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学校で学べることがいかに恵まれているかを痛切に感じる。そしてその気にさせることの可能性を大いに信じたい。とにかく何かを始めようという気持ちになる素晴らしい作品。
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私自身通っていた学校が定時制のある学校で、物がなくなったり、墨汁を荷物にかけられていたり、事件があったためいい印象を持っていなかったが、この本を読むことでイメージが変わった。
学習障害や、言語の壁、対人関係での心の傷など様々な問題を抱えているのは全日制も定時制も変わらない。本書にある通り、今はSNSの発展に伴い、他人と自分の境目が曖昧になり、「なんでわたしばっかり」と悲嘆的に自分を見てしまうケースは多いだろう。
「自動的にはわからない」作中で教師が生徒に投げかける言葉だ。
ノートをきれいに取ることに一生懸命だが、その知識を実践的に使うことができない生徒は多い。話はちゃんと聞いているのに、私には無理だ。とあきらめるのは早いだろう。個人差はあるだろうが、知識は自分で使って初めて理解だ。これを生徒に理解してもらうのは難しい。
教室といういくらでも失敗できる場所で、学習面でも人間関係でも、たくさん躓いてそのたびに立ち上がるこで「自動的にはわからない」社会での生き方を学ぶことができるのだろう。
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最近ハマっている伊予原さん作品。
今回も科学の不思議が上手く日常と混ざりあってそこから救われたり感動が生まれる素敵なお話。
定時制高校に通う色々な事情を抱えた人達が、新しく赴任してきた藤竹と言う何を考えているか分からない教師が設立した科学部に勧誘され、メンバーが1人ずつ増えていく。メンバーが増えた科学部は最終的に科学コンテストの発表を目指すのだけど、その道のりや最後の藤竹先生の告白等など…
ラストはちょっぴり泣いてしまった。
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Amazonの紹介より
東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない21歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した70代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、学会で発表することを目標に、「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!
定時制高校と聴いて思い出すのが、山田洋次監督作品の「学校」です。先生と生徒の掛け合いや幅広い世代ながらも、みんな同志のように泣いたり笑ったりととても感動した作品が印象的でした。
この作品では、特に「科学」を重視し、年齢がバラバラでも、一つの目標にみんなで頑張っていく姿が、青春だなと思わせてくれました。
全7章で、章ごとに一人の生徒に焦点を当てていき、それぞれが抱える苦悩、そしてちょっとした驚きの真相が描かれています。生徒だけでなく、先生の過去も触れられていて、「科学部」全員の背景が明らかになります。
定時制高校ということで、それぞれ様々な事情を抱えている人達が出席しています。生徒や先生を通して、改めて学びの大切さや有難みを感じさせてくれました。
学びたい気持ち、賛同する仲間、時には衝突することも。読んでいて「あー青春だな」とほっこりした気持ちになりました。生徒の頑張りも凄かったですが、みんなをまとめる先生の力量も素晴らしかったです。
やっぱり先生の存在も影響するんだなと思いました。後々明らかになる先生の過去。先生も完璧な存在ではなく、色んな経験を経て、成長していきます。
人それぞれ、得意不得意があります。先生を含めて、いかにして、一つのことを作りあげていくのか。何かのヒントになるような出来事も描かれていて、良かったです。
他にも「科学部」ということと作者が理系を専攻していたということもあり、科学的な知識が豊富に散りばめられています。なかなか文字だけだと頭に入りづらい点はあったのですが、「へぇー」と思わせるような知識がたくさんあって勉強になりました。
ただの「科学部」ではなく、総力を結集して新たなステージへ成長していきます。最終章では、まさかここまでいくとは驚きでしたが、チームとして頑張った結果にジーンとくるものがありました。
伊与原さんの作品は、主に夜が舞台で、幻想的な雰囲気が印象的でしたが、この作品は同じ夜でも、現実的といいましょうか、リアルな空気感が流れていました。
それも青春を感じさせる爽快感が加わって、「熱さ」を感じさせてくれた作品でした。
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「火星の夕焼けは、青いんですよ」
こんなにも希望が持てる結末って、最高です。就寝前に読み終えて、しばらく余韻にひたって眠れなかった。レイリー散乱とミー散乱なんてよく分からなかったけど、「火星の夕焼けは青い」なんて言われたら気になっちゃうでしょ。最高のつかみだった。そこから一気に持っていかれた。各章のタイトルが絶妙。第三章のオポチュニティの轍と第六章の恐竜少年の仮説が好き。読み終えて、「なるほど!」とニヤニヤしたり、唸ったり。火星探査車オポチュニティの話も、ランパート・クレーターなど様々な形のクレーターがある話も全部、興味深かった。思わず検索してしまった。
舞台は東京の新宿にある都立高校の定時制。
両耳に10個ピアスがついてる金髪。教室の最前列に陣取る74歳になる通称「長老」。小太りでよく喋る東南アジア系の通称「ママ」。ずっと保健室で過ごす少女。他にも、事情や問題がある生徒ばかり。
どうしようもない現実は確かにある。でも、「この学校には、何だってある」と言い切り、4月から赴任してきた新しい担任の藤竹が数人の生徒と共に「科学部」を立ち上げる。
年齢も性別も国籍も境遇も考え方も違う、凸凹の部員たち、それぞれの思いで「火星のクレーター」の実験にのめり込んでいく。周りの人間をどんどん巻き込みながら、そして、実験室に火星を作り上げることに成功する。
ここからネタばれあり
「俺に限らず、親を殴るなんて、そう簡単にできるもんじゃないと思うぜ。そんなことをしたらたぶん、相手だけじゃなく、自分まで壊れちまう。自分を守るためにも、代わりに物をぶっ壊すんだよ」
壊してる本人はここまで気づいてないのにね。
「なんでわざわざ定時制を選ぶんですかね」
「単純に、来てえからじゃね?学校に」
なんだかんだ言って、学校に希望を持って通っているんだと。
普段、飄々としている藤竹の秘めていた熱い思いに胸が熱くなった。その思いを部員たちにぶつける前に長嶺に言われた「彼をこれ以上その気にさせて、期待を持たせて、本当にいいのかね?」には、相当の葛藤があったと思う。長嶺の言い分も痛いほど分かる。
佳純が藤竹をかばった「そんなの実験じゃない」と言う言葉にぐっときた。
あと、真耶が怖かった。
あの対処の仕方で良かったのか?
絶対、仕返しに来ると思う。怖い。
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感想
知識を諦めない。教育はその姿勢に応えることができるのか。人間の欲求は学校の枠組みからはみ出し躍る。それはやがて遥か遠くの星に触れる。
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それぞれ秘めた事情があって、たまたま同じ定時制高校に通う生徒たちが主人公の物語。
皆どこか負い目を感じて生きてきたが、科学コンテストでの発表を目指す実験に参加することで、自分の役割を見つけ一歩も二歩も成長する。
物語が進むごとに柳田岳人、越川アンジェラ、名取佳純、長嶺省造、丹羽要、と実験参加者が増えるのだが、皆感情移入がし易いキャラだった。
私が通った高校にも定時制があったが、妻も息子も定時制がある高校だった。
とは言え、定時制に通う生徒と接触する機会はなく、「昼間は働いているんだ。たいへんだな。」と思うだけで特に気にしたことはない。
昔から定時制と並んで、通信制もあったが実態は知らない。
今はインターネットが発達しオンラインで授業動画が観れたりするので、自分が高校生の時とは随分変わっているのだろうと思う。
この物語のように他の生徒と一緒に実験したり、スポーツをするなら定時制ですね。
読んでいて、自分も実験に参加したくなりました。
学生時代の"実験→結果考察→実験装置改良→実験"に明け暮れていた日々のことも思い出しました。
私の場合、結局「この方法だと満足な成果は得られない。」というダメな例を幾つか示すことになっただけでしたが、、、
ダメな理由を考えて、どうしたら問題を解決できるかアイデアをひねり出し、何度も試してみるのが楽しかった。
伊与原新さんの小説は、科学の知識が得られるだけでなく科学の楽しさが感じられるのがいい。
これで4作品目になるが、この作品が一番良かったかな。
最後は熱いものが込み上げてきました。
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読み終わるのが惜しくなるような本だった。
出会った人と向き合うこと、一歩踏み出すこと、目標に向かうこと、日常の中で忘れかけていることがたくさんあることに気づいた。
科学部のみんなが眩しくて、羨ましくなる物語。
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ディスクレシアの岳人を中心に、恒例の工場経営者、ハーフの母、保健室登校の女の子、顧問の藤竹。皆それぞれの事情がありながらも、火星クレーターの再現の実験の学会発表を目指す。
登場人物の過去を織り交ぜながら実験の過程を面白く読めます。
3日ぐらい前に高1の子供と『小学生の時に行った科学館の実験って面白いけれど、高校の物理の実験って何やってるかわからんし、結果も、へ、だから?って感じやんね』と、ちょうど話していたところでした。なので、全日制の要が岳人たちの実験に冷笑する気持ちがすごくわかります。物理って大切な学問のわりには難しくて地味ですよね。
宇宙のこと自体は好きな人は多いわりに、専門的に勉強したくても物理や数学が好きでなければその道には進めない残念な分野です。だからと言ってあきらめるのではなく、この本の登場人物たちのように、誰であっても無心になって、それぞれの得意なことをやって、一つのことを成し遂げるって、とてもステキなことだと思いました。
時々でてくるSFの名著の名前は、知ってる~と嬉しくなります。
学ぶことの大切さを再認識しました。藤竹先生の言葉にも元気になれました。
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良かった!学校の良さや夢が溢れている!定時制の高校のことってあまり知られていないけれど興味が湧いたし、科学部も面白そうだと思った。岳人は途中からディスレクシアなんだろうな、と予想がついたし自傷の生徒との関わりとかリアルでついつい読み進めていった。あと、なんとなく池井戸さんの下町ロケットを思い出した。
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バリバリの文系で知識学力も乏しい私には実験装置等の説明を読んでもイマイチ想像が及ばない場面はありましたが、それをのぞいてもめちゃくちゃ面白かったし感動する物語でした全話泣きました笑
実話を基にしたフィクション、実話を盛ったよような展開ですね?って流れでも全然不快感がない、良い物語でした。
読んでる最中や読み終わった後、火星の画像ググッたのは私だけじゃないはず
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定時制高校の科学部の話。
実験がとても面白そうだし、火星にも興味を持った。
もう一度、高校生やりたいなー。部活だけ。
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この作家さん、やっぱりいい。サイエンス面の要素が人間ドラマを下支えして、ストーリーに厚みがでている。多様な人が出会って衝突しながらも、ゴールを目指す姿を見ると、自分の仕事への取り組み方を考えさせられた。
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教室に火星を作る話。
一番大事なのは、きっと物事に対する興味、好奇心!きっかけは小さい事でも思わぬ形で成功するかもしれないよね!
藤竹先生というきっかけで、事情があって学びたくても学べなかった夜間学生が科学に興味をもって目標の為に頑張っていく様に心打たれました!
勿論何事も上手くは行かないけど。様々な国籍、年代、事情、価値観、、ちゃんと理解をして関係を構築しなきゃ行けないのは現実世界でも一緒かも。
大人になると、見切りが早くなってるような気がするけど一旦やってみない??ダメでもまた挑戦しようよ!そんな前向きで明るい気持ちになれた素敵な小説でした!
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年代や抱えた問題もさまざまな定時制高校の4人が顧問の先生と「科学部」を結成する。目標に向けて色々ありながらも 協力し、奇跡を起こすストーリー。
登場人物の背景や心理描写がとっても読みやすく、夢中で読んでしまった。読んでいくなかで登場人物皆が愛おしくなった。そしてこれまで色々諦めてきた高校生達が、
“どんな人間もその気にさえなれば、必ず何かを生み出せる”p246
藤竹先生の言葉(仮説)通り、成し遂げた。涙が…
前向きになれる一冊。
私にとって、今年一番かな?と思える作品でした。