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例えばぬいぐるみ。猫もいれば馬もいる。愛し合う者たちのそばに寄り添う彼らの話。
もう嫌というような目に遭っても、人や人生は、とことん付き合ってみるまでわからないもの。
そんな目の滲むような希望を、ほの明るく書いてくれた。
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寓話=教訓的な内容を、他の事物、主として動物にかこつけて表わした、たとえ話。
人と人ではないものの交情の短編6話。
犬やら猫やらだと可愛く読めるが、進むに連れ少し怖くなってくる。だが、さすが村山由佳氏、心温まる話で、リラックスした時間が過ごせた。チャレンジングな切り口だと思うし、それをしっかり書き上げる力を感じる。
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男女間の恋愛話にあまり心惹かれなくなっていたのだけど、ここにある様々な愛の話がじんわりと温かく、新しい世界を知った。「グレイ・レディ」が好き。
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短編集はそこまで好みでは無いが、まあまあおもしろかった。言葉を喋る人間と言葉を喋らざる何者かの間に生まれる愛の話の短編集。
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読書備忘録822号。
★★★★。
去年1月の村山作品。
村山さん、同い年だからなんとなく親近感を感じるんですよね。笑
あとがきに書かれていましたが、幼い頃から<人>と<人ならざる者>の交情の物語に強く惹かれていたそうです。
村山さんの育った環境なんて知る由もありませんが、動物、人形、モノとの触れ合いに慰めを見出していたとのこと。
この短編集の多くもそんな感じです。笑
作家になって30年。原点回帰という以上に<自分ならざる者>に生まれ直すための新たな出発点になる作品とのことですので、次作が楽しみです!
「晴れた空の下」
若年性認知症になった女性が、お医者様???に昔話を聞いてもらっている。
「ねえ、先生。エルの話を聞いて。」それは小さい頃父親が海外出張で買ってきてくれたぬいぐるみ。カエルのエル。彼女とエルの交情と、最愛の夫との消えゆく記憶の物語。
「同じ夢」
ミュージシャンの男と付き合っている女。
バンドメンバーがオーバードーズで死んだ。彼が飼っていた犬のジョンを引き取った男。
女は男の部屋で「美女と野獣」を観ている。
最終的にジョンは女に引き取られる。「ねえ、同じ夢を見ようね。絶対に王子様なんかにならないでね・・・」
オス犬と女性の交情。
「世界を取り戻す」
母であり妻である女性。そして、女性誌の副編集長でもある。受験を控える息子の悩み。何にでも文句を言う反抗期の娘。夫との距離。疲れた・・・。
動物病院の取材。飼い主に捨てられた、いつ死んでもおかしくない老猫と出会い、引き取る。昔飼っていた猫と被る・・・。
わずか1週間の猫との交情。そして彼女はスッキリクッキリした世界を取り戻す!
「グレイ・レディ」
アメリカ東海岸の小さな島ナンタケット。頻繁に霧に包まれることからグレイ・レディと呼ばれている。そこで作られる手編みのバスケットはナンタケット・バスケットと呼ばれる。バスケットが主人公。笑
巡り巡って出会った、日本のインテリアショップオーナーの女性とバスケットの交情。
「乗る女」
幼い頃母を失ったさとみ。母亡き後、父から束縛された。束縛から逃げるために北海道に。そこで馬に出会った。乗馬中の事故で大けがをして北海道を離れた。
自分の娘も自立し、数十年ぶりに再び北海道へ。最愛の馬との交情の為に。
「訪れ」
自分史なるものの代筆を営む高野麻里。
高齢男性、光石禄郎の自分史作成を依頼される。
太平洋戦争終戦からのシベリア抑留。労働の最中に負った怪我で診療所に。
そこで出会った看護師のマリア。1度だけの激しい情事。
時々マリアとの情事の夢を見る。夢から覚めるとマリアが夢で噛みついた部位に聖痕が浮かぶんだ、と。
自分史は満足のいくものに仕上がり、禄郎は旅立った。棺に入った禄郎の手には交情の跡が。
まあ、マジョリティの自分からすると、若干危ない世界ですけどね。
寓話なのでファンタジーです。楽しめました!