紙の本
遺伝か教育か、どちらかという議論は無駄だろう
2023/10/31 19:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雑多な本読み - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、「能力はどのように遺伝するのか」を出された方のものである。そこでも、世の中の「遺伝か環境か」という一刀両断的で上滑りな議論に対し、より冷静な認識を求めて、行動遺伝学という分野からの視点を提示してくれている。かつての優生学で(今も亡霊のごとく存在するが)、優れた遺伝的素質を残して劣等な遺伝子の持ち主を断種したり、殺害したりした歴史が厳然と存在しているから、その隣り合わせの分野であるからこそ、行動遺伝学は重要と説く。遺伝は決定論的、宿命論的にとらえられるが、決してそうでないと展開されると紹介した。基本は同じであるが、教育と対比したところに面白さがある。子育てに対する見方が変わるだろうか。目次を見ると、
はじめに
第1章 遺伝は遺伝せずー基本はメンデルにあり
第2章 あらゆる能力は遺伝的である
第3章 親にできることは何かー家庭環境の効き方
第4章 教育環境を選ぶー学校の内と外
第5章 「自由な社会」は本当に自由か?
第6章 そもそも、子どもにとって親とは?
おわりに
参考文献について となっている。
以上のように展開される。まず、子育てマニュアルではないと位置付け、各人の行動に及ぼす遺伝の影響を明らかにするもので、本書はヒトの行動(特に知能や学力、パーソナリティ、精神病理、反社会性等の人間の社会生活に大きくかかわる心のあらわれとしての行動)の個人差に、遺伝がどのようにかかわっているかを科学的な方法で解き明かそうとするものという。こうした行動が遺伝の影響を受けているが、遺伝によって決まっているわけでない。遺伝による能力を引き出せるのは教育ともいう。それも、一律ではない。子育て環境に、子どもがどう反応するかは、その子どもの遺伝子のなせる業という。遺伝で決まっているからあきらめるというものでない。その人の遺伝子にぴったりあう環境や教育を用意されることは無理だろう。人それぞれに合った環境や教育を模索するしかないだろう。個性に合った教育と言っても、すべての子どもに用意できるとも思えないが、努力は欠かせないことを教えてくれる。一読してほしい本である。
紙の本
タイトル負けしているというか・・・
2024/03/24 05:24
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投稿者:けんけん - この投稿者のレビュー一覧を見る
研究の最先端なんてそんな物というのが分かる一冊。
何かの答えを知りたくて読む本ではないです。これまでの研究の蓄積(こんな地道に積み重ねていくのかと言うこと)を面白がれる人にはお勧めです。
個人的には、自由であればあるほど遺伝による個人差が出てくるというのが印象的だった。
電子書籍
遺伝の強さと教育の価値
2024/01/14 10:16
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投稿者:よだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人を作り出すときには、いくつもの遺伝子の組み合わせがあって、二卵性双生児は全く似ていないこともあるというのがまず驚きだった。
性格の特性ごとに、グラフで相関度合いを示しているのも興味深い。
著者の研究と考察に触れ、遺伝のつよさと教育の可能性、これからの世の中について想いを馳せることがてきる良い本だった。
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タイトルに対する答えは、「勝てる人もいるし勝てない人もいる」しかない。興味があるのは、どの程度影響する可能性があるかということ。その知見を知るために読みたい
#教育は遺伝に勝てるか?
#安藤寿康
23/7/13出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3XQWavD
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遺伝についての考え方が科学的な根拠とともに解説されている。
教育は遺伝の発現をいい方向に促すために必要だという考えはしっくりきた。
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遺伝も教育も不可分なものでどちらも大事といった論旨で理解しているけどなんか違う気がする。
全て遺伝子のせいにはできないし、全て教育のせいにはできない。
でも明らかに僕たちはそれぞれの持つ遺伝子に行動を左右されている。
これは僕のためのメモだが、教育よりも認知に関心があるかもしれない。
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遺伝=親から受け継ぐもの、ではなく持って生まれたもの。
「遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育だ」
「教育なしに遺伝は姿をあらわさない」
教育が遺伝的素質に文化的環境を与えてくれるからこそ、遺伝が表現される場が作り上げられる
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環境に左右されるほど遺伝の影響は弱くない。
だけれども遺伝で全てが決まるほど世の中は単純じゃない。
白と黒の間にある多彩な色の交互作用があることを忘れてはいけない。
視野が広がる一冊。
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タイトルに惹かれ購入。
中高で学習したメンデルの法則についてはじめに述べられており、遺伝と環境が成長に与える部分について分かりやすく読み進めることができた。
やはり、遺伝の影響は環境よりも大きい。圧倒的である。また、何がどのように遺伝するかは完全にランダムであり予測できないが、環境と遺伝の影響率について、以下のような事項が数字で示してある。
身長…遺伝80-90% 環境10-20%
知能(児童期)…遺伝41% 環境33%非環26%
知能(青年期)…遺伝55%環境18%非環24%
知能(成人期)…遺伝66%環境16%非環18%
成績…遺伝(小)25-55%→(中)14-40%
*理数系の科目の方が遺伝率は低い。
パーソナリティ…遺伝35-50%環境0%非環50-65%
*精神疾患・発達障害も環境0%
遺伝子の組み合わせは無限にあり、それゆえに一人ひとりの個性が生まれる。中には珍しい遺伝子の組み合わせにより、いわゆる「どちらの親にも似ていない子ども」も生まれ得る。
子育てする身として、諦念を持った上で子どもに関わるのが大切だと気づいた。楽観的に。
遺伝とは直接的には関係ないかもしれないが、この本を読んで、自分の心に突き刺さったのは「そもそも個性的であること、何らかの才能を発揮すること、志をもって人生を貫くことをよかれと考えること自体が、一時の流行にすぎません。」という一文。自分は改めて出来もしないのに完璧を求めるエセ完璧主義者だと気付かされた。
先日読んだ思考の整理学と通ずる部分がある。
肩肘張らず生きていきたい。前向きに。
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さまざまな事例を交えながら、「子育ては遺伝or環境」論争に、一定の答えを得られた。私自身教員の端くれとして、また親として、子どもたちへの働きかけに限界があるのではないかと考えていたので、ある程度すっきりした気分ではある。難しい内容が非常に平易で書かれているので、ストレスなく読み終えることができた。
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主に双子を対象に遺伝の傾向+環境の影響を調査した結果が語られます。
中学生くらいだと遺伝&環境の学力に与える影響が結構大きくて震えました。親ガチャ!
でも遺伝も環境も絶対じゃないので子を育てるのに解はなし。遺伝かーと気楽に考えつつ、一人一人の子に対して試行錯誤していくのは変わりないですね。
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「教育は遺伝に勝てるか?」
親や家庭の環境が関わるとされている学力、知能、非行、飲酒喫煙などの例外を除き、多くの側面で共有環境の影響はほとんどないのが事実である。その効果量は数%だけで圧倒的に遺伝や非共有環境の影響が大きい。
しかしその数%でも自分が見える世界に少なからず変化を与える。親として、他者として、関わりを持つとき変化を与える可能性があるのであれば、少しでも良い影響を与えられる素敵な人でいたいと思った。
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一卵性双生児と二卵性双生児を比較して、遺伝の影響の度合いを測る、という手法が面白かった。
印象に残ったこと
・タイトルに対する結論「教育なしに遺伝は姿をあらわさない」(あとがきより)
・まっとうな養育環境であれば、子どものパーソナリティには大した違いはない。→気楽に子育てしよう、てことか
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遺伝は教育よりもはるかに大きな影響を与える、さはなさは、遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育でもある。一卵性双生児の比較研究から、遺伝、共有経験、非共有経験の寄与度を測定しているところが説得力ある
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興味深い内容だった。自分が今まで「遺伝」について感じていた「薄々気が付いていたこと」や「モヤモヤしていたこと」を、丁寧に言葉やデータで説明してくれていた。