしたため問屋から取引されなくなっていた。「浅倉おりもの」には、三条案件の立入のため桃園と小勝負も来ていた。順調に進んでいたところに、常盤から電話。「白石きもの」の金庫から、拳銃が出てきたとのことだった。
第3章
白熊は梶原呉服の不当返品案件から外された。「浅倉-白石」案件担当として、Y市にある「白石きもの」へ。ダイロクとの合同聴取として小勝負と2人で。白石健一と葉子夫妻。葉子は「なでしこグループ」で働いていたが、高級な着物を強引に売るやり方に嫌気がさして独立していた。こう証言。
①梶原商店にはある噂。暴力団の組長一家に着物を納めていたが、娘が成人の今年、急に暴力���排除のステッカーを貼って取引を断り、恥をかかせた。
②浅倉おりものへは直接発注しているため、浅倉おりものは問屋のどこからも注文がもらえなくなっている
③金庫の拳銃は覚えがなく、金庫は使っていなかった。暗証番号式で該当ボタンの数字がかすれて丸わかりだったため。暴力団の嫌がらせ?
④自分には犯行時間にアリバイがあることが警察で確認された。その時間、「なでしこ」時代の上司だった九州支部長の山崎が突然訪ねてきて、戻らないかと誘われていた。断固として断ったが。
⑤「調整」については日常的に行われていて、「天神着物ファッションウィーク」の納入一覧を見ても見事にバランスの取れた内容。取り仕切る「クリエイティブ産業振興機構」の久保田理事長は、神奈川県に会社があって着物業界と無関係なのに、このバランス感覚。
話していると葉子に電話が入り、顔色が変わった彼女は、白熊たちに引き取りを願った。電話は警察と夫の健一が関係しているようだった。
常盤の手配で、京都の展示会に行くことに。梶原善一の子、誠が妻の美咲と店をつぐことになり、誠に頼んだのだった。小勝負、南とともに、京都へ。しかし、会場へ行くも、「なでしこ」から強引に動員させられていた黒木清が見当たらない。結局、失禁してトイレに閉じ籠もっていたが、そこに「なでしこ」の山崎が現れ、上からの態度で清に文句を言い、十九条違反見え見えの言動を取った。彼はそれがいけないことだと分かっていなかった。常盤が公取委を名乗って指摘しても、まだ強気。そこに、久保田が現れた。財界つながりで常盤のことをよく知っていた。久保田は、福岡県議の近衛茂を連れてきていた。近衛は、20年前の建設工事受注談合で融通を利かせていた政治家だった。
第4章
所内旅行で別府へ。長期出張のダイロクメンバーも一緒。白熊は宴会で南から、上司の小勝負とうまく行っていないと相談される。白熊が小勝負にそれとなく尋ねると、すぐに見抜かれ、逆に常盤に注意しろと警告される。離職した前任者2人がどちらも女性だったため、常盤に惚れて突き放されたのかもしれない、と。古賀が原因というより常盤かも。
翌週、宮前織物からの訴えがあった不当返品と、浅倉おりものに対する問屋が結託している件について、排除措置命令が下りることになった。九州チームの案件3件のうち2件が解決。しかし、黒木商店への派遣依頼の件は手を引けと古賀からの指示。理由は、現場で録画録音をしたのが強引だと経産省の課長からクレームが来たため。経産省としては、「天神着物ファッションウィーク」でカルテルがあることを探られたくないため、九州チーム案件を口実にしてきた。だから、これさえ止めておけば、ダイロクはカルテルの調査ができるだろうと踏んだ。
白熊に白石葉子から電話が入り、暫く家庭の事情で店を休むので聞き取りアポをキャンセルしたいと言ってきた。気になって白石きものに行くと、閉まった店内から男の声、もめている様子だった。無断で立ち入ると、白石健一と鶴田がもめ、鶴田が殴られて尻餅をついていた。健一は元関西の暴力団員で、抜けて葉子と結婚した。葉子はその過去を知らなかったが、バレてしまった。鶴田が言ったのだろうと疑っていた。しかし、真実は違い、ピストルが出てきた件で警察が過去を調べ、葉子にもそれを確認したためバレたのだった。彼女は離婚を迫ってきた。
鶴田と健一は知り合いだった。鶴田が警察でマルボウをしている時、鶴田と地元暴力団員の仲嶋もめ、その仲裁に入ったのが鶴田だったが、何故か健一と気が合い、親しくしていた。
健一は、去年の秋、梶原善一から暴力団排除ステッカーを渡されていた。善一は腎臓の病気が分かり、先が長くないと感じて息子の誠に引き継がせるに際し、長年の暴力団との関係を整理しようと決意、「天神着物ファッションウィーク」の調整役からも下りた。善一が殺され、気になった健一は自分の店にもステッカーを貼った。おそらく、ピストルを金庫に入れる嫌がらせはその数日後に実行されたのだろうと見ている。ピストルは仲嶋たちがよく使うタイプのもので、仲嶋はフロント企業としてコンサル会社をしていて、それが県議の近衛と繋がっていたのだった。
第5章
盆休みに小勝負は松山へと里帰り。母親はパートをしながら兼業みかん農家。自室に入ると、東大法学部時代に合格した司法試験の合格証書があった。書かれている「司法試験委員会委員長 朝山稔」は顔も見たことのない小勝負の父親だった。認知はされていない。東京の短大生だった母親とつきあい、妊娠が分かると捨てた。大学教授をいくつか経て、現在は最高裁判事。
白熊と常盤は中学校で独禁法などの授業を頼まれていた。その間にダイロクはカルテルの立入調査をしている。授業を終えるとメールが来たので、2人も現場へ。途中、白熊が疲れを出すと、常盤は優しくしてくれた。そして、離職した2人は自分に責任があるとも。告白されたから付き合ったけれど、自分に結婚願望がないことを知ると、どちらも離れていき、居づらくなって離職したとのことだった。
カルテルの会合現場は、博多南の貸会議場だった。十数社の呉服店の者がいたが、毎月、みかじめ料と引き換えに、「仲嶋コンサルティング」から次回の会合場所と日時の連絡を受けていた。ダイロクの風見たちは、白石健一の協力でそれを探り出して、会合に乗り込んだ。かけつけた白熊と常盤は押収した資料の整理。古賀は来ず、石山は風見のはからいで聴取に立ち会えることに。近所で花火大会、始まるとその音に紛れて銃撃が行われ、窓ガラスが割れる。暴力団による脅しだろう。これで参加者は聴衆に口をつぐむのではと心配されたが、立入検査時のビデオ映像が証拠になるから大丈夫と考えた。ところが、ビデオカメラが奪われ、データもそこに含まれ、バックアップも取られていなかった。割れた窓から取られていた。
暴力団は会合への立入をどうやって知ったのか?通信器機は取り上げていたので、公取委内部から漏れたのだろうか?
襲撃犯はまだ捕まらず、クリエイティブ産業振興機構の久保田はカルテルに関して白を切り、逆にあったとしてもうまく配分しているしいいだろ、と開き直っていた。白熊は、なでしこの九州支部長、山崎基弘を訪ねて聴取することに。理由は、カルテル会合になでしこだけが参加していなかったため。
なお、会合に参加していた全ての呉服店には、刃物が置かれ���何も言うなと言わんばかりの脅しがあった。
山崎は東京の法務部長と弁護士を交えた内部調査を受けていた。山崎は法律に疎く、毎月の会合がカルテルになり、それが違法だということを知らなかった。銃撃された会合に出ていなかったのは、たまたま学生のアルバイトが2人、無断欠勤して、店舗へ手伝いなどに出向いていたためだった。法務部長は、山崎一人になすりつけ、懲戒解雇をチラつかせながら会合のことを意図的に隠していたと指摘し、リーニエンシーをしろと勧めた。公取委に対して、違反事実を自主的に申告、報告すれば、課徴金減免制度が適用される。しかし、そんなことをしたら、黒い噂のある「仲嶋コンサルティング」から何をされるかと抵抗した。梶原善一が殺された件もあるし。では、自主的に退社するのか?と法務部長から聞かれた。妻子がありながら無職に。おまけに会社から損害賠償を請求されるかもしれないと脅された。呆然としているところに、白熊が現れた。「山崎さん、大丈夫ですか?」
第6章
山崎は号泣すると、白熊に事情を話し、カルテルの会合は全て録音していることを思い出す。参加した会議は本社に報告義務があるので、録音し、報告書を使って販売統括部長に提出していた。カルテルの情報は元々共有されていた。大きな証拠となった。
なでしこが認め、大手2社が認めると、参加者は続々とカルテルを認め始めた。一部、カルテルだと知らない参加者もいたが。
「天神着物ファッションウィーク」の開催日、常盤に誘われて白熊は現地へ。休日だから個人的に誘われたのか?とも疑った。すると、常盤の大伯父で、県議であり近衛と対立する常盤玉次郎を紹介された。白熊にも来てもらった方がいいと言い出したのは、玉次郎だった。
そこへ、経産省のクールジャポン担当課長、緒方正明が来た。緒方は近衛に呼ばれて来たのに、玉次郎がいたため驚いている。常盤は福岡に住む緒方の弟の康明について調べ、緒方に話し始めた。康明は借金まみれで違法カジノにも出入りしていた。面倒を見たのが近衛で、康明を近衛が所有する貸し会議室ビルの管理人にしていた。あの会合が開かれていたビルだった。立入調査のことも、康明から漏れたのだった。
近衛は康明の面倒を見ていることを盾にとって、緒方を脅した。何かイベントを持ってこいと。着物ファッションウィークの話があり、開催地選びで近衛の地元に便宜を図ることになった。
常盤は緒方に2つの要求をした。それを飲めば開催地決定に関する経緯は不問にふすと。
①弟のことは諦めろ。すでに警察にも情報提供している。
②黒木商店がらみの調査の邪魔をするな
黒木商店の件は指導が入った。襲撃犯は捕まったが、梶原善一殺しは否定していた。
梶原商店が建て替えに。ボヤと白熊が蹴り倒した引き戸の損傷などで保険が出た。書類作成は小勝負が手伝った。古い店舗の解体日、白熊と小勝負は現場へ。すると小勝負は工事を止めさせ、引き戸を調べる。ボルトが出た状態、つまりカギがかかった状態で壊れていた。しかし、警察が現場で撮影した写真はボルトが出てない、カギが開いた状態で壊されているものだった。保険の申請のためにもらって��ったので小勝負は覚えていた。しかし、実際の保険の申請用紙において、その写真だけボルトの出たものに差し替えられていた。本当はカギが開いていたのではないか?そして、警察の現場検証後、誰かが手で引き戸のボルトが出るようにカギを締めたのでは。
小勝負は、誰が善一を殺したか分かったと言った。そして、事務所近くの公園で、白熊、小勝負、常盤の3人での話し合いとなった。
善一が殺された可能性のある時刻は11時~13時だったが、引き戸のカギがかかっていたため、12時~13時とされた。引き戸にカギがかかっていたと確認したのは常盤だった。常葉は不動産屋にカギを取りにいきかけたが、白熊が蹴り倒して引き戸を外した。だが、本当は、カギはかかっていなかった。常盤が嘘を言ったと小勝負は指摘。また、犯行現場からピストルを持ち出して金庫に入れたのも常盤だと推理した。動機は、殺したのが「つつみ」の社長、堤翔太であり、小学校の同級生をかばうためだとした。証拠隠滅罪で自首を勧める。
堤翔太は梶原商店に卸していたが、善一が暴力団との関係を断つため調整役を下り、天神着物ファッションウィークへの納入を辞退したため、売上が大幅に減ったことを恨んでいた。脅迫をしたのも翔太だった。
常盤は、自分がやったという証拠などどこにもない。自首などしない。また、もし自分がやったとしたなら、動機が違う。動機は暴力団の徹底排除だという。子共の頃、玉次郎が何度も暴力団に襲われたが、一度、一緒にいたこともある。それぐらい暴力団を憎んでいた。
結局、堤翔太は殺人罪でつかまったが、常盤はなにも問われなかった。
4月に九州に転勤した白熊は、1月に東京に戻ることになった。一緒に、石山も東京に。風見が引っ張ったのだった。
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東京から九州に異動になった白熊さんは、着物業界のカルテル、仲間はずれ、労働力搾取などの問題に取り組みながら、パワハラ上司、喧嘩腰の後輩、自由人すぎる同僚に振り回される日々を過ごしていた。さらに、地方の拠点では十九条案件という小さめの案件しか担当させてもらえないことが多く、せっかく事件の手がかりを掴んでも成果は本局に横取りされることが多く不満がたまっていた。そんな白熊さんを見てるととても辛くなってしまった。時折登場するダイロクのメンバーだけが癒し。小勝負さんは無愛想だけど白熊さんのことを随分気に入っている様子。桃園さん、風見さんのアットホーム感もいい。人って取り巻く環境によって良くも悪くも変わってしまうものなんだな…。一度切りの人生なんだから、悪い環境で消耗するのはもったいないかも。
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シリーズ二作目。白熊が九州事務所に転勤になってからの物語。主人公が地方転勤になるとシリーズを続けるのが難しくなりそうなものだが、本庁と協力して大型案件摘発に向けて動くという展開で、一作目のお馴染みメンバーも登場してひと安心。
地方事務所ならではのしんどさ、地元密着での案件の挙げ方などが描かれており一作目とは違った視点が入っていて面白い。常盤という新たな優男風キャラも登場し、ドラマ向きだと感じた。ただ、白熊の前任の女性が2人続けて辞めているという中で、後任にまた白熊という女性を割り当てているのは疑問に思った(常盤の不思議な力が働いてるってことなのか)。あと、白熊が仕事に恋愛を持ち込みすぎているような気がしてちょっと腹立たしい。恋愛経験が乏しいにしても、簡単に男にドキドキしすぎでちゃんと仕事しろという気持ちになる。そこがこの作品の魅力でもあるが。
公取委という仕事の特徴からか、登場人物がとても多いので途中で分からなくなりそうになるが、それぞれのキャラクターが活きているので混乱せずに読めた。公取委という仕事の面白さもよく分かるシリーズなので、また続きを読みたい。
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ドラマにもあった呉服業界の話かと思いきや、もっと内容が深くて、事件も起きちゃって、その事件解決にいたるまでの過程も含めて、とてもおもしろかった!!
白熊さんが九州事務所へ転勤してしまって、ダイロクのメンバーが出てこなくなるのかと残念に思ったが、そんなことはなく小勝負くんのあのキャラは健在。桃園さんもいい仕事をしてくれました。
常盤さん、私もいい人だと思ったのに…。
呉服業界の仕組みなんてまったくわからないので、そこも楽しめました。
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09月-10。3.0点。
公取委の女性審査官、第二弾。福岡へ異動になった主人公、きもののカルテル疑いを調査。同僚にはとてつもなく爽やかの男がいて。。
結構面白い。前作の東京組も捜査に参加。以前の同僚小勝負がいい味。
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公正取引委員会の女性審査官の活躍を描くお仕事ミステリー。
シリーズ2作目。
◇
公取委審査官6年目の白熊楓。新年度を迎え九州事務所へ異動を命じられた。深く考えることなく着任した白熊だが、東京本局とは違う地方勤務の難しさに直面する。6章からなる。
* * * * *
「必要悪」の是非。なかなか大きなテーマでした。そのテーマに沿って2つの面から描かれています。
1つは談合やカルテル等の企業連合による不正。
本作でも白熊をはじめ公取委の面々が摘発に乗り出していたように、現実社会でも毎年のようにどこかが摘発され、誰かが逮捕され、謝罪会見が行われます。なのに、一向にこの不正はなくなりません。
効率的に利益を上げることこそ正義だと企業が考えている限り、この不当な取引制限は必要悪であると捉えるからでしょう。「盗っ人にも3分の理」の類ですが、実社会でまかり通っているのを見ると、暗澹たる気持ちになります。
もう1つは悪を倒す手段として悪を用いる、いわゆる「毒を以て毒を制す」やり方。必殺仕事人等のダークヒーローが思い浮かびます。
本作でも、九州の地方財閥の御曹司で公取委九州事務所審査官の常盤がまさにそうで、地元の暴力団の力を削ぐ手段として不正(というか犯罪)に手を染めていました。
常盤の思いはわかります。先ほどの企業論理よりも共感しやすい。ただ、自分の暗躍の障害になりそうな白熊を色仕掛で籠絡しようとするなど言語道断です。
この常盤。稀代の人誑しであり好悪両面を併せ持つ複雑な男でしたが、魅力的な登場人物でもありました。
だからクライマックスを飾る常盤と小勝負の対決には、ルパン対ホームズを見るようで痺れてしまいました。
常盤という人物を作り出した時点で、本作は傑作たる資格を得たのではないでしょうか。
重厚な筋立て。二転三転する展開。そして転部に当たる第5章のはじめに箸休めのように挿まれる小勝負視点の話。その構成の巧みさに唸ってしまいました。まったく見事なミステリーでした。
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いやぁ~、おもしろかった!
面白くって一気読み。これ、競争の番人シリーズの2作目なんですね。前作を読んでなかったので、読みすすめる途中でシリーズ物だと気づいたのですが、読めちゃいました。
あえていうなら、卸問屋同士のつながりとか、カルテルの違法性についてとか、読み手側(私)が整理できていれば、もっとおもしろく読めたかも。
小気味良い小説に、そしてその結末に、今回もやられました。
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1作目よりは、まともな感じがしました
ちょっと、ブラックすぎる職場ですね
なぜか殺人事件がおき、最後その犯人が明かされるのですが、無くてもいいんじゃないかな?
ミステリー仕立てにしなくても、お仕事小説に徹した方が・・・
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競争の番人シリーズ2作目、今回は主舞台が博多なので嬉しく面白く懐かしく読了しました。
相変わらず少しドジで可愛いけど男まさりな白熊さんの活躍ぶり?が際立っていて楽しく読めました。
私的にも公取や官庁や庁舎が馴染みだったので博多駅裏の合同庁舎やら飲み屋街やらボーリング場やら公園やら思い出されてウンウンうなづきながら読んでいました。
そして作中に出てきたK市やT市やY市もたぶんここだろうと思って読めました笑
それにしても流石にこの舞台はこの作者ならではの設定だし宮崎に縁深い人だからこそのお話でしょうか!
まだまだシリーズが続きそうな可能性がありますね
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1作目に続き楽しく読めた。自分が何のために働いているのか、誰かのためなっているのかという問いは、社会人はみんな一度は考える悩み。そんな時こそシンプル思考が大事だと思う。
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世界観が好きでどんどん読んでしまう。
白熊楓と小勝負勉の性格のコントラストが良い。凸凹関係に感じられるが、深いところでは通じ合っていて、付かず離れずの距離感がなんとも言えない。
内定の王子として登場した常盤もずば抜けて才能のあるキャラクターであった。彼なりの正義感と悪への抵抗感は、自分も重なる部分がある。常盤玉次郎のようにする事が必要な正義かもしれないが、恭太郎は才能あるが故に素人にはできない事ができてしまう。結果を出すための方法について考えることもできる内容だった。
わかりやすい伏線と展開には感じたが、混み合ったトリックや動機が面白く感じられた。
複合的な背景より、1つ1つの事件や事象が生み出されていることへの面白さと、その世界を描ききる著者への羨望を感じた。
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競争の番人2作目。今回は九州へ赴任し、また仕事のモヤモヤを抱えながらも頑張る白熊。
小勝負とのやりとりが少なかったのが個人的には残念でしたが、前作同様楽しく読めました。
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面白かった!
競争の番人、シリーズ2作目。
話の筋が、元彼シリーズよりも好きかも。
小勝負くんから離れた九州地区に勤務になり、新たなイケメン御曹司の常盤のとの出会い。アイドル的な存在を作り、でもその実辛口だったり、優しさを垣間見せたり… 白熊さんとの恋話には発展しないながら続きをまた書こうとしている感じで終わる。
着物業界のカルテル話が、実際の大手、着物のWの裏話しなのでは?と思ってしまう。勘繰り…
呉服業界の価格設定は問屋をいくつも経てなんぼ、という事実。これからも着物が廃れず栄えて欲しいものの、飛ばしたい地方問屋の厳しさも実感。
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シリーズ2作め、やっと読めた。
本局から九州へ異動になった主人公ががんばるお話。
環境が変わるのはめんどくさいけれど長い目で見たら大事な事なんだろうな。そして仕事に行き詰まったとき、思いを共有出来る同僚がいるのはいいなあ。胸が熱くなった。
常盤さんみたいな恐ろしい同僚がいない職場でよかった。