紙の本
冬にそむく
2023/07/13 23:55
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アフターコロナの世に贈る
“冬”に覆われた世に生きる
若い男女の物語。
丁寧に綴られる
ボーイミーツガール。
希望と絶望。
絶望と希望。
紙の本
ねっとりしっとり
2023/05/03 10:50
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は一応ラノベ作家のカテゴリーに分類されるらしいが、通常のラノベのように騒がしい気楽なギャグの応酬という場面がまったくない。地球温暖化の真逆の寒冷化に襲われた世界の学園ラブストーリーを、ねっとりしっとりとした情景描写で気長に描き出している。個別の文章はとても味わい深いが、ストーリー展開に起伏感が乏しい。
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どんなに厳しい世界でも、人は根強く生きてゆく。
ずっと冬が終わらない異常気象の下で生活を営む、高校生の幸久と美波の日常を描いた作品。
買い物デートなどの高校生らしい日常を過ごしながらも一歩ずつ進む2人。展開に起伏は感じられないが、暖かさが感じられる良き話でした。
幸久と美波の家庭環境の違いと、違いに伴い訪れる、終わらない冬の強い影響。迷いながらも覚悟を決め、大きな壁を乗り越えてゆく様子はいかにもな高校生らしさがあり、非常に良かったです。
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タイトルと表紙カバーに描かれた女の子に惹かれて読んでみた。
夏でも気温が上がらず、9月に雪が降り始める。そして、大雪。この「冬」が、いつ終わるかは誰にもわからない。これまでとは違う「冬」が訪れたことにより、人々の生活に様々な影響が出始める。なぜ「冬」が続くのかは、作中では明らかにされていない。新型コロナウイルスのパンデミック下での状況にも似た描写も出てくる。
終わらない「冬」のなか、神奈川に住む高校生の幸久と美波はデートを重ねていく。。「冬」にそむく、あるいは抗うのは、二人の「雪かき」。そして青春の謳歌か。そう「春」という字が入っている。
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ライトノベルというよりはライト文芸です。
舞台は冬が一年中続き、四季が一切無くなってしまった世界。
神奈川県出海町で過ごす幸久と、同じく出海町の別荘で一人住んでいる美波の甘く切ない恋のお話です。
高校3年生であれば誰もが悩むであろう進路の問題、思春期特有の葛藤などが描かれています。
自分もこの頃は色々と悩んだなぁと、小説を読んで懐かしく感じました。
終わらない「冬」の描写を繊細に描いており、冬のあの綺麗だけどなんだか寂しくなるような光景を感じながら本を読み進めることができました。
おそらくコロナ禍に巻き込まれてしまった高校生達がモチーフなのだと感じました。
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異常気象の中とはいえ、そこまでドラマティックなことは起こらず、どちらかといえば淡々とした恋物語が綴られています。
ガガガ文庫というラノベレーベルから出ていますが、これはもはや文学といえそうです。
ですから、「先生とそのお布団」と同じように、ラノベとしては売れないだろうと思います。
ただ、淡々としていながらもページをめくらせる力はあり、作者の力量を感じます。
この設定ですと、小松左京さん辺りが書くとまた全く別の話になるのでしょうが、思い出したのは小松さんの「日本沈没」の中で、ある家庭の奥さんが結婚指輪(あるいは婚約指輪だったか)と引換えにちょっとした食料を入手し、夫と言い合いになるエピソード。
これを何十年経っても覚えている私も、もしかすると、異常事態の中で統治機構がどうなる、みたいな話よりも、市井の人々がどんなふうに生きていくのか、という方に興味のあるタイプなのかもしれません。