紙の本
書物という発明を通して見る世界史
2024/01/02 21:21
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Takeshita - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは良書だ。内容はかなり学術的だがヨーロッパで100万部売れたと言う。人類は紙(パピルス)を発明してから軽量で多くの情報量を盛り込める書物を作り出し、アレクサンドリアの壮大な図書館のように文化と歴史を延々記録し続けてきた。書物があつたからこそキリスト教も広がりローマ帝国も栄え、強制収容所の迫害にも人類は耐えてきた。書物も文学も真に優れたものだけが歴史に残る。文献学者でもある著者は古文書や語源に詳しく、ギリシャ、ローマ以来現代まで続く書物の歴史は時空を超えた大旅行の感さえある。教養ある名講義を聴くごとき洵に愉快な読書体験だった。
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書物の歴史のはじまりを綴った、壮大な一冊。
図書館の起源に想いを馳せ、書物の力の素晴らしさを改めて感じた。
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古代ギリシャやローマ帝国、歴史、映画、音楽、本…と博識だなあ、この人。そこに自身の体験や思いなども絡み合い、リアルで身近な文章になっていて、面白くなかろうはずがない。先日オンラインで試聴した、彼女と見田悠子、鴻巣友季子の3人のトークも意義深く面白かった。
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書物の歴史に焦点をしぼり、特にその最初期における口承、巻き物、パピルスといった”本の在り方”、および人々がどのように言葉を残し、出来事を記録し、物語を伝えたのかなど、その成り立ちと伝播の流れをじっくりと追いかけた本。ボルヘスが構想した「バベルの図書館」から話は始まり、人々が読書をする習慣をどのように、いつごろ身につけて行ったのか、あるいは図書館が大衆に与えた影響とその重要性。本にまつわる様々なトリビアを有名な文学作品や映画と絡めながら縦横無尽に解説しており、作者の博識さに圧倒されます。
想像することも、思考することも、人間が人間であるために残された最後の砦であり、進化の過程において知恵を伸ばしてきたのは、その「渇き」をうるおすためなのかもしれない。本とは、本屋とは、図書館とは、まさに知識の泉であり、どれだけ私たちの生活の土台を築き上げてきたのかこの本を読んでいるとしみじみ実感した気がします。
んが、そういう高尚なお題目は置いといて、全体的に冗長でもあります、この本。言いたいことはつまり、
「紙媒体の書物は長い年月に耐え、時代や場所を超えて波及する力を持つ。テクノロジーがいくら発達しようとも、ハサミや車輪なんかと同じように”これ以上発達しようがないほど完成されたもの"なのでその価値が減じることはない。同様の理由から、本屋や図書館もまた私たちの生活において必需品ともいえる価値を持ちつづけるだろう」ということ。
そしてこのことはすべて序文に書かれています。本書の大部分は作者の博学さを活かして書物の歴史と現代の文化をテクニカルに接続させ、エッセイ形式で語る、ということに費やされているわけですが、しかしその「エッセイ形式」というのが私にはどうも内容との喰い合わせが悪いように感じました。前後の文や章の流れが断続的であり、あっちこっちに話がとびつつ、冗長に語り続けるので、はっきり言って読んでて疲れます。500ページもかけて語るほど意味のある内容が書かれているようには思えなかったし、もっと読みやすくしてほしかったというのが本音。でも逆に、そういう「随筆」としての忌憚のない意見が良いと感じる方もいるはずだし、それこそが面白い部分なのかもなあ。もっときちんと読み込めば感じ方も変わるかも。ぶ厚い本なのでしばらく読む気しないけど。
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読み進めるのがもったいないくらい楽しい。読書の喜びを感じてしまう一冊。もう本は買わずに、図書館で済まそうと思っていても、こうした一冊は手元に置きたくなってしまう。