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2022年2月に始まったウクライナ戦争で、燃料費や物価が高騰し、食品も例外なく値上げが続き、国民を苦しめている。にも関わらず、政府は防衛費(軍事費)予算を増額し、敵基地攻撃能力を高めるなど安保3文書を閣議決定するなど、専守防衛をかなぐり捨てて,貧国強兵に驀進(ばくしん)している。本書の著者は、国防安全保障より日本国内の食料・農業を守ることこそが防衛の要であり、それこそ安全保障と説諭する。世界と比較して日本の農業の実態と食の実態を多面的に検証し、批判的意見にも適切に反証する。食糧危機が起きたとき「オスプレイやF35戦闘機で餓えはしのげません」と喝破(かっぱ)する。政府の食糧危機対策も運動場やゴルフ場にサツマイモを植えて、餓えをしのぐ提案がされているが、まるでアジア・太平洋戦争時の対策であり、日本の食料危機への警鐘をならす作品として、多くの人に読んでもらいたい。
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結論、日本の食料安全保障はゼロに等しく、
アメリカとの力関係のせいであろうか、上流からの改善・改革はほとんど期待できそうにないことが見えて絶望に近い感情を抱いた。
中国やロシアの行動から、目に見える彼らの欠点が日夜報道される関係で、肌感覚として世間の反中国・反ロシアの機運が強いように感じる一方、
アメリカに対する危機感やネガティブ感情は比較的弱いように感じる。
中立的な位置に自分を置く考え方をもっと広げていくべきだろう。
日米の力関係、そしてアメリカが敵または完全に見放されたようなケースにおける中国との力関係を念頭に入れると、
食・健康から見た日本の独立を強行的に、政府レベルで動くことはできない。
アメリカを敵に回して後ろ盾を失えば中国に飲み込まれるであろうし、
敗戦国であり、経済や食といった多くの面で首根っこを掴まれている現状、表立って反米的な動きをすることはできない。
それはそれで自殺行為に等しい。
さらに、『そのとき、日本は何人養える? 食料安全保障から考える社会のしくみ』における著者、篠原信氏の主張の通り、
食料増産や農林水産魚への補助金は必要だとしても、
日本産業を俯瞰してみて国内の社会経済を後回しにもできないのは現実としてある。
そのため、ボトムアップ的に、国民全体が食と健康と環境や産業の持続可能性を基本的な概念として保持することこそが現状打開のための突破口となる。
現実問題として、賃金が上がらず、手元に生活インフラとしての「日々の食」に充てるお金が足りないため、
背に腹は代えられないとして、輸入品の安価で危険な食材を選ばざるを得ない。
となれば、我々ができることは何だろうか。
観点としては、
・生産者と直接的につながることによって中抜きを減らし、可能な限り安価に安全な食を得る環境づくり
・農林水産業軽視の政治家を選ばない
・食の安全性や農林水産の生産業者の現状を正しく知る
・効率や値段や見た目を重視する姿勢を見直し、健康、持続可能性、倫理的な調達をベースとして備える教育
が重要だろう。
長くなるため全文はnoteにて。
https://note.com/ronnio/n/n15aa06b615f3
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この手の本は、鵜呑みに信じないようにしているが、問題意識として頭に残る本。食のこと、普段からもっと気にしていこうと思う。
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日本政府はこの国の食料安保を全く軽視しており、お先真っ暗という本。
食料自給率は先進国中最低。それでもカロリーベースでは35%ある。しかしカロリーベースの自給率など意味がない。食料安保で重要なのは生産資材。人手、肥料、種、雛。日本の野菜自給率は80%だが、その種の9割は輸入。種を入れると自給率は8%しかない。米国は農業を世界(支配)戦略上極めて重要と考えている(食料は武器より安い武力)。穀物三品目だけで一兆円の補助金。自国の産品を安く売ることで、日本の小麦大豆をはじめ、他国の穀物生産を潰してきた。米国の穀物メジャー・バイオメジャーの力は強大。バイオメジャーは世界種子市場の7割弱、農薬市場の8割を4社で独占している。アメリカは日本の全農の株式会社化を画策(日本政府に要望か。日本の政治家や霞が関の行政官は米国の意向に逆らわない)。全農が株式会社化されればいつでも穀物メジャーが買収できる。実際同様のことがオーストラリアで行われた。買収した会社は将来的に中国に売却することもできる。
農水省は日本の農業を守るため頑張っていた(過去形)。TPPにも猛反対しており、TPPでは将来的に自給率が13%まで低下し農業被害は4兆円と試算した。しかし第二次安倍政権で省庁の局長以上の人事権を官房長官が握った(当時一部野党は強く反対したが、世論は何の興味も示さなかった)ことで、人事権を盾に試算を修正させた。結局農業被害は4兆円から1,620億円に変更された。その他実に巧妙な法改正で遺伝子組み替え作物使用食品を日本に入りやすくする(従来意図せざる遺伝子組み換え原料の混入が5%以下なら”遺伝子組み替えでない”と表記できたが、2023年から全くの不検出でないと表記できなくなった。一見良いことと思われるが、これによりほぼ全ての食品で”遺伝子組み換えでない”とは記載出来なくなってしまった)など、自民党政権はこの国を米国へ切り売りを進めているとしか思えない。
世界の食料を支配していれば、いざというときにはアメリカの意のままに出来る。こうしたアメリカだけが利益を得られる仕組みを国家戦略として構築している。そしてこれが近い将来世界食料危機をもたらすと著者は警告している。
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この本のおかげで、最近巷で騒がしい食料危機について、自分の中で答えでた。
お陰様です。
人それぞれの意見があるでしょうから、
私は、防災備蓄に留め、食料危機は諦める。
という結論に辿り着きました。
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「世界で最初に飢えるのは日本 」というタイトルは正しくはないと思いますが、まぁ出版社が付けたのでしょう。
但し、内容は大いに納得できるものでした。うっすらと感じている私たちの国の食糧自給率の危うさが見事に分析されてました。しかし、これ程真摯に研究され熱く提言されても、肝心の政策決定に携わる人達に伝わる事はないのと、多くの国民が関心すら持たず考えようともしないのが、現在の我が国の現実でしょう。
諦めと空しさに立ち尽くすだけです。
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日本の食料自給率の低さと輸入依存かつ、輸入食料への安全性の確保ができていないことを説明している。
これまでずっと日本は保護をされてこなかった。
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日本の食が海外との政治的な制約で、どんどん不利になっていることは理解できた。
ただこの本での解決策は、日本の政治に委ねるだけで不満記載が多く、個人ですべきことの記載が少なかったのは残念。
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面白かった。
タイトル付けが上手いね。気になって手に取ってしまう。
日本の食料自給率が低いというのは、もはや周知の事実だと思う。
しかも、本書によれば、その自給率はカロリーベースではない。生きるのに必要な食料は、本当はもっと足りない。
さらに、その算出でさえ、楽観的な見方を含むらしい。
食料といえば、穀物や食肉などを思い浮かべるけれど、必要なのはそれらだけではない。植物を育てるにはカリウムが必要。そのカリウムに関しては、日本はほぼ全てを輸入に頼っている。というのは知らなかった。
よく言われるのは、日本の農業政策は過保護だということ。農業が過剰に守られている、という意味。そして海外の農業は自由放任というイメージがある。
しかし現実は真逆。
海外はしっかりと農政をしている。自国の農業を守るため、助成金や貿易交渉をしっかりやる。
そして日本はと言えば、放任。というか放置。という現実があるらしい。
諸悪の根源は、財務省。というより、省庁間のバランスかな。
昔は農林水産省がもっと発言力を持っていた。
それが、安倍政権の頃から壊れていった。安倍政権が人事権を行使して、省庁間のバランスが壊れてしまった。これはとても有名な話。だけど、農政にまで影響していたとは…。
さらに日米の農産品の貿易について。日本は過剰生産を引き受ける立場にある。官僚の間では、自国の農業の方を大切にしよう、と言える雰囲気ですらないらしい。
問題は根深い。
さらに、我々一般市民の意識の問題もある。
台湾で食肉に関するデモが起こっていた、なんて知らなかった。
輸入品の安全性を気にする日本人って本当に少ないよね。けれど、人間に悪影響を及ぼすホルモンは確実に使われている。そんな食品を日本は受け入れまくっている。とてもショッキングな事実。
最後に食料自給率の向上に関して。
金額ベースの目標は誤ることがある。金額ベースならば、高価なフルーツを量産すればいい。けれど、それだけでは生きて行くことはできない。カロリーベースでの目標値が重要。というのは学びがった。
面白かった。大変勉強になる一冊。
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新しい技術ではなく、今の良い技術をどう普及させるか
市場競争でやった方が良いこと
防衛として守るもの
防衛という言い方がちょっと仰々しいかもだけど、ベースを守る、そのベースって何!?というのはちゃんと問いたいですね
守るものを競争原理で守ると有事の際も合理的に排除される。協力原理で推進するものもちゃんと作るのが次の社会に必要だと思わせてくれました。
コモンズ
ベースの上の自由競争
守るのば誰だ!?
生産者と消費者は共同体
ここをごちゃ混ぜにしたいな
消費をクリエイティブに!
政府に声をあげるのは、個人的にもちょっとハードルあるなと思う。日本人だからかも
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題名は刺激的であり農政の専門家なので少し偏った考えもあったが、概ね納得した。
中国に敵対するアメリカに盲従して防衛費を簡単にGNP比1%から2%に上げて対中国の最前線に立とうとしているが、確かに食料安全保障は全く考えられていない。
国力が下がって食料の買い負ける事が多くなっていると聞く。食料自給率が低く買い負けが続くとどうなるんだろう。
早めに手を打たないとアジアの下位国になるのが目に見えている。
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とりあえず、私はこの手の話に共感するタイプの人間だなということがわかった。
理由を言語化するとこまではいってない。
途中ひろゆきの意見へ物申すところがある。
ひろゆきの意図が本書だとよくわからなかったので、調べて自分なりにまとめてみる。
ひろゆきの意見
カロリーベースの食料自給率をあげたとて、そもそものエネルギー自給率が低いのだから、有事の際に燃料が止められてしまってはトラクターを動かす燃料も作れたとして配送する燃料もなく、結局食料は作れない&配れないでしょ
それなら、生産額ベースの自給率を見てみると、欧米各国と同じくらいのだし、今のままでいい。安く作れるものだけ国内でつくり、国内で作ると高くつくものは輸入すれば良い。
なんとなくひろゆきの言いたいことが分かる気がする。
だけども、実際に食料がなくなったらまじで飢えるというのは事実ぽい
そんな有事になったら、燃料がなくてもどうやってでも食料を作るだろうし、這ってでも生産地に行く気がするので、少なくとも、種や肥料やヒナが入ってこなくてもなんとかして食料が作れる状態にはしておいた方がいいのでは?と思う。
そして有事が起こる確率も気になるところではある。確率はめっちゃ低いけど、起きたらマジでやばいことだけど、この話は保険みたいに責任移転できないから、その場合は政府の仕事なのか?それが=食料安全保障ってことなのかなー?って理解した。
あとあと、この本読んでて思ったのはこないだ読んだ「食べものから学ぶ世界史」で知ったフードレジームがめっちゃ出てくる!本気でアメリカって自国ファーストなんだなぁと。著者は「私」とか「自由主義」と表現してるもの。まさにそうだよな、アメリカ人って公の意識があるんだかないんだか本当に謎。ダブルスタンダードってよく聞くけどそういうことなのかなぁ。
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今後「食糧危機」は「人災」で起こることは間違いない、また日本の総合的な穀物自給率10%未満は餓死を招くことも間違いないだろう。特に日本政府の米国穀物の規制緩和要求から禁止薬物・禁止成長剤混入物でも優先輸入させており、日本の自給率を更に低め農業を壊滅状態にさせている。現実、他国で輸入禁止の発がん物質が混入米国穀物(牛肉・豚肉・鶏卵・小麦・大豆・ポテト・レモン等)に対して産業省、財務省は目を瞑り、国民の健康を無視し始めた。例として発がん物質である禁止薬物・成長剤・除草剤は「ラクトパミン」「エストロゲン」「グリホサート」などであり米国産日本向けの肉類、穀物類、肥料に含まれている。(米国産国内向けと日本向け発がん物質等危険薬物濃度比では日本向けは米国内向けの6倍から150倍の濃度にも達している)まさにあらゆる面での米国頼りに政治家の「今だけ、金だけ、自分だけ」主義が横行しているのが恐ろしい。はっきり言って米国穀物メジャー企業に対して、危険、禁止薬物使用の即時輸入停止と輸入基準の健康安全品質管理見直しが最も重要だ。出来ない場合、今後日本は発がん物質等で患者が増え、それこそ米国の医薬に完全に頼る形になる。
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今世紀に入った頃から、日本って兵糧攻めされたら一発で滅ぶよなとなんとなく思っていました。ロシアのウクライナ侵攻で、食糧を輸入に頼っているとまずいというのが顕在化しましたが、そうした、自給自足してないといかにやばいかというのを、データに基づいて検証した、素晴らしい本だと思いました。(しかも土や土地にまで言及あり)
自分はデスクワークをする貧乏な未婚中年男性ですが、体力があれば農業やりたかったです・・・。
そもそも、あの、戦時中に、都会の人が食糧がなくて、衣類と交換してもらいに田舎の農家に行くも相手にされない、という話がありますが、まさにそんなことになるんじゃないかと。最終的に命をつなぐのは食べるものに他なりません。本当に何もなくなったら、いちばん権力があるのは食糧生産者ですし、それは人として生きる以上、文句なくそれでいいんじゃないかと思います。
昨今のフードロスなどもなんなんだろうと思います。ここ10年ぐらい農家さんや漁師さんも、高級品を作って海外に輸出することで稼いでいた方も多いようで、それ自体は悪いことではありませんが、ここへ来ての輸出が滞って助けてくれというのも何か変な感じ。たしかに、購買力がなくなってしまった日本国内という経済問題は解決されるべきものですが、こういうときに庶民がそっぽを向いてしまうというのは、庶民に「何をいまさら」と呆れられていることのあらわれな気がします。やっぱり、そこは今は儲からなくても、安くして庶民へ回したほうが、世のため人のためになるような気が・・・。
庶民のために食糧を地道に作る農家さんや漁師さんが、いちばん儲かる世の中になって欲しいと、常々思います。
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輸入に依存せず国内資源で安心な食料供給ができる循環型農業についていろいろ書かれていた。
国内で調達できるのに安価だからという理由で輸入に頼っている品目もある日本農業
グリホサートについては初めて知ることがあった
今だけ、カネだけ、自分だけの目先の自己利益を追求すると本当に食料危機が訪れる
将来を見据えた長期スパンでしっかり考えないといけないと思った