紙の本
さあ、あなたも今日から映画に夢中!
2023/12/29 07:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて洋画と呼ばれた外国映画を繁華街の大きな映画館で観たのは、
1970年4月公開の、バーバラ・ハーシー主演の「去年の夏」という映画だった。
それほど高い評価を受けていない青春映画だが、
この映画が自分にとっての映画への入り口となったことは間違いない。
15歳。高校に入学して間もない、春のことだ。
「世界の見え方が変わる100本」と副題のついたこの本のタイトルが
『14歳からの映画ガイド』で、
私もちょうどこの頃映画に魅了されていったことを思うと、
14歳や15歳という多感な時期だからこそ、映画から受ける影響は大きいのかもしれない。
この本ではさまざまな分野で活躍する25名の人たちが
「14歳に観てほしい映画」を紹介し、さらにプラス3本が載っている。
例えば、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは
1979年の「リトル・ロマンス」(ジョージ・ロイ・ヒル監督)を紹介し、
プラス3本として「マリアンの友だち」「シベールの日曜日」「罠にかかったパパとママ」が
一行書きのコメントとともに載っている。
紹介してくれる人は、作家の朝井リョウさんや桜庭一樹さん、
映画監督の岩井俊二さん西川美和さんや犬童一心さんなど
もしかした14歳の人たちにとっては知らない人も多いかもしれないが、
書かれた映画の紹介などを読んでこれはと感じた一本ぐらいは
実際に観てみることをオススメする。
もしかしたら、それがきっかけとなって映画にはまってしまうかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
本シリーズについては、著者と自分の趣味のベクトルによって、関心の程度が大きく分かれるのは織り込み済み。あと、推挙文の質のバラツキも仕方ないもの。にしても、まあ見事に王道は外されるものだな、と。独特のチョイスだし、とにかく順を追って観ていっても、きっと楽しくはあるのだろうけど…。そんな中、ひとまず気になったのは下記。
河童のクゥと夏休み
劇場版 ごん
投稿元:
レビューを見る
作家の朝井リョウさん、映画監督の岩井俊二さん、西川美和さん、深田晃司さん、犬童一心さん、スタジオジブリの鈴木敏夫さん、脚本家の大森美香さん、小林靖子さんなど、著名な方々が14歳に観てほしい映画を紹介している。映画が好きな大人も楽しめる本。観てみたくなる映画が増えて困ってしまう......。
心に残った言葉
・14歳の頃の自分に伝えたいのは、とりあえず自分でいろんなことが選択できるようになる時期までは生き延びてみては、ということ。(作家・朝井リョウさん)
・未来がどうなるかなんて、誰にもわからないし、そもそも決まっていない。それなら、「私の人生はきっとうまくいく」と思って生きたほうがいいと思いませんか?(作家・武田綾乃さん)
・10代の頃って「ダメ元」で過ごしていいと思います。なにしろ自分の得意なことも不得意なこともまだわからないわけだから、いろいろなことが上手くできなくて当然です。(精神科医・星野概念さん)
・結局、人生って二者択一になると良くないんです。「生きるか、死ぬか」になるとダメだから、とりあえず「死ぬ」という選択肢を最初から外し、「生きる」で生き方のパターンをその時々で変えて「うまくやる」っていうのが正解かなと思います。(漫画編集者・林士平さん)
・生涯かけても出逢いきれないほどの感情に寄り添った映画が世界中に点在していて、フィクションの主人公がボロボロの今日の私を抱き締めにきてくれる。
・放課後も週末も友達と会わなくても心が満たされているのは、映画の中には無数の親友がいることを知っているから。(デザイナー・東佳苗さん)
・映画を観た感想は千差万別。感動する人もいればそうじゃない人もいる。だけど、名作と呼ばれる映画は、観ておくことで必ず将来なんらかの土台になる。たくさん一流のものに触れて、たくさん感動してください。(声優・小山力也さん)
・映画の良さはストーリーだ。画面の美しさだし、感動的なセリフだ。だが何よりも心を動かすのは素晴らしい音楽だ。(字幕翻訳家・菊地浩司さん)
・映画の中で、「無意味な人生なんかどこにもないんやなぁ」という台詞がある。主人公の友人が何気なく言うひと言だ。私はこのひと言こそが、この映画の真髄だと思った。世の中には色々な人がいる。円満な家庭もあれば壮絶な家庭もあるし、真面目な人もいればだらしない人もいる。どんなにしょうもないと思えたって、そのひとつひとつが特別で、意味のあるものなのだ。(文筆家・映像作家・俳優 小川紗良さん)
・わずか30分のうち半分以上、僕は涙が止まらなかった。わかっているはずの結末に、僕は声を震わせて泣いた。周囲の人たちに勧めてみたが、今のところ泣かずに最後まで見終えた大人に出会っていない。(映画監督・岩井俊二さん)
・「(伝説を)真実にするのは君らだ。普通の人が起こす奇跡は伝説となる。必要なのは、勇気と想像力だ」
・そう、こんなふうに言葉に満ちているのが本作の最大の魅力。(スタジオジブリ代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫さん)
投稿元:
レビューを見る
朝井リョウの映画紹介から始まり、しかもそれが「PK」だったので、読んでみた。
映画も趣味の一つだが、やはり奥が深くて、掘り出し物が次々と出てくる。それを知るのもまた楽しい。
今回は、中野京子さんの「大脱走」の解説が読めて収穫だった。もう一度中野さんの視点で見てみようと思う。さすが中野さん。
今「ヨーロッパ新世紀」が公開中だが、ルーマニア語作家の済東鉄腸さんが紹介している同じムンジウ監督の「エリザのために」も収穫の一つ。ルーマニア映画は重いってことを知った。
ここでいくつかの映画をチェックしたので、また楽しみが増えた。この本を読んでから見る方がより楽しめそうだ。
投稿元:
レビューを見る
NDC分類 778.2
映画監督・脚本家・声優・小説家・デザイナー・科学者etc.25名から10代へ。
目次
1 悩んだときに観る映画
“かけ間違い”は魔法の言葉『PK』
(朝井リョウ 作家)
10代が持てる一番の武器『きっと、うまくいく』
(武田綾乃 作家)
正しさと優しさ『神と共に 第一章:罪と罰』
(桜庭一樹 作家) ほか
2 映画の秘密をのぞき見る
(ハラハラドキドキの大脱出、その背景に『大脱走』
(中野京子 作家・ドイツ文学者)
むき出しの暴力『七人の侍』
(本郷和人 歴史学者)
科学者として14歳におすすめしたいSF映画『インターステラー』
(高水裕一 物理学者) ほか)
3 映画があって今がある
宇宙船シネマ号にのって『大阪物語』
(小川紗良 文筆家・映像作家・俳優)
結末を知っていても『劇場版ごんGON,THE LITTLE FOX』
(岩井俊二 映画監督)
骨の髄が凍るほど打ちのめされる『未知への飛行 フェイル・セイフ』
(西川美和 映画監督) ほか)
投稿元:
レビューを見る
いろんなジャンルから著名人25人のお勧め映画。14歳という多感な頃にこそ見てほしいという気持ちとアドバイスが伝わる。いい映画は何歳でも面白くこれからの映画鑑賞の参考になりました。
「PK」、ルーマニア映画の「エリザのために」、「今さら言えない小さな秘密」、「旅の重さ」「劇場版ごんGON,THE LITTLE FOX」など見たい映画がどんどん出来て嬉しいです。
投稿元:
レビューを見る
さまざまな分野で活躍している人が14歳の人向けに見ることを勧める映画が紹介されている本。見たことのない作品がほとんどであり、以下の作品を特に見てみたいと思った。
・GON,THE LITTLE FOX★★
・マイライフ・アズ・ア・ドッグ
・アフター・ヤン
・スタンドバイミー
・七人の侍
・NOPE
・今さら言えない小さな秘密
・PK
投稿元:
レビューを見る
コロナ禍になってからよく映画を観るようになった。
もう少し早くから色んな作品に触れておけばよかったと思うことが多くなっていた中、SNSでこちらの本が発売されることを知り購入した。
タイトルの通り、中学生に向けた著名人からの映画を通したメッセージでとても読みやすい内容だと思う。
観たことのある映画が出てくるだけで嬉しくなった。
投稿元:
レビューを見る
映画がけっこう観てるほうだと思ってたけど、まだまだ観てない私好みの映画がいっぱい。
いろんな分野の著名人がイチオシの1本を解説して巻末に3本の映画をチョイスしてるんだけど、どれも面白そうなんだよね。
その中でも特に観たいと思った映画
・ジェラール・フィリップ主演「赤と黒」
・山椒大夫
・モキシー~私たちのムーブメント~
・式日
・アフターサン
・アフター・ヤン
・ショートタイム
投稿元:
レビューを見る
各々どういった視線で一本の映画を勧めているのかが興味深かった。活躍されている分野を垣間見るような捉え方。
話題になっていたタイトルもあれば、TSUTAYA発掘良品で紹介されそうな埋もれた名作もあった。
若い時は映画が好きで、月に何度も映画館に通った。でもこういった制作の裏まで考えず、ただストーリーとメッセージを掴もうと淡々と観ていただけなんだなと感じてしまった。紹介されていたページを改めて読んだ後、気になったタイトル借りてこようかな。
テーマが重いルーマニア映画は後回しになりそう(^◇^;)
投稿元:
レビューを見る
(2024/03/08 2h)
この本を読んで、20 本の映画をメモした。
あくまで14 歳に向けた内容である。
しかし、シリーズ「14 歳の世渡り術」が中学生以上大人までを標榜しているように、成人済みの人間が読んでも良い。
なんとなく、対象年齢から外れている人間が読み手になってしまっている罪悪感を抱く自分がいたので、敢えて前置き。
14 歳の子どもに向けて、書き手それぞれ選出に対する意識が全く異なっていて、面白い。
「昔の自分に向けて」書いているようなひと、「友人に向けて(対等に)」書いてるひと、「教え子(あるいは自分の息子や娘)に向けて」書いてるひと。
父性や母性を持って紹介するか、同じ土俵に立って紹介するか。
25 人もの多岐分野の著名人が執筆していることで、紹介されている作品も幅広い。
以下は印象に残った文章。
西川美和
「映画って、一度で100パーセント理解できなくてもいいと思うんですね。逆に14 歳の人に初見で全部わからせようと作り手が目線を下げた作品は、後から振り返ってもらえるものにはならない気がします。6割しかわからなかった映画を30歳、40歳で見直すとまた面白いんですよ」
西川美和監督の映画は『すばらしき世界』で心奪われ、すべての作品を観た。
本書で彼女が紹介している映画4 本(+ キューブリックの1 本) も観ていこうと思う。
深田晃司
「同時代の好みの作品しか観ないのは、ずっと好きな食べ物だけを食べ続けるようなものです。そして、ひとつの栄養だけでは人は成長できません」
この文の前置きと後述も必読。