紙の本
「中国」と言う物語を創り出した中国人
2023/06/16 19:04
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は「invention of Chinaだから「中国という「発明」」とか「創出」と訳した方が良いだろうが、中国と言う国家、民族、中国語、中国領土、歴史とかは全てこの100年余の間に中国人の作り出した「物語」であることが詳細に亘り明らかにされている。典拠は欧米の文書、欧米人談話等による処が多く、日本語の類書に慣れた我々には新鮮な視点がある(無論日本人研究者の業績も多く紹介されてる)。日本の訳語から転用した近代概念の多いこと、西沙諸島の島名は英仏の海図をそのまま中国語に訳したので変な地名が多い事など、要は中国の近代は殆どが欧米、日本の学問的成果を借用しており、中国5千年の歴史などは現代中国に直結していない虚構、つまり「捏造」だとされている。とは言え全てを机上の書物の組合せで何とか辻褄を合わせる中国人の頭のよさには感心する。延々と続いてきた「文飾の文化」がこの国の本質なのだ。それは西洋科学の明晰、衡平な理性ではなく、要は感情に基づく理屈付けなのだ。
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「中国」
チャイナ 19世紀後半から 欧米で使われる
中国=文化を持つ場所 自国の名前ではない 統治する王朝名を自国名としていた
キャセイ=内陸アジアの契丹に由来
「主権」
国際法としての国家=領土と主権 →1912年 中華民国=初めての国名 孫文
フランスのスペイン侵略1808年 アメリカ大陸の植民地独立 ペソ銀貨価値低下
中国 清 銀塊価格上昇 デフレ 輸入困難 食糧難 私貿易商人 アヘン戦争
中国古来の主権=支配者の権力 朝貢国と天下万国=中国 衰退へ
現代中国 人類運命共同体 一国の天下=他国干渉と国際的なルールはすべて排除
華僑 海外に中国人を祖先に持つ華僑6000万人
「漢民族」
清史編纂委員会
民族=国民 1901年に造語した中国語 白色人種と戦うための黄色人種の統一
政治改革のための歴史編ざん:中国=5000年続く漢族とそれに同化した諸民族
「中国史」
中華民族=中華民国 1911年 孫文
異なる民族の融合 五族共和(満州、漢、モンゴル、ウイグル、チベット)
「中国語」
広州と香港のテレビ、教育 広東語を普通話へ
長江デルタの住民は東南アジアから来た
「官話」(マンダリン) 漢族の官僚の話し言葉
「文」読み書きの言語 地域の発音で読める
清=満州語 辛亥革命で消滅し「官話」が「国話」に
「言文合一」 話し言葉と文字の一致 人口の半分の北京の話し言葉を採用
「領土」 リントゥ
teritoryの訳の日本語を借用 中華民国創立時の国境は曖昧
国恥地図 清朝が失った領土(疆域ジィァンユー=王国の境界)
蒋介石 台湾と朝鮮は緩衝国家 1945年 台湾「光復」へ
モンゴルが独立、チベット強制、ロシア、インド、ベトナムとの国境は近年に決定
「領海」
九段線 パスポートや国内の地図に明示義務
1906年のイギリスの「シナ海水路誌」からの誤訳で海中の岩礁も島とした
南沙諸島、西沙諸島 どの国も領有権を主張する根拠がない
「中国夢」
西洋発の帝国主義の遺産 「主権」「領土」 歴史神話の創造
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そもそも中国4000年とか、黄河文明とか、自信無くしてたシナ人に、日本人が慰めて言ってあげたんじゃなかったっけ。
中華思想圏のトップでぬくぬくとしていたら、西洋国際秩序を突き付けられた。
やばい、死ぬ、まずい。
西洋の思想を取り入れながら、やったのは、伝統の「捏造」。
何より「正統性」が大事で、結果のために過程を作り続けてきた、そう言う意味ではまさに正当のシナ文化の継承「王朝」なのだろうな。
自信を取り戻すのも結構だが、歴史も、民族も、言語も、領土も、領海も、全部捏造しないと「国」が成り立たないのであれば、素直に分割すればいいようなもんだが、それが出来ない。
なぜなら、恐らく「国境」が「中華文明」の境界だから。
こんな「文明」が力を持って、「国境」を越えたら待ってるのは、世界中華文明化なんだろう。
西洋文明が正義ではないし、文明に優劣はないのも事実なのだが、みんな仲良くしようよ、でも俺が一番、俺の言うことが正義、と言うのは迷惑だよな。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12815945905.html
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時間がなくて少し読んだだけで図書館に返却してしまったけど、おもしろかった。そもそもの中華思想というか、皇帝は代々自分のところが天下万国の中心だと思い込んでいてそれ以外のところはすべて臣下だと思っていたらしい。なので各国が平等に主権を持っているなどという考え方は到底理解できなかった。朝貢の儀式が重要なので、外国人はそれさえやって臣下のふりをすれば、たくさんお土産をもらって儲かったとのこと。そのうち外国がやってきたことや日本の急速な近代化を見たりした人が象徴的な儀式でなくバックに軍事力がなければやられてしまうことに気づいて奏上するも、これまで儒教の勉強しかしてない役人たちはいつまでもあきれるほどに周囲の状況、つまりは国際法にうとかったらしい。そうこうしているうちに日清戦争には負けるし、他の外国との外交交渉でも妥協を余儀なくされ、大清国は消滅してしまった。
周金平はこの天下万国の中心という考え方をしているようで、主権という言葉をゆがめていると書いてあった気がする。